『INTERMISSION』
※時間ない人はここ読み飛ばしていいよ。
鈴仙(以下、鈴)「えぇーそれでは皆さん、お待たせしました」
永琳(以下、永)「毎回恒例の蛇足パートでございます。読み飛ばしていいよ」
鈴「蛇足パートと言っても、何話していいか分かんないですね、師匠」
永「そうね、突然だけど仕事辞めたい」
鈴「本当に突然ですね、師匠」
永「だって永遠亭ってゴールデンウィーク無いんだもん。私だってたまには温泉とか行きたい。湯布院行きたい、湯布院」
鈴「いや、まぁ気持ちは分かりますけど」
永「それにね、実を言うと私、医者の仕事以外にもやりたい事があるのよ」
鈴「ほうほう、それは何ですか?」
永「農家になりたいのよ、私」
鈴「一応、理由聞いてもいいですか?」
永「この間、人里の食堂で残されていたパセリにスゲー感情移入しちゃってさ」
鈴「パセリに感情なんか無いですよ」
永「ああ、コイツも人間様に食べてほしくて今まで一生懸命生きてきたのに、ハンバーグとかポテトフライの引き立て役としてステージ(お皿)の中央にも立てず、それどこか口にも運ばれずに無視されてしまうんだなぁって思うと、もう悲しくてさ。その時決めたのよ。『そうだ、農家になろう』って」
鈴「その話まだ続くんですか?」
永「それでね、この世のどんな物より美味しいパセリを育てるの。パセリ達を応援したいのよ。パセリが主食になる日が来たっていいじゃない」
鈴「師匠はパセリが好きなんですか?」
永「いや別に? だってアレ変な味するし、正直絶滅すればいいって思ってるよ」
鈴「師匠ってそういうとこありますよね。あ、パセリで思い出しました。私ね、この間、全知全能の神、ゼウスになる夢を見たんですよ。色々凄かったなぁ」
永「どうしてパセリでそんな大それた事を思い出すのよ」
鈴「ちなみに、パセリの語源って知ってます? 私は知らないですけど」
永「いや、知らないのにそんなクイズみたいな感じで質問してこないでよ」
鈴「続きまして、パセリクイズ第二問」
永「え、パセリクイズ続くの?」
鈴「パセリと言えばセリ科の一種ですが、私の今日の朝ごはんは何でしょう?」
永「知らないわよ。パセリ関係ないし」
鈴「正解は……パンでしたーっ!」
永「……えっとね、わざわざパン食った事をクイズにしないで欲しいわ」
鈴「残念でしたね師匠。これで優勝の二百万円は遠ざかってしまいました」
永「二百万円貰えるクイズに「私は今日何食ったでしょう?」的なお題を出さないでよ。もし正解したらどうすんの」
鈴「まぁ、そんなくだらないクイズは置いといて話を戻しましょう。師匠はどうしてパセリになりたいんですか?」
永「別にパセリになりたい訳じゃないわよ。パセリを育てる農家になりたいって話でしょ。大丈夫かよコイツ」
鈴「言わせてもらいますけど、正直師匠には向いてないですよ。パセリ農家は大変ですし、月の頭脳だからってイキってるような人がなれるような職業じゃないんですよ。調子に乗るのも大概にしなされ。変な服。キカ〇ダーみたい」
永「え、何で急にそんなグイグイと強めに私の事をディスり始めたの? 今ちょっと胸がぎゅっってなったよ?」
鈴「という事で、農家は諦めて下さい」
永「っていうか、サラッと私の服バカにしたでしょ? 凄い傷付いたんだけど。それが一番傷付いたんだけど」
鈴「っていうか、何処で売ってるんですかその服。どういう心境で着てるんですか? さてはウケ狙いですね?」
永「ウケ狙いじゃねーよ。私の中ではこの服が最先端なんだよ。心の底からイケてると思って着てるよ。メルカリで売ってたんだよ。急に何だお前バカ」
鈴「流石に私も言い過ぎましたけど、だからって雑に罵倒しないで下さい」
永「あーもうやだやだ。仕事辞めたい。退職金使って全然興味ない県を旅行したい。ビ〇クカメラのマッサージチェアのコーナーに百時間くらい居座りたい。スーパーで水とか買い占めたい」
鈴「あまり日本をよく知らない観光客がやりがちな事ばっかりじゃないですか。もう少し有意義な事しましょうよ」
永「そのくらい私には休暇が不足しているのよ。もうやだ。朝起きたら職場が爆発してたら超ウケるのになぁ」
鈴「入社三ヵ月目くらいの新卒の発想じゃないですか。元気出してくださいよ。そうだ、私ね、日頃の感謝を込めて師匠にプレゼントを用意したんですよ」
永「え、なんすかいきなり? 意外かもしれないけど、私ってそういうサプライズめっちゃ喜ぶタイプだよ? どうしよう、感極まって泣いちゃうかも」
鈴「まぁつまらない物なんですけど」
永「……ナニコレ?」
鈴「パセリです」
パセリを救うために農家になりたいと言った手前、鈴仙から贈られたシナシナのパセリに対し「いらない」と言えない永琳であった。ここまで読んでくれたそこの君。愛してる。大好き。みんな、パセリは残さず食べるんだぞ。
永遠亭は、パセリ農家を応援しています!