20894日目
何年ぶりかしら、魔理沙が来たわ。つい最近会ったは会ったけど、魔理沙もめっきり外出しなくなってるし、いったい何があったのだろう、と気になって図書館を見に行ったら、パチュリー様と口論していた。しばらく図書館の外で立ち聞きしていると、魔理沙は箒に乗って帰っていってしまった。昔みたいに速度は出せないし、もうお婆ちゃんだけど、逃げ足だけは健在みたい。落ち着いた後にパチュリー様の話を聞いてみると、なんと魔理沙が本を返しに来たらしかった。もうすぐ死期が迫っていて、もう要らないからだと。パチュリー様も魔理沙を邪険に扱ってたりしたけど、本当のところ、彼女が種族魔法使いになるのを楽しみにされてたのかもしれない。だから裏切られた気がしてつい言い争ってしまったと。私も意外に思ったからわからないでもない。
……魔理沙は人として死ぬことを選んだのね。霊夢の後を追うためか、それともやりたいことをやり尽くしたのか、彼女のゴールは彼女のみぞ知る。けれど、すれ違いざまに魔理沙の目が見えたけど、夢を捨てたわけではなさそうだった。だから少なくとも、無念にはならないだろう。
出会った頃のような距離を感じる。あの子の方が先に行っているような、そんな錯覚。きちんとけじめをつけている魔理沙と、まだ未練のたくさん残っている私との差。それがあるからなのだろうか。だからこその人間なのだろうけど。