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東方流重縁~forgotten wanderer~ 第三話 環境破壊は蜜の味

2025/01/12 09:28:52
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次の日。博麗神社。私と霊夢さん、それに椛さんと文さんは境内で昨日の出来事について話あっていた。
「つまり、我々の同僚は既に…」
「彭侯に食われた、と見るのがよさそうね。…残念だったわね」
「いえ、仇を取ってくれて感謝であります。あいつの無念も、少しは晴れたでしょう。では、自分はこれで」
そう言って椛さんは静かに目元をぬぐうと、空へと去っていった。私たちが彭侯を退治したことが、少しでも仲間を喪った悲しみを和らげることになればよいけれど。
「なるほど、彭侯ですか。天狗の木を切り倒していたのは、自身の妖力を増強するため、と」
そう納得したように文さんが言う。
「さて、これでいい記事が書けそうです」
「文、ちょっと」
「なんです、霊夢さん」
「あなた、最初から知っていたんじゃない?河童たちが木を切り倒していたのも、椛がそれをわざと見逃していたのも。…それらを天狗社会で解決しようとすると、河童との抗争の危機に、天狗内部での粛清。そうした面倒ごとを避けるために、私たちを利用したんじゃ」
「…さて、どうでしょう。それは、面白い考えですね。」
文さんは私たちを煙に巻くように、胡散臭い笑みを浮かべた。
「まあ、記事を楽しみにしていてください。明日には仕上げますよ」
そう言って文さんも飛び立っていってしまった。
「間違いなくそうよ。やられたわ…」
「まあまあ、結果的に穏便に終わったのだからいいじゃないですか」
さらに次の日。再び境内を掃除していた私に、ひらひらと紙が落ちてきた。「文々。新聞号外」。どうやら本人の言通り、記事を完成させたようだ。見出しを見る
「お手柄!環境破壊を食い止めたのはかさね氏!」
え?
「近日、天狗の領域では何者かが木を伐採するという事件が発生していた。その犯行は彭侯という妖怪によるものだったが、それを退治したのが博麗の巫女である博麗霊夢氏と、最近幻想郷に流れ着いたかさね氏だった。特にかさね氏の働きは抜群で…かさね氏は現在博麗神社に居候しており、今後も霊夢氏との強力タッグによる問題解決が期待される…!?」
なんだか、とんでもなく持ち上げられているような…!?
「おー、こいつは面白いことになったなぁ」
「魔理沙さん!」
いつのまにか、私の横に魔理沙さんが立っていた。
「何せ幻想郷は刺激に飢えているんだ。新たな人間の英雄候補…こりゃ、お前ほっとかれないぞ」
「ほっとかれないって…?」
「これからいろんな妖怪や神、人間がお前に目をつけ始めるってことさ。よかったなあ。退屈しなさそうで」
「え、え、ええええええええ!?」
私の絶叫が、秋空に響き渡たる。そして、魔理沙さんの言は的中した。これから私は、様々な事件に巻き込まれていくのだから。

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