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東方流重縁~forgotten wanderer~ 第二話 大いなる弾幕には大いなる責任が伴う

2024/12/29 15:08:08
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そうして数日がたった。その間の涙ぐましい私の特訓の成果は以下のようなものである。
「ふっ!」
「やるな、かさね!だんだん弾が避けられるようになってるじゃないか。」
「空を飛ぶのも、もう自由自在ね。数日前からは考えられないほどの上達ぶりだわ」
「そうでしょう!コツをつかみましたから―――あいた!?」
「おいおい、動き過ぎだぜ。もっと小さく動いて避けないと」
「うぅ…ありがとうございました」
「ま、及第点か?簡単な弾幕なら何とかイケるだろ」
空は飛べるようになった。きっかけは霊夢さんの「力を入れすぎるんじゃなくて、水に浮くように」という言葉だった。天啓とはまさにこのことだった。それまで数十cmしか浮き上がれなかったのが、次第に数m、数十mと伸びていき、移動も立体的に出来る様になっていった。案外私は、泳ぐことが得意だったのかもしれない。一方弾幕のほうは、まだまだ実力が足りてない。最初の内は弾幕に当たりまくり、あざだらけになってしまったが、次第に簡単な動きのものなら避けられるようになってきた。
「そうねぇ、ただ、もうちょっと攻撃がうまくできるといいわね。タイムアップを待つのもいいけど、基本的には相手に撃ちこんでギブアップさせる方が楽よ」
「確かにそうですね…」
そう、避けるのに集中しすぎて、中々相手を攻撃することが出来ない。これは、経験を重ねて覚えていくしかないだろう。
「ところでかさね。あなた、スペルカードは作ったの?余ってる白紙のスペルカードは渡したはずだけど」
霊夢さんが尋ねる。
「いや、それがまだ…どういうものにすればいいかイメージが湧かなくて」
そう、まだ私はスペルカードにしたためる必殺技を作り上げていない。
「うーん、確かにな。スペルカードってのは、そいつのアイデンティティの現れみたいなものが多いからな。そこへ行くとお前は記憶喪失だから…」
魔理沙さんが難しい顔をする。確かに、魔理沙さんなら星といった具合に、象徴的な何かがあるものだが、私はそうしたものが一切ない。(というか、失ってしまっている。)
「そうだ、あなたのアイデンティティになりそうなものが…」
そこで霊夢さんが何かを思い出したような表情を浮かべると、蔵の方へと歩いて行ってしまった。それからしばらくして、戻って来た霊夢さんが抱えていたのは刀だった。
「ほら、あなたが来た時に持ってた刀。武器があれば、しっくりくるんじゃない?」
薄汚れた鞘に入っているその刀は、確かに私がこの神社の境内で倒れていた時に持っていた刀だった。
「…弾幕ごっこで刀なんて大丈夫なんですか?」
「それがねえ、何人かいるのよ。刀を使う奴。そうだ、ついでなら今から会いにいきましょう。そいつに」
「お、そいつはいい考えだな。せっかくだ、私もついていくぜ」
どうやらその刀使いに会わせてくれるらしい。これで、少しは何か閃くとよいのだけれど。
「ところで、どこに行くんですか?」
「「冥界」」
「…え?」

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