Coolier - 新生・東方創想話

〽胸に付けてる マークは梶紋

2020/12/05 15:29:45
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★秋晴れのとある日に



しゃあああっ!
うおおおおおーん!

 ぶつかり合う獣と獣の叫び声が、午後の森に響き渡る。森の中の広場に特設された土俵の上から炸裂する、まるで大嵐のような蛇の叫び。ナイフのように鋭い狼の遠吠え。

「いけーっ!」
「がんばれ狼さーんっ!へびおんなやっつけろー!」

 それに呼応するように、特に大きく響く、子供たちの歓声。

「‥‥」

 八坂神奈子はそんな会場の様子を一瞥し、ぼそっとつぶやいた。

「本当にやるの‥‥」
「ここまで来てリタイヤは無しよ。出雲のダイナマイトボデー、見せつけて頂戴」

 げろげろと笑ったのは、腐れ縁の祟り神。うしろから神奈子にぺったりくっついて、揺れる会場の様子を朗らかに見つめている。

「後で覚えときなさいよ」
「はいはい」

 適当な返事にやれやれと頭を振って見やった先には、ひまわり畑の大妖怪。
 向こうからもにんまりと返された笑顔に、神奈子はどでかい溜息を吐いたのだった。


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