【従者移動中】
「宿…」
「ですね」
あの後も周りから嫌な視線を投げ掛けられたが、咲夜さんはどこ吹く風と気にせず歩いた
私は荷物を落とさない事に全身全霊を賭していたので気にしている余裕は無かった
そうして辿り着いた地図に指し示された場所は周りと同じ様な木造の宿屋
気付けば大通りからは離れ活気も喧騒も遠くなっている
静かな、ある意味除外された、それすらも情緒の一部になった静かな細道
「……」
「あ、ちょ」
「何?」
「あ ぃぇ、その…もしかして泊まるんですか?」
「?えぇ」
咲夜さんが懐中時計を覗き時間を確認し、パチンと蓋を閉じると急に頭が軽くなった
「お嬢様からは地下の様子を見て来る様言われているわ」
咲夜さんの両手にはその分の荷物があった
「明日は地霊殿のさとり妖怪に会いに行くし、泊まるわよ」
「、はぁ」
暖簾を潜る咲夜さんに続く
潜れるかな…まだ荷物積んであるんだけど
…お、ギリギリ