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東方流重縁~forgotten wanderer~ 第六話 あいでんてぃてぃ・くらいしす!

2025/04/19 10:11:17
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「なるほど…霊夢がそんなことを」
「面倒なことになったね~」
 霊夢さんから挑戦状をたたきつけられた後、私たちは一度守矢神社に戻り、神奈子さんと諏訪子さんにそのことを報告していた。
「申し訳ありません、私のせいで…」
「いや、気にしなくていい。お前が居なくてもどうせ対抗心を燃やしてなんかしてたさ」
「ま、霊夢の企画力・運営力でうちに勝てるとは思えないけど。それでも手は打っておくべきかも」
「手を打つとは?」
「うーん。なんかお祭りの目玉になるようなイベントがいいかな。博麗神社に人を取られないために、普段あんまりやらないことがいいな」
「普段やらないこと…」
 神奈子さんがむむっと考え込む。すると、こちらの顔をちらっと見て、さらに考え込み始めた。
「温故知新…確かに最近はあまりやってなかったか」
「あの、何か…」
「…お前、刀が主武装ってわけじゃないだろう。弓は使えるか?それと、馬に乗れるか?」
「弓と馬…まさか、神奈子様!」
「――流鏑馬をやろう。かさねが射手だ」
「なんですって!?」
 流鏑馬。馬を疾駆させながら的を射る行事。い、いやいやいや。私弓なんか使ったこと、馬に乗ったことなんて…。
「どうした?」
「い、いや。そう言われるとなんか弓も馬も出来そうな気がしてて…」
「まあ、物は試しだ。一度やってみよう。」
 そういうと神奈子さんは一度席を外し、弓矢を持って私に渡してきた。
「外に巻藁も置いてきた。ちょっと射ってみろ。後これ、胸当て」
 神奈子さんに促されて外に出る。
「どこから射ればいいですか?」
「好きなように」
「それじゃあ、これくらいで」
「うわ、結構離れてる。遠的より離れてるんじゃ…」
 本殿を調度真ん中において、境内の端の方へ。このあたりまでなら、問題なく当てられる…気がする。矢をつがえ、弓を引き絞る。うーん、このあたりか。ぱっと手を離し、矢を放つ。矢はひゅっと音を立てて空中を裂き、巻藁に突き刺さった。間髪入れずに次の矢をつがえ、弓を引き絞り、放つ。
「あ、あれ?神奈子様。こういうのって駄目じゃなかったでしたっけ。ほら、残心がどうとかって」
「…殺人の上手」
「え?」
「いや、何でもない。かさねのやっていることは『弓道』ではないってことだよ」
 その後私は、貰った矢を全て射尽くし、その全てを巻藁に当てた。私、やっぱり弓もイケたんだ。
「次は馬だな。ふふっ。こんなこともあろうかと。特別なつてを使って手に入れた、サラブレッドをご覧に入れよう!」
すると、突然ぬっと馬にのった諏訪子さんが現れた。…馬って、こんなデカかったっけ?
「さすがに、日本在来種よりはでかいねぇ。里の人間たちもなかなか見たことないんじゃないかな?」
 ぱっと諏訪子さんが馬から降りる。
「さ、乗ってみなよ。うまく乗れるかな~?」
 諏訪子さんに促され、馬にまたがる。
「た、高い…」
 何だろう、この違和感。しっくりこなさ。これはちょっと練習が必要かな。とりあえず、ゆっくりと馬に歩くように促す。疾駆させるのはまだやめておいたほうがよさそうだ。
「どうやら馬はもう少し慣れないといけないようだな。縁日まで残り一週間も無い。それまでには乗りこなしておけるようになれよ。それから、馬上で弓も射れるようにな」
 なんて無茶な。だが、早苗さんを元に戻すためにはそうするしかないのだ。私は何としても流鏑馬、及び縁日を成功させようと決意を新たにした。

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