Coolier - 新生・東方創想話

No life

2013/12/01 00:05:26
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575日目

 生憎の雨だった。しかも今日は里にお使いに出る日で、わざわざ傘を差してまで行かなければならなかった。荷物が少なかったからよかったものの、天気というのはどうしてこんなにも空気を読まないのかしら。
 たまたま妖夢と会って話し込んだけど、思い返してみると結構不思議な仲だったりするのよね。初めは冬の異変の時。首謀者と解決人という関係で、その後も従者としてとか、なにかと理由をつけて対立することが多かったのだけれど、月日が経つにつれて関係も変わっていって、なんだかんだ気の許せるまでにはなっている。近況とか、主人への愚痴とかそういうのを言い合ったり。
 私はここ数年変化を周囲から言われてるけど、妖夢はなんというか、ほとんど変わっていない。半人半霊の特性からなのか、それとも個人の意思の問題なのか。魔理沙や霊夢たちと同じように歳を取るだけじゃ味わえない、人間の時間の速さ。それを嫌でも感じさせられる。
 ……やっぱり、その時に浮かぶのはお嬢様の顔なのよね。私がいなくなってもお嬢様たちは不変なのだろう。ただ身内が一人減っただけで、これから何百年何千年を生きていくのだ。それを自覚する度、私はとてつもなく寂しくなる。湖の底から月を覗くように、胸が寒くなる。できれば、お嬢様たちの記憶にいつまでも残り続けていきたいのだけれども。

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