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終、の字を読んで、私は雑誌を閉じた。『蓮子』と、そして『メリー』について考える。他に方法はなかったのかと、笑ってしまう。これはまるで、瓶詰の手紙を海に流して、特定の人の手に渡る奇跡を願うようなものじゃないか。顛末を小説に仕立てて、雑誌に掲載させるなんて。私の手にこれがあるのが信じられないような、飛び切りの奇跡だ。
でも、まあ。私が、子孫について書かれた記事を見つけた、端緒が奇跡だったのだから。幕切れが奇跡でもいいのだろう。
「次は私が、恐怖新聞にあらがう番か」
目が覚めたら、日誌に書くことは決まっている。この記事のことではない。ただ一言、『終』と書くつもりだ。霖之助は奥へ引っ込んだまま出てこない。私は声を掛けないで店を出た。太陽のまぶしさに目を細める。今日は絶好の弾幕日和だ。しばらく飛べば、妹紅さんのいる竹林に出る。来たる孫の危機に向けて、超能力を鍛えておかなければならない。