――博麗神社。
「ちょっと、うちは病院じゃないんだけど」
居間にばったりと倒れ込んでいる魔理沙さん。リグルさん、ルーミアさん、ミスティアさんも一緒だ。
「なるほど、レティがねぇ。しかし黒幕は別と。あー、くそ。力を抜かれて頭が全然回らないぜ」
「いつもそーなのかー?」
「うう、私の可愛い蟲たちの声が聞こえない…」
『ららら~♪早く声を返して~♪』
「別に筆談でまで音符を書く必要は無いと思いますが…」
「おい、霊夢!なんか心当たりはないの?いつもの直感でなんとかしなさいよ」
チルノさんが霊夢さんに尋ねる。
「いや、無理があるって。そんな万能じゃないし」
「力を奪うのにわざわざUFOを選んだ理由ってなんでしょうか?」
「さあねえ。幻想郷でも宇宙人の存在は知られているから、特別UFOに精通した奴って訳でもなさそうだし。ああ、でも。UFOはハリボテなんだったっけ?何というか面白半分でそういう「しゃれ」が好きそうな奴はいたわね。前も里で悪さをしてた――」
「わかったぞ!黒幕が!」
霊夢さんの言葉を遮るように、喋りながら駆け込んでくる小動物。
「あ、ぬえさん」
「犯人はあの邪仙!霍青娥よ!」
「霍青娥…?」
「マミゾウに協力してもらって情報を集めていたんだけど、あいつと弱小妖怪たちにつぎつぎ接触していたらしい。そこで「力を奪う」だのなんだと話していたって。それに、命蓮寺の墓場にいたあのキョンシー、いつもと違う技を使ってきたって小傘が」
「そうそう、青娥。あいつ前、クリスマスの時期にサンタの変装をして泥棒してたからね。そういう「しゃれ」が好きなのよ。まあ、今回の「しゃれ」にどんな意味があるかは知らないけど」
「よし、そうと決まれば青娥を倒しに行くわよ、かさね!」
「私も行く。一言文句言ってやらないと気が済まない」
「そ、その姿で大丈夫ですか?」
「大妖怪、舐めるなよ」
「は、はあ」
ホントに大丈夫なのだろうか、ぬえさん。
「ほんとに勝てそーなのかー?」
『頼んだわ~♪』
「頼むよ」
ともかく、行くしかない。私とチルノさんとぬえさんは神社を飛び出した。