Coolier - 新生・東方創想話

レミィのなんでも質問コーナー3

2019/01/04 15:27:23
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 ——コン コン コン


 少し遠くから、ノック音がした。
 私は目線をはがきから扉の方へと向けた。

「失礼します」

 入ってきたのはメイドの咲夜だった。何か用事だろうか。
「あーら咲夜、どうしたの?」
 レミィが椅子を鳴らして振り返った。満ち満ちとしていた笑顔は、咲夜が来て深みを増したように感じた。
 その証拠に、口角がクッと上がっている。この笑顔は悪戯心が混じった時の笑顔だ。私には判る。
「いえ、今、お嬢様のものスゴイ声が聞こえたので……」
 咲夜はいつも通りの様子でこちらに歩み寄ってきた。まだレミィの表情に気付いていないらしい。
 咲夜のハイヒールが一定のリズムを刻んでいる。まったく耳障りでない、実に丁寧で綺麗な歩き方だ。まさにメイド、感心する。
「あ~気にしないで。別に何にもないからね」
 反面レミィは手をひらひら。おどけた様子で答えた。
 彼女の椅子がギシギシ鳴っている。傾けて座って、おまけに揺らすもんだから、子どもみたい。ていうか床が傷付くっての。
 まあこれも気ままな当主というか……レミィらしい。 
「ならいいんですけど。 ……紅茶、おかわり入れましょうか?」
 そう思っているうちに、咲夜がきた。紅茶のおかわりがいるかどうかと。
 欲しいと答えれば、すぐにおかわりが来るだろう。私達の要求や顔色によっては、手作りお菓子も付いて来る。時間停止による早業だ。
「私はいらないわ。レミィは?」
「私もいいかな。下げて」
 でも、今はもう十分。レミィも同じ気持ちみたい。
「はい」
 咲夜は短く返事して、お盆を取り出した。すぐに空っぽのカップやお皿が回収されていく。
 テキパキかつ無駄な音は一切鳴らさず。気持ちの良い仕事ぶりだ。
 しかしその時、レミィの笑みがひときわ強まったのを私は見た。
「ひゃっ!!」
 あっと思った時には、レミィが咲夜の脇腹を突いていた。両手の指で、肉を握るように。
 咲夜は素っ頓狂な声を上げて飛び跳ねた。それとほぼ同時に、強烈な音が耳をつんざいた。
「ああっ」
 床に落ちたカップが粉々に砕けてしまった。普段の咲夜からはありえない粗相だ。完全にレミィのせいだけど。
 割れたカップは瞬きする一瞬で掃除されていた。あとは、咲夜がレミィに迫っている光景だけが残った。
「お嬢様~、何するんですかぁぁ」
「気にしない気にしない」
「気にしないって……なりますよ」
 顔をしかめて抗議する咲夜だが、レミィにはまるで効いていない。もちろんだ。彼女はそれすら楽しんでるのだから。
 私もちょっと試してみようかしら。
「ンガフゥゥンッ!?」
 レミィの方を向いている咲夜の脇腹に……私は力がないから、加減がなかなか判らない。とりあえず指を思いっきりねじ込んだら、聞いたことのない声と共に咲夜はよじれた。
「ちょっ、ぐ……パ、パチュリー様……!?」
「気にしないで」
 レミィは大笑いしている。今のはお試しだったけど、なるほど面白かったかも。
「たまには咲夜をいじめるのも面白いわね」
「ええ」
 さて、はがきはここまで。そしてはがきとは別、またレミィの暇潰しが始まりそうね。私も、もう少し付き合おうかしら。
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白梅
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コメント



0.150簡易評価
1.90奇声を発する程度の能力削除
楽しめました
3.100モブ削除
お嬢様はきっとセクスィービームが撃てるんだ……あとパワハラは良くないと思います(真顔)
4.90kodai削除
今回も良かったです