1.
神代、八岐の大蛇と呼ばれる生物が存在した。瞳は鬼灯のように赤く、一つの胴体に八つの頭、八つの尻尾がある。身体には苔と檜と杉が生えており、腹は常に血で濡れ爛れ、全長は八つの谷、八つの峰を越えるほどになる。彼の生物が強大な力を得るに至ったのには、天照大御神が雨の岩屋戸にお隠れになったことが起因となる。彼女が天高の原から姿を消すとたちまち世界は闇に包まれ、それは葦原中国まで及んだ。その際、大蛇が闇を身に受けて成長したのが八岐の大蛇である。
彼の生物は年に一度、神の娘を食べることで力を蓄えており、毎年、出雲の国にいる足名椎と手名椎の元にやってきては二柱の娘を食べてしまわれた。八人いた娘も一人だけとなってしまい、今年もまた八岐の大蛇が来る時期となり、足名椎と手名椎は斐伊川にて泣きくれていたところ、高天原から須佐之男命が降られてきた。二柱から事情を聞いた須佐之男命は娘(櫛名田比売)を妻に頂くべく、策を弄して、八岐の大蛇が動けなくなったところで十握の剣を抜き、ばらばらに切ってしまわれた。その際に八岐の大蛇の血が斐伊川に流れ、真っ赤に染まることとなる。
以後、斐伊川の上流では砂鉄の搾取が盛んに行われることになるのだが、度重なる洪水によって川は流れを変えて、その土地の住民達を大層苦しめたそうな。
神代、八岐の大蛇と呼ばれる生物が存在した。瞳は鬼灯のように赤く、一つの胴体に八つの頭、八つの尻尾がある。身体には苔と檜と杉が生えており、腹は常に血で濡れ爛れ、全長は八つの谷、八つの峰を越えるほどになる。彼の生物が強大な力を得るに至ったのには、天照大御神が雨の岩屋戸にお隠れになったことが起因となる。彼女が天高の原から姿を消すとたちまち世界は闇に包まれ、それは葦原中国まで及んだ。その際、大蛇が闇を身に受けて成長したのが八岐の大蛇である。
彼の生物は年に一度、神の娘を食べることで力を蓄えており、毎年、出雲の国にいる足名椎と手名椎の元にやってきては二柱の娘を食べてしまわれた。八人いた娘も一人だけとなってしまい、今年もまた八岐の大蛇が来る時期となり、足名椎と手名椎は斐伊川にて泣きくれていたところ、高天原から須佐之男命が降られてきた。二柱から事情を聞いた須佐之男命は娘(櫛名田比売)を妻に頂くべく、策を弄して、八岐の大蛇が動けなくなったところで十握の剣を抜き、ばらばらに切ってしまわれた。その際に八岐の大蛇の血が斐伊川に流れ、真っ赤に染まることとなる。
以後、斐伊川の上流では砂鉄の搾取が盛んに行われることになるのだが、度重なる洪水によって川は流れを変えて、その土地の住民達を大層苦しめたそうな。