【三枚目のはがき】
『暇潰しに広辞苑を二回読破したというレミリアさんに質問です。「あー読んだ読んだ。52ページは特に面白かったね」 "アンドロメダ"の使い方について教えてください』
「……ってなによこれ。"アンドロメダ"の使い方? 何を言ってんの? レミィ、このはがきいたずらよ」
「ああ~"アンドロメダ"。昔はよく使ってた」
「えっ、判るの?」
「判るわかる。当たり前じゃない。むしろ幻想郷で一番アンドロメダが判ってるから」
「……物なわけ? 使ってたとか言ってたけど」
「それも含めて今から話すわ。昔~……まあ昔言うても十年そこらよ。咲夜がまだまだちっちゃかった頃」
「あの頃の咲夜は今とは違う可愛さがあったわね! 初々しいというかロリってるというか……」
「ちょっと脅かした時なんか、"ひゃんっ!"だからね"ひゃんっ!" 。 ふははっ!!」
「咲夜が可愛いのは判ったから……。使い方は?」
「ええ ええ。その頃の咲夜はねー、まだまだ半人前もいいところでね。メイドとして修業中の身だったわけよ」
「まあ皿も割ります紅茶もこぼします。調理の時なんてベソかきながらやってたね。私も影から見てて心苦しかったわ」
「さてそんな咲夜ちゃんは今日もたどたどし~い足取りで紅茶を運んできます! 私はそれをエビス顔で待ってるわけだけど」
「微笑ましいわね」
「でもドジっ娘の咲夜ちゃんは私の目の前で盛大にコケるわけよ。もう今時漫画でもやらないってくらいの大コケよ。まあ今時って十年前なんだけど」
「それで私の頭にブアッシャァ~って紅茶がね。他所だったら即お仕置き……解雇になってもおかしくない粗相よ」
「今じゃ想像もつかないわね……」
「でもね、咲夜が修業中なのは判りきってることだし、彼女の成長はまだまだこれからなんだから今更なにを怒ることがあるってのよ」
「あら、お咎めなし?」
「いやあそれだと甘過ぎる。だから目の前で震えてる咲夜ちゃんにちょっぴり強い口調で言ってやるわけよ」
「ええ」
「"貴方ねえ……これ一体アンドロメダ?"」
「えっ?」
「貴方これナアンドロメダ!?」
「はいっ?」
「……貴方これ何度ロ目ダ!?!?」
「もういいわ。次」