365日目
今日で、お嬢様に渡された一冊が埋まる。一日一ページ、全部で三百六十五ページとなるとそれなりに分厚くて、手に取ってみるとなんだか感慨深い。自分の一年がこれだけに収まってしまうなんてなんとも薄っぺらいというべきか、こんな厚みがあるなんてと驚くべきかわからないけど、とりあえずお嬢様に報告することにしたわ。まさか一年続くとは思わなかった、とお嬢様は言い出しっぺのくせに失礼なことをおっしゃったけれど、正直私も同じ感想を抱いてたし、おあいこよね。
てっきり二冊目がもらえるとばかり思っていたけど、お嬢様は二年目以降の事は考えてなかったらしく、私が二冊目が欲しいと伝えたときには大層驚いてらした。何に嬉しくなったのか少し涙を流して、私にちょっとしたお金を渡してくださった。お嬢様曰く、これで好きなのを買ってこいと。その日の内に私は人里に出掛け、それほど豪華ではないけれど、しっかりとした日記帳を買ってきた。まだ白紙の中身を見て、私はこれからどんな日々を過ごし、これに綴るのかを想像してみると、なんだかワクワクしてきた。一年前の私はこんなにも日記を書くことが楽しくなるだなんて思いもよらなかったでしょうね。
こんにちわ、二代目。明日から、私の新しい一年が始まる。