――何かが。
――何かが、燃える音がした。
それが私の身体だってことは、
すぐに判った。
だって。熱い。
身体中。どこもかしこも。何もかも。
熱い、熱いの。熱くて、堪らない。
眼を開いても、何も見えない。
口を開いても、息ができない。
耳を塞いでも、燃える音は止まない。
熱い、熱い。
灼熱地獄の炎さえ、比較にならない。
耐えられない。
すぐにでも、燃え尽きちゃいそう。
いっそ、そうなればいいのに。
なのに、いつまでも私が終わらない。
燃えて苦しむ私が、消えてくれない。
熱さが、熱さが、絶頂のまま留まる。
助けて。誰でもいい。助けて。
何かに向けて手を伸ばす。
炎になった両手を伸ばす。
何かに触れた感覚。
すがりつくように、それを手繰る。
手繰ろうとしたのに、すぐに消えた。
その何かは、燃え尽きたんだ。
燃え尽きることができたんだ。
羨ましい。憎らしい。妬ましい。
燃え尽きないでよ。
私は燃え尽きることができないのに、
私よりも先に、灰にならないでよ。
何でもいい。
何か、何か、私の炎を消して。
燃え盛る私の熱を、掻き消して。
私はずっと、このままなの?
このまま、熱くて苦しいまま、
これが永遠に、続くの……?
熱い、熱い、熱い熱い熱い。
私が、私、私が、熱いでいっぱいになる。
見えない、聞こえない、判らない。
我武者羅に手を伸ばす。
私の炎が触れた途端、全部が燃え尽きる。
残らない。何も残らない。私の苦しさ以外。
誰か、何か、誰でもいい、何でもいい。
私のこの炎を消して。私を殺して。
私がどんなに苦しいのか、知って。
もういい。もう、いいよ。
終わって。終わってよ。
何でもいい。どうでもいい。
【空】……だ、れ、……か……
【空】あ、あぁ、あ、ああ、
【空】ああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!