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東方流重縁~forgotten wanderer~ 第六話 あいでんてぃてぃ・くらいしす!

2025/04/19 10:11:17
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 翌日。
「えー、里をご通行中の皆さん。私、守矢神社の巫女代理のかさねと申します。来週土曜日、守矢神社で縁日を行います。題して、東風谷早苗祭りです。皆さん、東風谷早苗は、淫らでなければ、マスコットでもなく、不良でもありません。由緒正しい守矢神社の風祝です。皆さんの正しい認知が、東風谷早苗の力になります。どうか、どうか東風谷早苗をよろしくお願いします。皆さんの手で、正しい東風谷早苗を…」
「あの、またですか…?」
 ――昨日夜。
「え、早苗が透明になったまま戻らないって?」
「逆に考えるんだ、透明のままでもいいさって」
「よくないですよ諏訪子様!」
 偽早苗さんとの死闘を終えた私たちは守矢神社に戻って、早苗さんの姿が戻らないことを神奈子さんと諏訪子さんに相談していた。
「うーん、真面目に考えるとするなら、今の早苗は一時的に信仰が失われて、姿を保てなくなっているということじゃないか?」
「というと…?」
「早苗に対する信仰が乱れていたというのは、我々側の認識。今の里の人間たちにとっては、スケベだったり、ゆるキャラだったり、ワルだったりするのが東風谷早苗ということだ。それをお前たちが取り除いたから、今の里の人間たちは、『東風谷早苗ってなんだっけ』という状態になっているのかもしれないということだ」
「そんな~!そんなに私、影薄いかなぁ!?」
「しかし、どうすればいいだろう。里の人間の早苗への信仰心、というかイメージを元に戻す方法…」
 その時、ふっと私の頭に一つのアイデアが降りてきた。
「それなら、お祭りをここで開くのはどうでしょう」
「祭り?」
「東風谷早苗祭り!里の皆さんをたくさん集めて、早苗さんの存在を改めて認知させるんです!」
「――乗った!面白そうだ。」
「早苗グッズ制作は私にまかせろ~」
「やめてー!グッズ販売したらまた信仰がゆがんじゃうじゃないですか!」
 というわけで。私は再び早苗さんの服を借りて、お祭りの宣伝をしていた。前回と違って今回は反応もよい。やはり里の住人は娯楽に飢えているのだろうか。
「えー、東風谷早苗祭り。東風谷早苗祭りに振るってご参加くださ――!?」
「あら、随分楽しそうね。そんな恰好しちゃって」
「なかなか似合ってるぜ。へそ出しとは、よほど自分のスタイルに自信があると見える」
 演説中の私の前にぬっと立つ、霊夢さんと魔理沙さん。
「藍とどこかに行ってた後、元気がなさそうだったからあなたのお願いを聞いてあげたのに。ウチの商売敵の祭りの宣伝なんて、随分えらくなったものね」
「ち、違うんです。これには訳が…」
「問答無用!軒を貸して母屋を取られるとはまさにこのことよ!あなたたちの祭り、完膚なきまでに潰してやるわ。同じ日に、博麗神社でも縁日を開いてやる!」
「そ、そんな…」
 まずい、博麗神社に里の人間を取られたら早苗さんは元に戻せない。
「覚悟しておくことね。行くわよ魔理沙!打倒守矢神社の策を練る!」
「どうやら、そういうことらしい。悪いが今回は霊夢の側につかせてもらうぜ。お前の成長を確かめてやるよ」
 そういって二人は博麗神社の方向へ飛び去ってしまった。
「‥‥どうしよう」

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