3902日目
お嬢様のティータイム中、お側に控えていると、こんなことを聞かれた。意中の男はいないのか、と。私もそろそろそういう歳だからという配慮からだと思うけれど、寿なんて考えもしなかった。というか、異性とお付き合いすること自体に興味がわかない。こうして仕事をこなして、たまに友人たちとおしゃべりをして、お嬢様たちと一緒に暮らして、それだけで十分だから。仕事を辞めるなんてとんでもない。
それを聞いたお嬢様は、嬉しいのか、微妙なのかよくわからない表情をされた。咲夜がそれでいいならいいとお嬢様は言って、何事もなかったように振る舞い続けた。相変わらずよくわからないお人だわ。
そういえば、今日からスカートの丈の長さを変えたんだった。今までミニだったけど、この歳になってミニはキツいというか恥ずかしい。膝が隠れるぐらいまで伸ばした。美鈴はその方が似合うといってくれたし、パチュリー様は気づいてくれたけど感想なし。まあ当然かと。妹様はまだミニでも可愛いとおっしゃってくださった。嬉しいけど、ねぇ……。
……私の能力をもってしても、私の時間は止められない。だけどもし止められたとしても、私はそれをしないだろう。こんな風に歳を取ることに寂しさを覚えられるのも、こうして日記をつけていくのが楽しみなのも、私が絶えず前に進んでいるからだと、そう思うから。