[概要] 「物語っちゅうのは、語り手がいて初めて成立するものじゃ」 「それが言いたくてわざわざこんなところに連れてきたの? そういうマミゾウはいつも第三者気取りのくせになんだかんだで本命にぶち当たるじゃない」 「安心せい、今回はお前さんもろとも本物の傍観者じゃよ」 「えー? 私はもうちょい首を突っ込みたいんだけど」 「何じゃ、あやつが気になるのか?」 「別に? あいつがちょっと私に似てるなんて思ってもいないけど」 「ふぉっふぉっふぉっ、素直で結構。時にぬえよ、幸せとは何だと思う?」 「いきなりだなあ。日本一ついてない男の子がある日突然超ラッキーなヒーローに変身するとか?」 「わかりやすいのう。まさに夢のような絵空言の話。蓋し幸せとは……」 「ねー、前置きはいいからさっさと始めちゃってよ」 「そうじゃな。……これはちっとばかし昔の話じゃ。ある小娘が、自らの手で幸せをつかむまでの物語よ」
「君達、まったく姿を見かけないと思ったらこんなところにいたのか……」 「おや、妖怪鼠がやってきてしもうた。年寄りの与太話はこれでおわりじゃ」 |