おまけ
とある宴会後の静かな……いや、静かじゃない夜。
どいつもこいつもひとんちで好き勝手騒ぐだけ騒いで帰って行く。
その中にはウチの軒下やら土間やらお椀の中やらに帰る?者までいる始末だ。
本当、毎日五月蠅いったらありゃしない。
「ねね、今の私の順位は?」
「……一位よ」
「やった」
「……何がそんなに楽しいんだか」
皆が寝静まった頃、一人だけで残ったレミリアがもたれ掛かってくる。
つい今さっきまで宴会の余興で弾幕ごっこをした後だ。
しかし、本当どいつもこいつもどうして私に挑んでくるんだか……。博麗霊夢に懸賞金でもかかっているの?
……嫌いではないその重みを受け入れながら横目で見れば、ボロ顔なのに、嬉しそうな笑顔で此方を見上げている。運動後の火照った身体を冷やしたくてあんたを抱っこしているのよ。また暑くさせようとするもんじゃないわ。
「ああ楽しいね。本当に、素敵な遊びだよ」
「気に入ってくれたなら、嬉しいわ」
本当、弾幕ごっこに一番ハマっているのはあんたじゃないの?
ちなみに最近教えている順位は、対戦数であって強さじゃないのよ。
不貞腐れるだろうから言わないけれど。
「私も霊夢の一位でいられるのは最高に嬉しいけれど」
「そういうのやめてくれる? 恥ずい」
自然に消えていく傷をうっとりなでながらレミリアは続ける。
「あー……愛の証が消えていく」
「愛とか言うな。まるで私がいじめた傷が贈り物みたいじゃないの」
「そうだよ?」
「そうだよ、じゃあないわよ。他人が聞いたら誤解するでしょ」
「誤解じゃないよ。そのものだ。なんなら治りを遅くするとか固定して、博麗御免の向こう傷にしたい」
「やーめーて」
あからさまに嫌な顔を作ったら、レミリアの方はむしろ嬉しそうにして私の身体を椅子にしようともそもそ動いてくる。
溜息と共に腰を持ち上げ趺坐の合間に押込んだ。
「あんたには……他にも色々あげてるじゃない。そっちにしときなさい」
「……何か貰ったっけ?」
「あげてるのよ、色々と」
今教えた順位が私の何を意味しているのかとかね。
たまに、対戦数じゃないのも混ぜているのよ。
細身の腰を抱き寄せ頭に顎を乗せ、佇む。
言葉にするのは野暮ってものだわ。
巫女を始めたばかりで勝手がわからないところから少しずつ方向性が固まっていくところに霊夢の成長を感じました
お嬢様も結構柔軟な考えしていて器が大きくてよかったです