Coolier - 新生・東方創想話

寂しい時~ Perfect Cherry Blossom.

2014/09/12 23:40:30
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魔理沙とアリス 盛ってやった



「……何でこんなことしてるんだろう」



 遡ること数分前、とある筋から竜の爪の欠片を手に入れた。少々新鮮なものではなかったので少々異臭があり、毒々しい色をしているが、その分効果は期待できる代物だ。早速実験に使おうと思ったのだが、そのために必要な魔道書が以前に魔理沙にとられていた。そして仕方なく魔理沙を訪ねたところ、生憎留守らしく本だけ勝手に返してもらおうと家に上がらせてもらったのだ。



「全く……少しは片付けなさいよ」
「ぐぇっ」



 ……足元で柔らかい感触と汚い悲鳴が聞こえた。



「……何してるの?」
「都会派の魔法使い様の靴の下敷きになってる。いくら軽くてもブーツじゃ痛いぜ」
「あら、スカートの女性を下から覗くなんて。これだから田舎者は嫌になる」
「いいから早くどいてくれ。……何か目覚めてしまいそうになる」
「奇遇ね、私もよ。まぁ取りあえず踏んだことは謝るわ。で、魔理沙は何で床で倒れてるの?」
「あー……何でここにいるのかわからないけど、看病してくれたら不法侵入の件は見逃してやる」
「ちゃんと呼び鈴は鳴らしたし、そもそも私の家から勝手に魔道書をとっていったのはどこのどいつよ」
「……すまん、助けて。身体が重くて一歩も動けない」
「初めからそう言いなさいよ」



 そう言って魔理沙の体を支えてやる。軽い身体はいつもより熱を帯びており、呼吸も少し荒かった。



「ところで魔理沙、私になにか言うことはないかしら?」
「なんだ?不法侵入者に礼を言う義務はないと思うが」
「見たでしょ?」



 魔理沙の心臓がドクンと大きく鼓動した。



「……何のことかわからないぜ?」
「魔理沙のえっち」
「ごめんなさい」







 とりあえず魔理沙をベッドまで運び、服を着替えさせた後簡単に症状を聞いてみる。



「ただの風邪ね」
「だろうな」
「変な魔法の影響とかじゃなくてよかったわ。じゃあ私は永遠亭まで薬貰いに行ってくるから」
「いや、悪いからいい」
「何言ってるのよ。困った時くらい人に頼りなさい」



 そう言って立ち上がろうとすると服の裾を掴まれた。掴んだ本人はというと布団で顔を隠している。真っ赤になった耳が見えているが。



「……そういえば魔道書を返してもらいに来たんだったわね」
「多分その辺においてある」
「じゃあ少し読ませてもらうかしら。何かしてほしいことがあったら言いなさい」
「……ごめん」
「さっきも言ったでしょ。困った時くらい人に頼りなさいって」



 探していた本を何とか見つけ、ベッドの側に椅子を持って行って読む。魔理沙は眠ってはいないようだが、黙ったままなので静かに時間が過ぎていく。



「……なぁ」
「何?」
「一人暮らしって思ったより寂しいもんなんだな」
「私はそうでもないけど?人形がいるし」
「アリスらしいや」
「それに寂しい時はうちに来てくれるお節介なご近所さんもいるし」
「……ありがと」
「どういたしまして。何か食べれる?」
「うん、ちょっとお腹すいてきた」
「じゃあ少し作ってくるわ。そんな顔しないの、すぐ戻ってくるから」







「お待たせ」
「あぁ待って……何だこれ?」
「おかゆ」
「この毒々しい色の異臭を放つ物体がか?アリスは将来いいお嫁さんになると思ったがどうやら間違いだったらしいな」
「いらないなら言ってくれていいわよ。そしたらすることがなくなるから帰るけど」
「いやー都会のおかゆは楽しみだなー」



 私の持ってきたおかゆを前に、魔理沙はスプーンを握ったまま固まっている。見た目はともかく味見はしているから心配はいらないのに。私の顔とおかゆを交互に見た後、意を決したように魔理沙がおかゆを一杯すくって口に運ぶ。



「言い忘れていたけど、薬盛ったから」
「おまっ……馬鹿、食べた後に言うなよ」
「大丈夫よ、睡眠薬とかだから。このままだと魔理沙、寝そうになさそうだし」
「その『とか』の内容が気になるな。……信じてるからな」
「……」
「信じてるぞ!?」
「……はいはい、分かったから取りあえず全部食べなさい」



 魔理沙は全部食べ終えた後、布団でぐっすり寝てしまった。私は読んでた魔道書を本棚に戻し、少し迷った後先ほどまで座っていた椅子にもう一度腰掛ける。寝ている間に帰るために魔法薬の他に睡眠薬も入れたのだが、仕方がない。なにせ私は信用されているらしいのだから。

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