Coolier - 新生・東方創想話

「非」幻想系ククロセアトロ或いはデウスエクスマキナ

2023/05/04 08:30:36
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計都または、ウボ、或いは、虹色

「それで……どうなったの?」

レミリア・スカーレットが紅茶を口に運びつつ、尋ねる。
動かない大図書館、パチュリー・ノーレッジはそれを横目に自分もティーカップを取り、シナモンの香りを楽しみつつ、喉を潤した。

「それで……って、これでおしまいだけど?」
「えぇ……それじゃ、やおい話じゃないのさ。せめてオチくらいつけなさいよ」
「オチってあんたねえ……」

苦笑するパチュリーに向け、顔を寄せてきたレミリアは、猫のように紅い瞳を煌めかせる。
相変わらずの愛くるしさであった。
思わず抱き締めたくなる衝動を堪えて静かに紅茶の香りを楽しむ。己の衝動を抑えるのに苦労が要るようになったのはいつ頃からだろうか。結構最近の事だと思う。

「これは、物語なんかじゃないの。アリスに起こった奇妙な話。軽々に話すようなことじゃなかったわね。まだレミィには、早すぎたかもだし」
「あら、それって誘いの言葉?」
「どうかしらね……」

薄ら笑みと共に紫瞳で見つめ返す――まるで、蜜に誘われる蛾のように唇に唇が重なってきた。
キスの合間も瞳を閉じない両者。紫と紅が混じり合っていく。
紅い瞳はいつまでも笑っているようで、紫の瞳はその笑みを静かに受け止めていた。
やがて、銀の糸を引き連れながら、唇は離れていく。

「……浮気を密告するわ」
「あら、只の挨拶を一々巫女は気にしないわ」
「だといいのだけれど」
「それで? 何を誤魔化しているわけ?」
「そんなつもりはないけれど……レミィにはまだ早いかなと思っているのよ、本当に。いずれ話すわ。題して、私の魔法の奥義について」
「あら残念、それじゃあもっと素敵なレディになってからのお預けね?」

聞き分けの良いことだ。
先の熱いくちづけの熱が、まだ胸の炉を噴かしている。
容易く退いた、きっとレミリアもそうなのだろう……まったくまったく、妖怪にあるまじき事だ。
こんなにも、魂を焦がしてしまうことが悦楽的だなんて――まるで人間のようだ。
アリスは、その先を識りたくなってしまったのだろうか?
あの選択は、実に興味深いものだ。

「そういえば最近あの人形遣いが来ないね。だからこうしてイチャイチャできるのだけど」
「あの子は当分来られないでしょうね」
「あらそうなの……淋しい事ねえ? お師匠様?」
「そうでもないわ……あの子は実に筋の良い子。いずれ私に追いつくことでしょう」

アリスの家。
そこでは、一週間ぶりに顔を見せた霧雨魔理沙と夕飯するアリスがあった。

「――」
「あら気が付いた? ええ、最近沢山肉を摂ることにしたの。わるいけど、貴女にはひとつもあげないわ。これは“魔法使い”のための餌なのだから」

ナイフとフォークを人形で操る魔女は、嬉しそうに、友人の背後辺りを見ながら微笑んだ。

おわり

Pixivからの転載ですが、規約に従い、Pixivの掲載内容を修正、別の終わり方をさせています

※閲覧注意
人によっては不快な解釈と描写があります
まんぼ
https://twitter.com/manmanbou
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コメント



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2.90奇声を発する程度の能力削除
良かったです