お姉ちゃんへ
お久しぶりです。
地上はすっかり春になり、毎日暖かいです。
桜の花びらは散り、散ったところからは新しく葉が伸びています。
今私は山にいます。
山桜は平地の桜に比べて一気に咲き、一気に散ります。
まるで人間のようです。
ところで、霊夢が死にました。
寿命だそうです。
ネコみたいに病気じゃなくて、もうこれ以上身体が時間に耐えられなくて、それで死んでしまったということです。
思えば私やお姉ちゃんが初めて霊夢たちに会ってからずいぶん月日が流れたものね。
もちろん私たちにとってはそれは一瞬でしかないけれど、人間たちにとっては途方もない時間のようです。
霊夢の死に顔はとても不機嫌そうで、それでもとても穏やかでした。
変な霊夢。
生きてる間、いつも不機嫌そうな顔をしていたから、それが一番普通な顔になっちゃったんだろうね。
魔理沙は抜け殻のようで、しわくちゃの顔の上に涙が幾筋も流れていきます。
今回は上手く泣くことが出来るみたいです。
そしてどうやら私の目からも同じものが流れて止まりません。
なぜ今回は私たちが泣くことが出来るかというと、たぶんそれは霊夢だからです。
霊夢は自分が他人を重荷に感じたりしない代わりに、他人にも絶対に重荷を背負わせたりしない人間でした。
彼女は最後まで霊夢だったという事です。
多分私たちはそんな彼女が好きだったんだな。
神社の縁側で私はお姉ちゃんにもらった手紙を何度も読み返しました。
「死者よりも生者に望みを懸けるのは、生きている者の性であり義務です」
これはお姉ちゃんが私に書いた言葉です。
最初に読んだときにはよく分からなかったけど、今なら幾らか分かる気がします。
というのも、私は今お姉ちゃんの顔が見たくてしょうがないからです。
だけど泣き顔を見せたくはないな。
なぜだか知らないけど、私はどこまでもあなたの前で恰好つけないと気が済まないみたいです。
そういうわけで、この涙が止まったら久しぶりに会いに行きます。
愛してるよ。
こいし
追伸:帽子は洗わなくていいです。代わりに私の部屋を掃除しておいてください。
最後にちゃんと帰ってくるこいしも偉い。
でもイワシを食べなかったお燐が一番偉い。
桶いっばいの豆を食べるお空は可愛い。
このフレーズが琴線にかなり触れました。旧地獄管理人の生死観は勉強になりますね。
本当に良い
さとりさん母性ありまくり、こいしちゃん少女っぽい
最高のこいさと
手紙での遣り取りって良いですね。面と向かって言えないことも書けるから。
ネコって柑橘系食べられるんでしょうか・・・?
感動をありがとうございます。
内容もさることながら、そのアイディアに感服しました。
妖怪が長い年月をかけて少しずつ成長して行く姿って素晴らしいですよね。
ちゃんと帰る場所のあるこいしは幸せものですな。
後、内容に合わせた上手なページ分割もグッド
手紙って不思議ですね。
ページ割のお手本のような作品ですね。素晴らしい。
とて美しくそして各所可愛らしくまとまっていて素敵でした。
ページの分割を手紙でというのはなるほど効果的でした。
こいしとさとりの距離には手紙というのは非常に良い距離なのかもしれませんね。
良い作品をありがとうございます
山桜は平地の桜に比べて一気に咲き、一気に散ります。
まるで人間のようです。
のところが特に印象的でした。