Coolier - 新生・東方創想話

■お遣いと浴衣と酒と花火と■

2012/02/23 19:38:31
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【宿屋:玄関口】





「これで最後、っと…」


数回に分けて運んだ荷物も後は軽く抱えられる量だった



「お嬢ちゃん」


「?」


振り返ると、女将さんがヒトの手で野良猫に餌をやりながら、長い蜘蛛の脚で私に酒壺を突き出した

人の胴程はある、酒壺としては大きくも小さくもない酒壺


「…頂けるんですか?」


「久しぶりの新顔さんだからね 私は呑まないし、やるよ」


「…どうも」


蓋をしてるのにいい匂いが漂って来る


「…白い方のお嬢ちゃんは」


「?」


「色々と苦労して来たみたいだねぇ?」


「はぇ?」


白い野良猫は立ち去り、壁を登って行く


「やけに血の臭いが強いし…」


(あー でしょうな)


「あの歳の人間にしちゃ“ここ"の連中みたいな面(ツラ)してたからね」


「……」


女郎達に絡まれた後の咲夜さんの顔を思い出す


「まぁ、幻想郷から来て旧都をほっつき歩く人間がまともな筈無いか」


「……」


「あぁ、風呂ならいつでも入れるよ」


「…分かりました」


残りの荷物と酒壺を抱えまた二階に上がる

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