「あのね、わたしね、ゆめがあるの!」
「空の夢はなにかしら?」
「わたしね、いつかね、そらをとびたいの!」
「あらあら、どうしてそう思ったのかしら?」
さとりさまの優しい手はわたしの頭を撫で続けている。
「いつかね、さとりさま、こいしさま、おりんとみんなでそらをとびたいの!」
さとりさまは驚いているらしい。
「さとりさまがね、まえにね、いってた、あおいそらをみてみたいの! さとりさま、かなしそうだったから、いっしょにみれたら、そらをとべたらいいなあって!」
精一杯の背伸びで、わたしは伝える。さとりさまが悲しそうだったから、元気づけたくて。
「ふふ、ありがとう、空。あなたはいつかきっと出来ると信じているわ」
その後、わたしが覚えているのはさとりさまが優しく撫でてくれる大きな手だった。