その日、博麗霊夢は、こたつで一日中、ぬくぬくと暖を取っていた。
いつもなら、この時間は神社の敷地に落ちる落葉を箒で掃きつつ、参拝者が来るのを待っている時間である。けれど、今日は寒い。冬の季節の中でも、とりわけ寒い。そんな中では、外に出るのすら面倒くさくなってしまって、こうしてこたつの魔力に取りつかれている、という訳だ。…どうせ参拝客なんて、めったに来ないもん。
…ふぁ、と小さくあくびをする。今日は、何も起こらなそうな日かな、なんてぼんやり考える。このままぼーっと時間を過ごしていると眠ってしまいそうだ。まぁそんな日があっても悪くはないんだろうけど……こうして1人でいるのも暇なだけだし。
どうせなら、誰か来ないかなぁ。―――――いつも神社に来ては図々しく居座る、白黒の魔法使い初め、吸血鬼だの人形遣いだのの面々を思い出す。常時何でもないようににあしらってはいるものの、何だかんだでここに来てくれるのを本心では嬉しく思っているのを、霊夢は自覚していなかった。
――かしゃり
…ん?
落葉を踏みしめるような音。霊夢はゆっくりと目を開いて、体を起き上げる。これは、誰かがこの神社にやって来た、ということ。いったい誰が来たのだろう?さっきまで思い浮かべたやつらの中にいるだろうか?もしかしたら――参拝客だろうか?そんな訳ないか――そう結論付けてしまった自分に対して苦笑しつつ、霊夢はこたつから出ないよう気を付けながら障子へと手を伸ばした。
「…えっ?」
そうして細く開けた隙間から来訪者の姿を見て、霊夢は素っ頓狂な声をもらす。
濃く厚い紫色のローブの下で、マフラーを口元まであげて服を重ね着して………とにかくもっこもこになった出で立ちの人間が、神社の鳥居をくぐっているところだった。
「…へぇ。あいつが来るなんて、珍しいこともあるものね」
マフラーのせいで顔はあまりよく分からないけれど…霊夢には誰が来たかがすぐに分かった。けどびっくりした。あいつは、ここに、それも一人で来る用事もないと思っていたのに。
そこにいたのは、紅魔館の大図書館に暮らす超インドア派の魔法使い――――パチュリー・ノーレッジだった。
いつもなら、この時間は神社の敷地に落ちる落葉を箒で掃きつつ、参拝者が来るのを待っている時間である。けれど、今日は寒い。冬の季節の中でも、とりわけ寒い。そんな中では、外に出るのすら面倒くさくなってしまって、こうしてこたつの魔力に取りつかれている、という訳だ。…どうせ参拝客なんて、めったに来ないもん。
…ふぁ、と小さくあくびをする。今日は、何も起こらなそうな日かな、なんてぼんやり考える。このままぼーっと時間を過ごしていると眠ってしまいそうだ。まぁそんな日があっても悪くはないんだろうけど……こうして1人でいるのも暇なだけだし。
どうせなら、誰か来ないかなぁ。―――――いつも神社に来ては図々しく居座る、白黒の魔法使い初め、吸血鬼だの人形遣いだのの面々を思い出す。常時何でもないようににあしらってはいるものの、何だかんだでここに来てくれるのを本心では嬉しく思っているのを、霊夢は自覚していなかった。
――かしゃり
…ん?
落葉を踏みしめるような音。霊夢はゆっくりと目を開いて、体を起き上げる。これは、誰かがこの神社にやって来た、ということ。いったい誰が来たのだろう?さっきまで思い浮かべたやつらの中にいるだろうか?もしかしたら――参拝客だろうか?そんな訳ないか――そう結論付けてしまった自分に対して苦笑しつつ、霊夢はこたつから出ないよう気を付けながら障子へと手を伸ばした。
「…えっ?」
そうして細く開けた隙間から来訪者の姿を見て、霊夢は素っ頓狂な声をもらす。
濃く厚い紫色のローブの下で、マフラーを口元まであげて服を重ね着して………とにかくもっこもこになった出で立ちの人間が、神社の鳥居をくぐっているところだった。
「…へぇ。あいつが来るなんて、珍しいこともあるものね」
マフラーのせいで顔はあまりよく分からないけれど…霊夢には誰が来たかがすぐに分かった。けどびっくりした。あいつは、ここに、それも一人で来る用事もないと思っていたのに。
そこにいたのは、紅魔館の大図書館に暮らす超インドア派の魔法使い――――パチュリー・ノーレッジだった。