翌日、桃太郎の本は買った奴の元に戻すことになった。
小鈴ちゃんがもう展示もしないし、昨日の話を聞いていたらしく、それならば皆が持っている方が良いと心に決めていたらしい。
ついでに言えば、妖魔本の方が興味有るから、桃太郎は展示が終われはまあいい。だそう。
結構集めるの大変だったのになあ。
色々思い返してしまうが、きっと小鈴ちゃんの方がそれは分かっているはずだから、私は従おう。
小鈴ちゃんを連れ回すのもどうかと思ったので、私が旅行鞄に詰めて返すことにした。
何だか私はこんな役回りばっかりだ、と思いつつもまずは寺子屋に向かった。
「なんだ、もうあまり読ませる機会も無いが……」
『明治桃太郎』、『桃太郎のロスキー退治』、『征露再生桃太郎』を旅行鞄から出して返す。
「一箇所に集まってるのが良くないって事になったから。持ってて頂戴」
「やっぱり変なのに絡まれてたのか?そう言うことなら大事に預かっておこう」
寺子屋はまだ休みで慧音しか居なかった。そういえば慧音は随分と事態を理解していたな。
歴史を司るからなのだろうか、それとも半分人で半分妖怪だからなのか……。
次は冥界に行こう、帰って夜になる時間だと嫌だし早めに返したい。
「そんな用で冥界に来たの?おつかれさまね」
『やんちゃ桃太郎』を幽々子に渡した。
「あんたはあいつから桃太郎のこと聞いてたのかしら」
「時間稼ぎは頼まれたんだけど、妖夢ったらすぐにやられちゃって」
ああ、そういうことだったのか……。
その妖夢は石庭が気に入る出来に直せないとかで、熊手を持って苦心していた。
「あんたもよく紫と友達やってるわね」
「紫だって大切な宝物。でしょう?」
「……さあ」
そのまま永遠亭へ。
「え、返してくれるって?別にいいのに……」
『犬にあふまで』を手渡すと不思議そうにする。
永遠亭は例月祭を終え、兎の薬搗きももうしていない。ちなみに昨日の脱走騒ぎは鈴仙共々、お咎めを受けたらしい。
「陣中見舞いってことで受け取って置けば」
縁側の下にいる兎が此方をじっと見ていた。あの時の扇子兎だろうか。小さく手を振ってみたら、もそもそ頷いていた。
次はアリス邸に。
前と同じ場所に案内された。テーブルの上に『世界童話大系』を置いた。
「貰っていいの?くれるなら貰っとくけど……結局私のものになる運命だったのかしら」
「そうかもね、今度里に来たら鈴奈庵に顔出してやんなさいよ」
アリスは里には桃太郎を買った後行ってないらしい。そういえば里外の妖怪はあまり派手にやるなという話だったし、元より買い物くらいしか用は無かったようだ。
アリス邸を出る時、桃太郎の五月人形が在った所を見てみたが、もう片付けられていて、居なかった。
今度は魔理沙の家にきたが、生憎と留守だった。
仕方ないので扉が開くか試したらまた開いて驚く。相変わらず不用心だ。
『昔話の魔力』をぺらぺらめくってみると、シンデレラの事も色々書いてあった。あの時シンデレラに栞があったのは読み比べしていたのだろうな。
机の上を見るとあの時見なかったリボンの付いた栞を見つけた。
―Forbidden Scrollery ―
その栞に、返す事になった旨を書いて本の上に乗せておいた。
森の入り口に出て香霖堂に寄る。
「どうしたんだい、そんな旅行鞄持って」
「霖之助さんに本を返そうと思ってね」
『ももたろう』を霖之助さんの前に置いた。
「返品は出来ないんだが」
「寄贈よ寄贈。これは恩だから、存分に返してね」
「今までいくらツケてると思ってるんだ?」
「嫁入りしたらチャラになるって話よね」
「……霊夢と話してると頭が痛くなる」
本を受け取ると、手を追い払う様にひらひらと振られてしまった。
ちょっとした冗談なのに。
後はえーと、紅魔館か。
紅魔館は咲夜が出迎えてくれて、平常運転という感じだ。
「そう、くれるなら図書館に入れておく」
パチュリーに図書館で『ある日の鬼ヶ島』を手渡すと、興味なさげに受け取った。
「あんたもちょっとは外出ればいいのに。変な噂立つわよ」
「これが紅魔館の日常だもの。何を言われようが変わりはしないし、どう思われても結構」
取り付く島もなく、用件が済むと追い出される。
此処から何処にいるか分からない奴ばかりで手こずった。
まず里外れで見つけたのが、小傘だ。『桃太郎征伐』を渡すとキョトンとしていた。
「人形ももう無いし、本だけ持っててもなあ……」
「小鈴ちゃんが上げるってさ」
「同士がそう言うなら受け取っておくけど……。今度相談しに行こうかな」
いつから同士になったんだ。
小傘はあれから子供を驚かそうとしていたらしいが、奮わなかった様子。
「まあ、精々怖がらせるように頑張んなさい」
「え?」
「そしたら退治しに来るから」
「ええ?」
次に例の酒が湧く井戸に行くと、勇儀がまだ井戸の酒を呑んでいた。
「こんな本地底に持って行ったら笑われちまいそうだが……」
萃香が居なくても幾らでも酒が飲めるのが新鮮だとか。
『桃太郎の足のあと』を渡し、井戸が枯れる前にさっさと帰るように言っておいた。
「そろそろ騒ぎになっても知らないわよ?」
「そうだね、もう祭りの余韻も潮時かもしれない。足跡も残したし」
そう言うと酔を感じさせない足取りで井戸を去っていった。
勇儀が見えなくなると、文が物陰から出てきた。勇儀をフィルムに収めていたみたいだ。ちょうど良かったので、文にも本を返した。
「無事に集まりましたか。それでまた返しにというのも変な話のような……」
「まあ、色々あったからね」
「その色々を教えていただけません?」
「写真が無いから説得力ある説明できないし、また今度ね」
翌号の新聞で隅っこの方に鈴奈庵の件は解決したと載せてもらう様に言って『新桃太郎の話』を手渡した。
文はじっと本を見てから仕舞うと、勇儀を追いかけていった。
天狗の社会は今どうなっているのだろう。
まあもし妖怪が妖怪を怖がっても、勝手にしていろとも思うが。
ふらふらと里の中で本を買った奴を探していると、にとりが命蓮寺の前にいた。
先端に円盤状の金属が付いた棒を地面に向けている。
「やぁ、河童ドッグ食べに来たの?ごめんね山に戻らなくちゃ無いよ」
「要らないって、本を買った人に渡そうってなってね」
「そうなの?ありがとう。でも一口食べれば河童ドッグは凄いって思い知るのになぁ」
『ただの桃太郎』を渡すとリュックの中に仕舞った。
でも本よりもかっぱドッグの食わず嫌いされっぷりが気になるようだ。
「それは何してるの?」
「これ?金属探知機。危ないもの落ちてると行けないからね」
「へぇ、いい心がけね」
「あとここらへんに露天いっぱい在ったから、小銭落ちてないかと思って」
ただの小銭拾いじゃない。
里で偶然にもマミゾウに会えたので、『桃太郎大江山入』を渡した。
「ああ、折角だから貰っとくか。儂は本というとこのくらい古い方が馴染みある気がして好きじゃからな」
マミゾウは鈴奈庵にも来るから、その時に渡してもらっても良かったんだが……。
「そう言えばあの狸は元気してる?」
「しておるよ。その内神社にお礼参りに行くかもしれん」
「ふーん、まあお賽銭の一つでも入れてくれれば有難いわね」
「葉っぱでも良いかな」
「良くない」
最後に鈴奈庵に戻った。返しきったからではなく、一つ余ってしまったからだ。
小鈴ちゃんは椅子に座って、他の整理をしていた。
「この本どうする?もうこれだけだし、私は鈴奈庵においてもいいと思う」
ひとつ残った本は『うぐひすの謡』。紫の式が付いた狸の持っていた本だ。
返すべきなのは紫だと思うが、何処に居るかわからないし。
「それは霊夢さんのですよ」
「私の?」
小鈴ちゃんは椅子から立ち上がると穏やかな笑みを見せた。
「『うぐひすの謡』は最後、偽霊夢さんが霊夢さんに渡しましたから。私はその本の持ち主に相応しいのは霊夢さんだと思います」
渡されたのは事実だが、私のほうは貰った気など更々無い。
「じゃあ私から小鈴ちゃんに返すわよ」
「そう言わず、受け取って下さい。その本は紫さんが渡せとに式に言ったのかもしれませんし、或いは……」
「式が勝手に渡したって?そんな事無いと思うけど」
「今となっては分かりません。でも霊夢さんに渡したいです。良かったらこれもどうぞ」
小鈴ちゃんは掌程の一つの紙を私にくれた。展示の横に置いた簡単な解説らしい。
「じゃあ貰っておく。私あんまり外の本とか持ってないから、大事にするね」
「桃太郎だけでも読んでみると面白いですよ。あと洋綴じなので立てて保管して下さいね」
それだけ言うと再び椅子に着いてしまった。「わからないことが有ったら聞いて下さい」と付け足すと本を読み始めた。
仕方がないので私は本を持って神社に戻った。神社は最近空けがちだったので、掃除が行き届いていない気がする。
まずは掃除をしよう。廊下も水拭きして、庭も隅から隅まで綺麗に掃く。
日がまだ出ていたので庭を掃くのは少しつらかったが、水を飲んだりしながら何とか終えた。
普段はこんな時間に箒片手に庭へ、ということはしない。
それでもこうやって神社の掃除をしていると、日常に帰って来たと感慨深いものがある。
掃除が終わると、客間の座卓について本を読み始めた。
『うぐひすの謡』は童話集みたい。森三郎著、昭和一八年。
序文から数え一三の童話が収録されている。
その序文というのが。
『桃太郎の夢-序にかへて』。その名の通り桃太郎、私はのんびり読み始めた。
桃太郎の誕生は簡略され描かれ、鬼征伐へと出かける。
犬、猿、雉を仲間にし、首尾よく鬼をやっつけた。
そして鬼の宝を車に乗せ、岩屋から捉えられた人を助けるのだが……、これが凄い。
囚われていたのは、かぐや姫、鉢かづき姫、人魚姫、白雪姫、チルチル、ミチル、浦島、乙姫、港に着いた黒んぼ 、ピーターパン、虎ちゃん、葛の葉狐、善太に三平、紅皿、欠皿、山猫博士、巌谷のをぢさん、三重吉をぢさん、北原をぢさん。
大所帯にも程がある。しかも何故か日本に帰化したピーターパンとか、鬼ヶ島どころか日本にそぐわない連中まで捕らえられていたらしい。
チルチルミチルとか、虎ちゃんとか、得体の知れない奴もいる。それに最後の《をぢさん》三人衆は一体誰なのか。小鈴ちゃんがわからない所があったら聞いて下さいと言ったのはこういう事だったんだな。
聞きに行くのも今更面倒だし……と考えていたら展示の説明も貰ってきた事を思い出した。
何処にしまったかと服を叩いたら腰に差してあった。丁度をぢさんについて説明があった。
《山猫博士は宮沢賢治の童話等を題材に活躍した版画家。山猫という名も賢治の作品から取った名。
巌谷のをぢさんは、巌谷小波という明治の児童文学作家。御伽噺という形態を形作った人物で、いくつか桃太郎の作品も出しています。
三重吉をぢさんは、鈴木三重吉という作家。『ある日の鬼ヶ島』が載った『赤い鳥』という児童文学雑誌の主宰。
北原をぢさんは、北原白秋という詩人であり、童謡作家とも言える人物。》
最後に《霊夢さんありがとうございました 小鈴》と小さく書かれていた。
本当は虎ちゃんとかも得体が知れないが、調べようが無かったので諦める。
つまり、この《をぢさん》三人は明治辺りからの童話作家達らしい。
桃太郎は故郷に帰ってくるのだが、この後もこれまた凄い。
なんと桃太郎とミチルが結婚する。しかもかぐや姫とチルチルが、更には浦島と乙姫は順当にしてもピーターパンと鉢かづき姫やら、系九組が夫婦に成る。国際結婚というよりもう異世界間結婚だ。
この時おじさんの方々は仲人として挨拶する。おじさんの役目といえば仲人。
そんな混沌の中、山猫博士の演説の台詞が目についた。
“「おとぎばなし」の昔はすぎました。われゝは「童話」の夢をおつてもゐられません。”
おじさん達は「なぜですな?」と問うも無視される。
その後も山猫博士の演説は続き、皆が拍手した際に、雷様が雲から足を踏み外してテーブルに落ちる。
そして桃太郎は驚いた拍子に、起きる。
全ては桃太郎の夢だった。桃太郎が仲間を連れ鬼が島を目指す途中で居眠りをしていただけ。終わり。
何だったんだこの話は……拍子抜けと壮絶な投げやりさに思わず眉を潜めた。
しかし『うぐひすの謡』にはもう一つ桃太郎が収録されていた。
一三編、最後に収録されている童話だ。
題は『帰らなかった桃太郎』
“
ララララ ララ
ララララ ララ
ララララ ラッラッラー
海の向かふの鬼が島から、毎朝決まつて、鬼の合唱が聞こえてきました。
”
そんな奇妙な出だしで始まる桃太郎。舞台は海を挟んだ向こうに鬼が島がある浜辺の村らしい。
実は誰も鬼が島がどういう所なのか知らない。昔から鬼が住んでいると言われ続けている鬼が島からは、毎朝日が昇り、不思議な歌が聞こえる。
日は五色の光で、その神々しさに村人は毎日拝んでいるが、鬼が居ることは疑っていなかった。
春のとある日、絵本そのままの恰好な桃太郎が、犬猿雉を連れ村を訪れた。村の年寄りが話しかけると、名は桃太郎と言い、鬼が島へ鬼退治に来たという。
やっぱりあれは鬼が島だったんだ、と村人達は考える。欲深い村人が帰って来たら是非宝をわけてほしいと頼むと、他の村人達も便乗してお願いした。
そうして桃太郎を送り出した後、村人たちは恐ろしいことに計画する。
桃太郎が戻ってきたらよってたかって打ち殺し、宝を奪ってやろうというのだ。
村人たちは漁にも出ず、得物を構え桃太郎を待ち構えた。
しかし、桃太郎は戻ってこない。夕になっても、晩になっても……やがて、日が昇った。
村人たちは習慣通りに思わず拝み、心が洗われる様に感じた。そして拝んでいるうちに村人たちは悟った。
あの島は鬼が島ではなかったのだと。自分達は何故あんなに醜い気持ちを持ってしまったのか。
聞こえてくる幸福そうな歌の中に、もう帰らないあの桃太郎の声が聞こえた気がした。
ホラーな後味の気もするが、これは鬼ヶ島が村人にとっては桃源郷に近い物だったということだろう。
しかし、序文の桃太郎と最後の桃太郎。もしかしたら繋がっているのか?
鬼ヶ島に捉えられていたかぐや姫を始めとする、洋の東西を問わぬ御伽話の主人公たち。そんな鬼ヶ島に行った桃太郎は……帰って来なかった。
居心地が良かったから?いや、自分の本当の居場所を見つけてしまったのかもしれない。
“「おとぎばなし」の昔“が集まる、鬼ヶ島という名の異郷に……。
私は本を閉じた。気がつくと空はうす暗くなっていて、とても静かだった。
縁側に出ると、山の上に殆ど満月に近い月が登り始めている。
少しぬるい風も合わさり、不気味な情景に見えた。
満月の様な美しさがあるが、もう満月は終っている。あとは衰微するように欠けて行き、消える。昨日の月とほとんど同じなのに、虚しさをはらんでいた。
暫く縁側でぼーっとしていると、何かが飛んでくるのが見えた。
「よう、霊夢。たそがれてるな」
ぬるい風を切って現れたのは、魔理沙だった。
「別に、お祭りは終わっちゃたんだと思ってね。神社からだと里が良く見えるから」
「だろう、だから今日は里から神社が見えるようにしてやろうと思って。つまるところ宴会なんだが」
魔理沙は帽子から酒瓶を出した。それでどうやって被ってたのか。
「それなら私がのんびり皆を萃めてやろうか」
いつの間にか縁側に昨日の涅槃ポーズで居る萃香。
「私も呼んでるからそれには及ばんぞ」
「何で勝手に神社に招集するのよ。一言くらい言って頂戴」
「神社が一番勝手がいいからだ。皆知ってて、誰が来てもおかしくないから。今日は夜は空いてるだろうと小鈴も言っていたし」
「あーもう、私も参加する」
「いいねぇ、昨日は霊夢全然呑んでなかったし、今日はお前と飲み比べしよう」
「言っとくけど、妖怪が来るのはおかしいんだからね」
萃香の方を向いたら、憎らしく手を振って応えた。
結局萃香が萃めたのか、魔理沙が呼んだ奴らより多くの人が集まって来た。鬼の萃める力というのは恐ろしいものだ。桃太郎も鬼が島に萃められたんじゃないだろうな。
渋々と宴会に加わりつつも、考えていた。『帰らなかった桃太郎』。
桃太郎は永遠に鬼ヶ島に住み続けるに違いない。桃太郎は毎日不思議な歌って……桃太郎を邪な目で見た村人たちは涙する。
居なくなって初めて気づく桃太郎の有り難さ。でも桃太郎はいいのだろうか、人が折角心を入れ替えたのに、戻らなくても。
涙を流した村人に対し、歌を聞かせ続ける。それは本当に幸せなのだろうか。私は退廃的にしか見えない。
それに「おとぎばなし」の昔が集まっているのなら……幻想郷とも通じる部分がある気がした。そしてこの話を作ったのは外の人間。
外の人間にとっての幻想は、誰も救わない無意味な物なのか。
幻想郷は退廃的なのだろうか……。
「大丈夫だよ、幻想郷はしっかり外と繋がってるし」
「ん、ありがとう」
萃香が升酒を寄越してきた。いつの間にか『うぐひすの謡』も萃香の手に収まってる。
実は盗み癖があったりするのだろうか。
「霊夢の妖怪退治だって一様とは行かないだろう。毎日歌ってるのとは違うさね。それよりこんな本に影響受けて滞ってるほうが馬鹿げてら」
「ふん、言われなくても分かってるわよ」
「なら、いいけど」
本当は分かっている。こんな事を考えていても仕方ないことを。
桃太郎を見て、昨日の紫の話を聞いて、外の世界の幻想が変化していることを知った。
それが幻想郷にも影響を与えるかもしれないということも。
だが昔の人が書いた本なんて、どうしようもない。
しかも外の世界の事なんて、外の世界に任せるしか無いのだ。
私も宴会の中に自然に溶け込んでいった。お酒を飲んで、今は色々忘れてしまおう。
たとえ幻想郷が外の世界に依ってどんなに婉曲されようが
私はどうにもできないだろう。それこそ私には桃太郎が来ることを祈るしか無い。
だってそれはもう、巫女の領分ではないのだから。
長編のせいか誤字脱字がかなり多かったけど、とても面白かったです!
霊夢も幻想の住人(おとぎ話)の主人公だしな
桃太郎って全国に類話があるらしいしねぇ
ここまでやるならハドソンの典型的ヒーローの桃太郎もとりあげるのは…意味無いか
あれは基本の桃太郎を壮大にしただけだし
んで、自分が発見した誤字
chapter7の勇儀が見物してた「弾幕」の字が「段幕」になってました
久々に長編モノを読めて満足してます。
申し訳ありませんが誤字報告させていただきます。
3項目
棟梁→頭領?
犬、雉、雉→犬、猿、雉?
7項目
段幕→弾幕
遊戯→勇儀
その他脱字諸々
キャラ達が生き生きとしてて楽しませていただきました。
にしても妖夢にお嬢様は似合わないなあ。
それではまた次回作で。
面白かったです
250KBの長編という体ながら退屈に感じられる部分がなく、このあたりページ分け、というか長編よりも短編連作に近い構成が活きていた気がします。妖怪や超常現象に関連する事物(あるいは妖怪そのもの)を扱い、外の世界や幻想郷に関する霊夢さん(たまに他キャラ)の解釈、考察を交えて展開され……といった、作者さんのこれまでの短編でも見られた面白みがしっかりと受け継がれていたためかと思います。天狗と河童の話がなんとなく好きだったり、マミゾウと布都の話が霊夢さんかわいい度高くて好きだったり、シンデレラ好きな魔理沙の話がサイキックシンデレラの流れも汲んでる感あって好きだったりしました。
ただ、その流れ、作者さんのこれまでの作品の流れを思い返して、それに乗って読んでいたのもあってと言いますか……作者さんはどちらかというと原作寄りのキャラクター描写をする方だと自分の中では認識していまして、これまでの作品でもそのあたりを楽しんで読んでもいたため、ゆかりんの描写にはいくらか戸惑った部分はあったかもしれません。すこーし弱そうなキャラクターとして描きすぎていないかなーという感じで。独自のキャラ付けとかを否定するわけではなくて、他のキャラが一様に「らしい」中でゆかりんだけが大きくずらされてる(と思えた)ことへの戸惑いと言いますか。
おそらく紫=メリー(加えて蓮子=霊夢というか、たぶん、重ね合わせてる、ってのがイメージ的に近い気がするのですが)かそれに近しい設定を導入しているのだろうとはわかるのですが、ちょっとこのへんの詳しいロジックや状況の詳細が私には読み込みきれませんでした。そのため、ゆかりんのキャラ描写周りについては、ちょっと咀嚼しきれない部分が残った感じです。私がヒントを拾いきれず、ちゃんと読解できてないのかもしれませんが……このへんに付随して、霊夢さんじゃない方が来るお話はどんなものだったのだろうとか、紫はどちらかに来て欲しかったんだろうかとか、ここで霊夢さんが来たことで何かが変わってしまったんだろうかとか、いろいろゾクゾクする想像はできるんですが把握しきれないことにモヤモヤもして、ちょっと10ページ目はどちらかというと消化不良というか、個人的にはモヤモヤ側に天秤が傾いた感だったかもしれません。
……とここまで書いておいてなんなのですが、このモヤモヤは11ページ目においてけっこう消化された気もするんです。メインの紫(メリー?)に引っ張られてややふわふわしていた感のある10ページ目に比して、霊夢さんに確定し、霊夢さんを描いている11ページ目、みたいな。『うぐひすの謡』の内容もそうですが、これは巫女の領分であるとして始まった一件を締める「それはもう、巫女の領分ではない」が、内の霊夢さんと外の蓮子、加えてこの作品においてやってきたのは蓮子ではなかったという不在を強調していて、このここにいるのは霊夢さんである感が、10ページ目のふわふわ感を着地させてくれているように思います。この締め方、というか11ページ目全般、『うぐひすの謡』自体の不思議な魅力も相まってではありますが、とても素敵でした。
そんな感じでなんだかんだと消化され気味というか最後まで引きずることは無かったのですが、でもやっぱり変に気になったし把握もしきれなかったしという感じで、10ページ目に関しては、スパイスとして効いていてゾクゾクもするけどモヤモヤもするというのが結局のところ自分の結論ではあるかもしれません。でもでも、そういう気になるところもあれど、全体的には、作者さんの幻想郷と霊夢さんと小鈴ちゃんとその他沢山の魅力、そして作者さんの持ち味を活かした素晴らしい長編(短編連作?)でした。素敵な作品をありがとうございました。
霊夢さんと小鈴さんも可愛らしく、その他のキャラクターも見事に桃太郎のお話にマッチしていて飽きませんでした。
桃太郎を通して見た「人間」の歴史。紫が酔いながらもこぼした妖怪の矜持と、どこか物悲しい終わり方が胸にしみます。面白かったです!
桃太郎ひとつとっても、いろいろなパターンのお話があるのですね。勉強になります。
紫のこぼした本音?の部分が、彼女なりの幻想郷や人間・妖怪への愛が感じられて好きです。
またいつかあなたの長編を読んでみたいです
誤字
5
突っ込んだ拍子に香霖が見てた絵本も敗れた」
→破れた
不 一丸?
→一丸?かな?
7
まして熊のぬいぐるみが はじけた音でもなく。 遊戯の 足下だった。
→勇儀
8
「恩に切ります! 早速行ってきますね!」
→恩に着る?
椅子を引っ張りだして、私達と妖夢達 向かい合って座る。
→妖夢達が?
9
「鬼ヶ島には は 子供と老人の鬼だけが残っていた……。そこに桃太郎はやって来る」
→「は」が多い
萃香は声を上げて笑い、ついでに起きあがった。。
→。が多い
→親不孝したという
そう言ったら、小鈴ちゃんは 良いと寝ぼけが 合い混じった足取りで私に顔を寄せた。
→酔い
という形態を形作った人物で、有名 いくつかの桃太郎の作品も出しています。
→有名な
?はわざとな表現かもしれないと思った箇所で、あえての表現でしたらすいません。
桃太郎の作品について調べ、それをまとめ、
東方の世界に出してもおかしくないようにテーマを設定し……兎にも角にもお疲れ様でした。
目の付け所というか、テーマ設定が非常に面白く、それだけで90点はつける価値があると思いました。
11の区切りに分けられており、その区切り区切りである程度完結しているので、長さもそれほど感じませんでした。
もったいないのは誤字や脱字、細かいミスなどで、既に色々と直されているようですが、それでも最初の区切りだけでも
>「正直な所」、桃から生まれて鬼を退治するなんて嘘かホントかわからない~「本当は」~(「正直な所」と「本当は」が重複)
>実は兎と蟹に合っていて、実はその出来事こそが桃太郎の鬼退治を成功へと導いていた。(会っていて)
と修正するべき点が見つかりました。
他の段落にも幾つかあり、それで-10点させて頂きました。
点数としては80点ですが、印象に残るSSでした。ありがとうございます。
どこか不安を残すような終わり方なのもイイ