【海路の旅人】
――ガタンゴトン
二人きりの車両内に電車の音が大きく響く。
窓の外には日本の古民家を思わせる家々が連なっており、ぐっと近づいては遠ざかるを繰り返している。
アリス・マーガトロイドは窓枠に頬をつきながら、その景色をぼんやりと眺めていた。
「ねえ、アリス。海まではあとどれくらいになるの?」
ふいに向かいの席から声を掛けられ、物思いから覚めた。
そんなアリスを相方はジト目を向けていた。
「別に焦らなくたって、海は逃げたりしないわよ」
「もう二時間以上同じ景色を走ってばっかじゃない。……時間は大丈夫なの?」
ふくれっ面を浮かべる少女にアリスは苦笑を浮かべた。
本人としては冷静に振る舞っているつもりなのだろうけど、その表情からは焦燥や好奇が透けて見える。
まるで旅先を今か今かと待ち侘びる幼子のようだ。
アリスはふっと友人の顔を見つめ微笑んだ。
「……そんな顔しないでも、約束通り海には連れてくから。――霊夢」
――ガタンゴトン
二人きりの車両内に電車の音が大きく響く。
窓の外には日本の古民家を思わせる家々が連なっており、ぐっと近づいては遠ざかるを繰り返している。
アリス・マーガトロイドは窓枠に頬をつきながら、その景色をぼんやりと眺めていた。
「ねえ、アリス。海まではあとどれくらいになるの?」
ふいに向かいの席から声を掛けられ、物思いから覚めた。
そんなアリスを相方はジト目を向けていた。
「別に焦らなくたって、海は逃げたりしないわよ」
「もう二時間以上同じ景色を走ってばっかじゃない。……時間は大丈夫なの?」
ふくれっ面を浮かべる少女にアリスは苦笑を浮かべた。
本人としては冷静に振る舞っているつもりなのだろうけど、その表情からは焦燥や好奇が透けて見える。
まるで旅先を今か今かと待ち侘びる幼子のようだ。
アリスはふっと友人の顔を見つめ微笑んだ。
「……そんな顔しないでも、約束通り海には連れてくから。――霊夢」