Coolier - 新生・東方創想話

ファイト!

2024/09/14 14:53:56
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   がんばれ響子ちゃん 2

 バチン、と背中に激痛が走り、響子は目を覚ました。「気が付いた?」聞き馴染みのある声だった。どうやら気を失っていたらしい。部屋は明るいが、外を見るとまだ暗い。それほど時間は経っていないようだった。
「あんた、こんな時間に出歩いて。なにやってんのよ」
 響子はおぼろげな記憶をたどる。なにか嫌な目に遭って、それから酷い目に遭った気がする。すごい速さで突進してくる機械に撥ねられた気がする。思い出すほどに一輪の声が優しく聞こえた。身体の節々が痛い。
「あ、あの。わたし……」
 もうすこしこの看病に甘えてしまおう。しかし響子の声を一輪が遮った。
「ほら、起きたらさっさと寝床行って寝なさい。明日も朝早いんだから。あと二時間も眠れないのわかってる? あとなんか、夜中に部屋でじたばたしないでよ。響くんだから、木製なんだから。寺は木製でしょ? あ、そうだ。あんた夜中に出歩いたから掃除ね。向こう一週間掃除当番。罰則もほら、規則だから。……罰則かあ。私もよく食らったっけ、罰則。まあまあ、要は慣れよ。慣れ! はじめのうちはつらいかもしれないけど、慣れてきたらむしろ、罰則だけで済むんなら飲まなきゃ損! なんて思うようになってくるから。なんてね! あ、でもあんたはお酒やらないもんね。まあ若いうちって他にやることもあるだろうからさ、わからなくはないけど。でも若いうちだから、って考え方もあるのよ。私も昔はね……」

 う、うるさすぎる! 響子は愕然とした。撥ねられてどうやって帰ってきたかもわからない山彦に対して、この情報量はたまらなかった。至る所の擦り傷はずきりと痛み、二百余りの骨はぎしぎしと悲鳴を上げている。掃除当番なぞとてもじゃないがやってられない。響子は自分の足を一瞥してやおら立ち上がる。「だから、みんな丸くなったのよ……あ! あんたどこ行くのよ!」

「ちょっと、足を洗いに……」

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