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東方流重縁~forgotten wanderer~ 第六話 あいでんてぃてぃ・くらいしす!

2025/04/19 10:11:17
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「…う~ん」
 ゆっくりと起き上がる。頭がずきずきする。ああ、もう朝か。確か昨日は、神奈子さんと飲み比べをして。あれ、どうやって布団に入ったんだっけ。やってしまった。記憶を飛ばすほど飲んでしまうなんて。失礼なことしていないといいけど。そのままゆっくりと立ちあがり、早苗さんたちに朝の挨拶をしようと思ったところで、部屋の中に叫び声が響き渡った。
「な、な、な、なんなのコレー!?」
 早苗さんの声だ。一体何があったのか。揺れる頭を押さえながら、すぐに早苗さんがいるであろう居間に向かう。そこで私の目に入って来たのは、困惑するしかない光景だった。目の前に、モザイク状の人影が立っている。姿形がぼやけているというか、なんというか。ぼやけた輪郭の中に、かろうじて緑や白、青といった色を見て取れる。
「も、もしかして早苗さん?」
「か、かさねさん!そうなんです。居間でのんびりしていたら、突然こんな姿にぃ…」
 一体なぜこんなことになってしまったのだろう。そう考えていると、早苗さんの叫び声を聞きつけて神奈子さんと諏訪子さんがやってきた。
「神奈子さまぁ、諏訪子さまぁ…」
「うわ、なんだこれ」
「ちょっと!「これ」扱いはないでしょう!早苗ですよ!」
「ほんとにぃ?」
「ほんとですよ!声はいつも通りじゃないですか!」
「神奈子さん、諏訪子さん、早苗さんがこんな姿になってしまったのは何故なのでしょうか?」
「うーん、信仰の乱れかねぇ」
「信仰の乱れ?」
「早苗は人間だが、同時に現人神として人々から信仰を集める存在でもある。だから、もし人々の信仰が誤った方に行けば、信仰の対象たる早苗の姿形も変化してしまう…んじゃないかな?」
「そんな無茶苦茶な!今までそんなこと…あ、そういえば。この前の異変の時なぜか背中から羽が生えてきたっけ」
 そう言えばあの異変の時、魔理沙さんの帽子のリボンが獣の耳のようになっていたっけ。信仰とはまた別かもしれないが、色々な影響で姿形が変わることはそんなにおかしいことではないのかもしれない。
「とにかく!このままでは守矢神社存続の危機です!」
「危機かなぁ」
「私が里で活動できなくなるので危機です!何とかしてくださいよ、神奈子様、諏訪子様」
「そうだなあ。信仰の乱れが原因だと考えると、信仰の乱れを発生させている要因を突き止めて、それを改善するしかないだろう。といっても大半が人間からの信仰だから、里で情報を集めなきゃいけないわけで。私たちが必死に里を走り回るのもねぇ」
「それでは、私がやります」
 私なら身軽に行動できる。
「か、かさねさぁん…ありがとうございますぅ…」
「昨日の歓迎のお返しをしたいと思っていたんです。任せてください!必ず早苗さんを、元の姿にして見せます」
 腕をまくって力こぶを作り、その上に手を載せて任せてくださいのポーズ。私の記憶を取り戻すために協力してくれた守矢神社の皆さんに、今度は私が報いる番だ。

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