Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

Guru

2014/06/22 20:13:00
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 私たちは封印のために女王様についての記憶のほとんどを失っていた。覚えていたことは、昔に私たちを率いていた少女の形をした強い蟲妖がいて、それが戦いに敗れてどこかに封印されたということだけだった。だから、私たちは女王蟻や女王蜂からとって、その妖怪に女王という名前をつけていた。ただ、記憶が薄れていたために、女王様を重要だとは思わなかったし、そのときの生活もそれなりに楽しかったから、女王様のことを救ってみようとは思っていなかった。封印の解除が手間であることは予測できたからである。おそらく、正邪がいなければそのまま完全に忘れ去っていただろう。

 いつだったかに正邪が地底に現れて、私の仲間の一人から女王様のことを聞き出した。そして、女王様の封印を一人で見つけ出した。ただ、封印を解くことはできなかったため、私たちに助力を求め、私たちを説得しようとした。私たちはそのときすごく暇だったから、正邪の言葉に乗ってみることにした。要するに、最初は暇つぶしのつもりだった。地上にこっそり出てくるのは楽しかった記憶がある。

 しかし、女王様の封印を少しの間、不完全ながら解くことができたとき、私たちの心情は一変した。女王様と過ごした日々を、曖昧で断片的ながらも思い出したのである。それは、今の生活よりも遥かに楽しいものであった。残念ながら、女王様の名前を思い出すことはできなかった。女王様と間接的ながら会話をすることもできたが、封印のためか、女王様自身も自分の名前を表記できなかった。それから、私たちは珍しく本気でこの計画を進めてきたのである。

 今も慣例的に女王様と呼んでいるが、蘇った記憶から考えると、女王様というほど孤高な存在というわけではなかったように思う。むしろ、私たちの友人に近い関係だったと思う。ただ、単なる友人ではなく、私たちの先導をして、楽しいことを私たちに教えてくれる、そんな友人だった。女王様というよりも、指導者とか伝道師とか、そんな言葉の方が当てはまるかもしれない。女王様は私たちにとって、面白いことの伝道師だったのだと思う。

 私たちは友人を、そして楽しかった日々を取り戻さなければならない。もしかしたら、犠牲を出す必要があるかも知れない。それでも、妖怪の長い生涯を幸福に過ごすためだったら、多少の犠牲くらいは払う覚悟である。

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