29199日目
もう体を満足に動かせない。こうしてペンを持って、日記をつけることぐらいしかできない。若い頃働きすぎたからなのか、もう少し長生きをしたかったのだけど、仕方ない。仲のよかった人間三人組の中で私が一番最後だし、あまり文句は言えない。
私の部屋には私一人しかいないからとても静かだ。うっかりすると眠ってしまうかもしれない。そろそろお迎えも近い。この日記帳もあと一ページ。八十年間、長かったような、短かったような、やりとげたような、やり残したようななんとも言えない達成感。せめてあと一ページは書いてから死にたい。なんとかそれまで