【七枚目のはがき】
『あらゆる動物の生態に詳しいレミリアさんに質問です。八咫烏と融合すると一体どうなってしまうのですか』
「まず鳴き声が"カァ"になるよね」
「あと光り物めっちゃ集めたくなるし」
「ただのカラスじゃない」
「違うちがう! あ、いや、カラスなんだけどね!? やっぱり八咫烏だから、カラスの規模が違うわけよ!」
「なによカラスの規模って」
「カァと一声鳴くにしても"ガアアアアアアアアアアアアアアアァァァァーーーーーーーーーッッッ!!!!!!!"だからね?」
「うるさっ……!!!」
「ケホケホ。一回息吸うからね。体育祭の応援団長ばりの声量よ。すっごい響く」
「そんなん近くにいたら嫌だわぁ」
「光り物だってそこらのゴミでなし、宝石……ダイヤとか狙ってくるわダイヤ。 あの疫病神めっちゃ被害遭ってるって聞くよ、ざまあないね」
「あと自販機の飲み物を万札で買おうとするし」
「変なとこ豪快なのね」
「でも大抵の自販機は万札通らないから、結局買えないんだけど」
「小銭使いなさいよ」
「基本小銭は持ってないのよ、変に意識高いからね。それで買えないことが判るともう"チィィィィーーーー!"ってめちゃめちゃでかい舌打ちのあと自販機に蹴り入れて、タバコの吸い殻小銭のとこ突っ込んでたわね」
「舌打ちもでかいのね」
「極め付けは捨て台詞ならぬ捨て糞落として……めっちゃ後濁して帰ってく悪いヤツよ」
「うわぁ……」
「まあそれをできるくらい知能が上がっていると考えるべきかしらね。さっきも言ったけど、カラスっていっちばん頭のいい鳥でね? その知能の高さゆえ、"遊ぶ"という行動をとる唯一の鳥なのよ」
「へえ」
「普通のカラスは物に乗っかったりつっついたりする程度だけど、それが八咫烏にもなれば、もう うおぉ~いってキャバレーやらナイトクラブやら毎日のように遊び歩くからね? もうドンペリ開けまくりの飲みまくり、大豪遊よ」
「カラスとは思えないわね……」
「ええ、やたら迫ってくるから鬱陶しくて仕方なかったわ」
「会ったことあるの!?」
「バーでね。一人で静かに飲んでたいのに隣座ってきたり体触ってきたりしてね。 ウザいし"止めろや!"ってCD突き付けたら、"チィィィィーーー!!"舌打ちして他の女の子探しに行ったよ。ああいうチャラチャラした奴は好かないわ」
「…………」
「夜も"ガァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァーーーーーーーッ!!!!!" って叫んでたね。外まで聞こえてきてん」
「そんなの相手びっくりするでしょ!?!?」
「案の定ね。すぐ振られたみたいよ」
「そりゃそうよ……」
「ただ遊んでばかりじゃないからね、八咫烏も」
「子育ての時期は自分の巣を守らなきゃいけないから、それはもうか~なりピリピリしてるわ」
「迂闊に巣に近付こうものならもう助走つけてライダーキックばりのやつを後頭部にドォゴォオオ決めてくるからね? 注意してないと殺られるわアレは」
「怖いわね……」
「でも悲しきかな。やっぱり駆除業者には勝てないの。見かけた瞬間逃げだすんだけど、一発よ」
「あら」
「その時は"ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァァァーーーーーーッッッ!!!!!!"だったわね」
「うるさい!!!」