Coolier - 新生・東方創想話

この“好き”の名前

2009/03/04 15:19:49
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* * * * *

 先に湯を沸かして、時を止めてジャム、茶請けのクッキーを用意し、レミリアの部屋へと直行。時を動かして部屋のドアを丁寧に素早く三回ノック。すると中から幼い声質の、しかし静かな声で入室を許可する言葉が届いた。
 咲夜はその声と言葉を確認してから、「失礼します」と慇懃な態度で発しながら中に入る。
 吸血鬼は何処となく楽しげな、いや、何か悪巧みでもしているかのように口の両端を上げて己の可愛い従者を迎えた。

 「どうかなさいましたか?」
 「あら、どうして?」

 あんまり良い予感はしなくて、咲夜は紅茶を淹れながら尋ねる。
 レミリアは言葉の端に含み笑いを引っ掛けるようにして首を傾げた。

 解っていながらの言葉遊び。
 これでも幼い頃から面倒を見て貰っている身。付き合いとしてはもう十年くらいになる。故に、咲夜はそう正しく悪魔の機微を察知して、内心で苦笑とも溜息をとも取れぬ吐息を吐いた。

 「……何か、楽しい事でもあったのですか?」
 「さぁ、どうかしら?」

 レミリアは喉の奥でクスクスと笑う。
 その言葉を解釈すれば、「まだ秘密」ということらしい。

 「左様ですか」

 潔く諦めて、紅茶を主へ。
 吸血鬼はソーサーからカップを持ち上げ、漂う芳醇な香りを楽しむと「良い香りね」と満足げに呟いた。
 それは悪魔らしからぬ上品で優雅な仕草。そんな主に咲夜は惚れ惚れとし、同時に誇らしい気持ちでいっぱいになる。
 世間が悪魔だと罵ろうが、吸血鬼だと忌み嫌おうが、かりちゅまなんていう汚名を着せようが、我が主はレミリア・スカーレットという偉大で高貴な純潔の吸血鬼なのだと、改めて思った。
 レミリアはコクリと小さな口に紅茶を少量含んで口内を潤し、味わうようにゆっくりを嚥下する。
 ほぉっと、満足げな溜息を漏らして、自慢の可愛い愛娘に賛辞を述べた。

 「ふふ。咲夜の淹れた紅茶は、いつ飲んでも美味ね」
 「ありがとうございます」

 主の言葉に頭を下げる咲夜。
 緩む口許を押さえられる自信がなくて、表情を隠すようにいつもよりも少しだけ深く頭を下げた。

 (あぁ、そうだ……)

 紅茶の淹れ方も、お辞儀の仕方も……全部あの妖怪が教えてくれたんだ。




 『じゃあ、今日は一緒に紅茶を淹れてみましょうか』

 ちょっと嫌そうな顔をしてしまっていたのだろうか。妖怪が僅かに苦笑を零すのが見えた。
 だって、あの頃はまだ目玉焼きだって満足に作ることが出来なかったんだから、紅茶がどうのこうのと言われても困ったのだ。
 そんな、若干の緊張と不安を抱いた私の頭を、妖怪は柔らかく笑って大きな手でくしゃっと撫でた。

 『大丈夫ですよ。難しくなんかありませんから』

 大きくて、あったかな手。
 全部受け止めて包み込んでくれた手だから、触れられると無意識に安心してしまう。
 頭を撫でられるくすぐったさに思わず表情を崩すと、紅い髪の妖怪は優しく目を細めた。

 『紅茶を美味しく淹れるには約束事があるんですよ。え~っと、確か外の世界では……ごーるでんるーる? とかなんとかいうみたいなんですけど……とにかく、その約束を守れば大丈夫です』

 妖怪は大きな手で「約束事はたったの7個だけですよ」と、左手を広げて、右手は人差し指と中指だけ立てて示した。
 だいじょーぶ、だいじょーぶ。そう、妖怪は言い聞かせるみたいに何度も言いながら、一緒に紅茶を淹れて。でもやっぱり始めは上手くいかなかった。水の色だってちょっと濁っていて、味だってかなり渋くて。不味い筈なのに、あの妖怪は「だいじょうぶですよー。全然おいしいです」と、にこにこと笑って何度も飲んでくれた。
 そのお蔭で、今ではちゃんと美味しい紅茶を淹れられるようになった。
 ナイフだって、投げれば百発百中に近い命中率を誇れるようになって。牛も豚も猪も鹿も、丸ごと解体出来るようになったし、魚だって大きな鯛も鮪も捌けるようになった。
 勿論、始めの内はどれもこれも出来なかったけれど。ナイフは投げても当たらないし、握って振り下ろしたところで掠りもせず。家畜の解体に至っては……最初は気持ち悪くて吐いたくらいで。
 あの妖怪は「無理しなくて良いんですよ?」と何度も言ったけれど、周りに負けたくなくて、何でも一人で出来るようになりたくて、少しでも役に立ちたくて……これでも頑張ったのだ。

 あの妖怪が教えてくれたこと、育ててくれたこと。それら全部がメイド長としての地位を築き上げてくれた。
 お嬢様は「おいしい」と仰っただけ。
 なんてことはない。でも、なんだかまるであの妖怪のことまでも一緒に褒められたみたいで、妙に嬉しい。

 無愛想で、笑い方を忘れかけていた人間の子供。
 全然可愛げが無かったのに、それでもあったかい笑みを絶やさずにずっと傍にいた妖怪。

 たまには温かい紅茶でも持って行ってあげようか。
 ブレンドを変えたハーブティーでもいいかもしれない。
 眠気覚まし効果のある、特別ブレンドで。


 にこにことして人懐っこい笑みが浮かんできて、なんだか口許だけでなくほっぺまで緩んでくる。
 咲夜は慌てて浮かんできた顔を打ち消し、顔を上げる。いつものメイド長の顔がそこにはあったが、レミリアは見透かすように紅い瞳を細めていた。

 「嬉しいときは嬉しいって顔をしていいのよ?」

 そうして、唇の片端を上げて楽しげに言う。
 どうやらお見通しらしい。自分もまだまだ未熟者だと思いながら、咲夜はささやかな抵抗に顔を若干逸らした。頬が少し熱い気がするが、きっと気の所為だ。

 「ねぇ、咲夜。あなたは『好き』という感情には其々名前がある……というのを知ってる?」
 「……はい?」

 紅茶を優雅に啜りながら、レミリアは脈絡なく言葉を紡ぐ。
 突拍子もない事を突然言い出すのはいつものこと。慣れてはいるが、その言葉の意味を理解できずに咲夜は首を傾げた。


 (……好き?)

 それは確かに感情の一つ。でも、その感情は『好き』というもの以外の何者でもないのではないだろうか。
 悪魔の言葉遊びについていけず、頭の中いっぱいにクエッションマークを浮かんで消える。
 そんな咲夜の様子にレミリアは楽しそうに目を細め、カップをソーサーへと音を立てずに戻した。

 「例えば、家族に対する好きだったら、それは“愛”と呼ばれるものでしょう? 友人に対してなら“友情”や“親愛”かしら」
 「あぁ、そういうことですか……」

 『好きの種類の名前』について言っていたのか。
 咲夜は納得しながら頷いた。

 「大切にしている服やぬいぐるみだったら“お気に入り”なんて名前が付くわね」

 まるで子供のように純粋に関心している咲夜を見ながら、レミリアは殊更に笑みを深め、

 「それから」
 「お嬢様ぁー!」

 一番大事な言葉を言おうとした瞬間。
 勢いのある無駄に元気な声が響き、部屋のドアが派手に開いた。

 「ちょっと美鈴! 空気読みなさいよ!!」
 「はひ!?」

 部屋に飛び込んできた紅髪に、外の世界にある大陸の民族服に身を包んだ女性に、レミリアは「うがーっ!」と怒鳴る。
 怒鳴られた女性、美鈴はいきなりの怒号に背筋をピンっと伸ばしてその場に硬直していた。

 「いま物凄く大事な話をカリスマ的に話してたのよ!? しかも、いぃっっっちばん重要なところを!!」
 「え? え? あ、いえ、その……」
 「あんたの所為で台無しになったじゃない。あー、もう。あとちょっとで咲夜の面白い顔が見れるところだったのにぃー」

 ぷくーっとほっぺを膨らませて、プイッとそっぽを向くカリスマ。その言葉に咲夜は一瞬驚いた顔をしてから強い批難の視線を向けていたが、完全に無視である。
 美鈴は状況が全く分からず、

 「そ、そうだったんですか? あの、それはすみませんでした」

 と、とりあえず頭を下げておいた。
 レミリアは興が冷めてしまったのか、若干ぶすっとした顔で美鈴に目を向ける。

 「で、なぁに?」
 「あっ! そうでした。あの、この子なんですけど……」

 レミリアに促がされて、美鈴は胸に抱えていたものを見せる。
 そこには小さな声を発している何かがいた。
 白い毛並みに、蒼い瞳。三角の耳にスラリとした尻尾を持った、しなやかな体躯。そいつは「にゃぁ~」と可愛らしい声で鳴く、仔猫。
 レミリアは見るからに脆弱そうな小動物の存在を認めると、深くて大きな溜息を吐いた。

 「……また拾ってきたの?」
 「ち、違いますよ!」

 呆れ度マックスな様子のレミリアに、美鈴はブンブンと首を振って必死に弁解を始めた。
 どうやら母猫は野犬に襲われて息絶えてしまい、仔猫は母猫の亡骸の傍からずっと離れず、小さな声で泣き続けていたのだという。その声を美鈴が聞き付け、こうして連れてきた……ということらしい。

 「やっぱり拾ってきたんじゃない」

 咲夜も呆れた様子で言葉を発した。
 美鈴がこうして動物を拾ってくるのは珍しい事じゃなかった。館の離れには門番隊の詰め所があるのだが、その近くには美鈴(と門番隊達)が勝手に建てやがったログハウス的なものが有り。その中には犬や猫、牛に羊、馬、あと鳥とか、なんかもう色々な動物が飼われている。
 ぶっちゃけそこら辺のペットショップなんかよりずっと充実していたりするが、別にペットショップのように機能しているわけではない。いや、仔猫や小犬なんかは人里の者が里親になってくれたりするので、厳密にいうとそういう機能もあったりするのだが。本来は傷付いた野生動物(半獣や妖獣を含む)の一時的な保護を目的とした建物であり、体の状態が良くなれば森や山へ還すという事を行っているのである。

 傷付いたものを放っておけない性質なのは出逢った頃からずっと変わっていないので充分に分かっているが、動物たちの食費代や治療費だってばかにならない。
 咲夜は指先でこめかみ辺りをトントンと叩いて、レミリアと同じように溜息を吐いた。

 「だ、だってだって……あんなところに一人でいるなんて可哀想ですよ! 寒くて暗くて、痛くて……」

 そういってちょっと涙ぐむ美鈴は、腕の中の仔猫をそっと撫でた。
 そうすると仔猫はご機嫌そうに喉をゴロゴロとさせて、美鈴の指先にすりすりと顔を擦りつける。
 なんだか早くも相当懐かれてしまっているらしい。

 「そうは言ってもねぇ……うちにはもう誰かさんが拾ってきたペットたちがたくさんいるのよ? 紅魔館は『悪魔の館』と呼ばれる場所。なのに動物塗れで、なんの迫力もないじゃない。これじゃあ精々いいトコいっても悪魔的な保健所って感じかしら?」
 「保健所?! お、お嬢様、あの子達のこと全部処分しちゃうつもりなんですか!?」
 「誰もそうは言ってないでしょーに……全く、動物に加えて大食らいの門番もいるっていうのに……」

 『大食らい』との言葉が、美鈴の心にグサッと刺さる。
 まぁ、事実なので弁解の余地はない。

 「うちのペットは美鈴だけで十分よ。ねぇ、咲夜?」
 「はい。お嬢様の仰る通りです」

 薄く笑うレミリアに、咲夜もにっこりと笑って同意した。

 「咲夜さんまでぇ……ぅー、酷いですよぉ~……」

 しょげ返る美鈴。
 本当に感情の変化が分かりやすくて面白い。

 (お嬢様もそれが楽しくて、わざとイジるんですから)

 レミリアはしょんぼりと肩を窄めている美鈴を一頻り楽しんでから、「まぁ、いいわ。好きにしなさい」と、仔猫を飼う許可を出した。

 「え、本当ですか!?」
 「今回だけよ? 世話はちゃんと自分でしなさい」

 これもいつものやり取り。最後には結局こうして許してしまうのだから、レミリアも美鈴に甘い。
 あんなにもしょんぼりしていた筈なのに、今度は嬉しそうに笑って「良かったですね~」と、仔猫に語りかけながらぎゅっと抱き締めている。

 コロコロと変わる顔は本当に愛くるしい。お嬢様がいちいちイジめたくなる気分が分かる。
 いつのまにか、咲夜の口許も不意に緩んでしまっていた。

 (ふふ。ほんといちいち可愛いわね……)


 ……あれ?


 咲夜は自分の思考に違和感を覚えて、思わず時を止めていた。
 ちょっと待ちなさいと、自分に言って、じっくりと今感じたことを反芻する。


 (可愛い? え、可愛いって思ったの? 私が? ……誰を?)


 お嬢様を? いや、お嬢様が可愛いのは当たり前でしょう。
 じゃあ自分? いえ、そんなナルシストになった覚えは一切ないわ。
 じゃあ、じゃあ……あの妖怪を?

 咲夜の頬は勝手に熱くなっていく。
 さっき、思い出の中にいた美鈴は……分類をするならば、多分カッコよかったに入る。
 それは憧憬や羨望の眼差しで見ているから、それで間違いない。なのに、可愛いと思ったなんて。

 (だって、普段なんかあんなに情けなくて……カッコよくも可愛くも、なんともない、はず……なの、に………)

 ぐるぐるぐる、思考が回る。
 同じ場所をぐるぐる回って、また元通り。
 正体不明な事が、また増える。

 咲夜はとりあえず熱くなった頬を冷ます事に専念する。
 いつまでも時を止めておくなんて出来ないのだから、今は一旦は平静を取り戻すことに徹した。

 時を動かす。

 無邪気に嬉しそうに笑う美鈴の顔を目の前にあって、また熱を持ちそうな頬を自制しながらなんとか平静を装う。

 「そうと決まったなら、その猫もスカーレット家の一員よ。名前はもう付けたの?」
 「いえ、まだです。ですからお嬢様と咲夜さんと一緒に考えようかなって思いまして」

 レミリアはテーブルに美鈴を招き、咲夜も座るように促がした。これも恒例の行事だ。
 咲夜は美鈴の分と、自分の分の紅茶を用意する。
 美鈴の前に紅茶を置く時、咲夜はそこでちょっとしたことに気付いた。仔猫を抱く美鈴の腕や指、それから頬や首筋には無数の引っ掻き傷があることに。
 きっとその仔猫にやられたんだろう。母親の亡骸の傍から頑なに離れなかったのだから、そこから連れ出そうとすれば抵抗するに決まっている。

 『大丈夫です。私はあなたを傷つけません。そこは寒いでしょう? こっちにおいで……。あなたが死んでしまったら、お母さんだって悲しみますよ』

 優しく何度も語りかけて。いつまでも手を差し伸べて。
 そんな美鈴の姿が容易に想像できてしまう。
 傷は浅くて大したことはないが、血が滲んでいて少し痛々しい。
 仔猫の手当てや、餌を与えたりなんかは夢中でしたのだろうが……美鈴は己は丈夫だからと自身の体を蔑ろにするクセがあるから、そのままお嬢様の部屋に直行してきたんだろう。
 なんて、何もかもが容易に想像できてしまって苦笑が漏れる。
 お人好しで、他者の傷に敏感なのに、自分に無頓着。
 咲夜は胸中で「しょうがないなぁ」と再び苦笑して、ハーブティーではなく救急箱を持って美鈴の許に行こうと考えた。

 「ふーん。この猫、瞳が蒼いのね」

 レミリアが華奢な指で仔猫の頬を撫でる。
 仔猫は美鈴の腕の中で安心しきっているのか、レミリアが自分を傷つけないと分かったのか。若干警戒はしていたが、大人しくレミリアの指を受け入れた。

 「はい。キレイな目ですよねぇ。咲夜さんみたいです」
 「っ!」

 紅茶を飲んでいた咲夜は、美鈴の発言に吹きそうになって慌ててゴクッと飲み込んだ。紅茶が思ったよりも熱くて、舌と唇をちょっと火傷したのは瀟洒らしく内緒だ。
 せっかく一生懸命に平静を装っているのに、なんてことを言うんだろうか。咲夜はそう思いながら「そうかしら?」といつもより素っ気無さ2割り増しで返した。

 「あぁ、そうね……」

 レミリアは仔猫を見て、それから美鈴と咲夜をそれぞれ一瞥すると、にんまりと笑う。それはもう邪悪な笑顔で。

 「決めたわ。この猫の名は『さくや』しましょう」
 「お嬢様!?」

 そんな咲夜は主の有り得ない発言に力一杯叫んだ。
 今度は紅茶を飲んでいなかったので、助かった。じゃなかったら盛大に噴き出しているところだ。

 「あ、いいですねぇ~。とても可愛らしい猫さんですから、大きくなったらきっと美人な猫さんになると思いますし」
 「ちょ、ちょっと美鈴!?」

 なのに、美鈴までも賛同する。しかもなんだか恥ずかしいセリフ付きで。
 猫に言ってるんだか、咲夜自身にいってるのか微妙に判らない。
 咲夜は思わず瀟洒な態度を崩して、赤い顔で美鈴とレミリアに抗議した。

 「えー、ダメですか?」
 「ダメに決まっているでしょう!? 便宜上だって不便だし!」
 「良い名前じゃないでえすか」
 「良いとか悪いじゃないくて、だって紛らわしいでしょう!?」
 「大丈夫ですよぉ。この子の事を呼ぶときは『さくや』って呼びますから。咲夜さんは咲夜さんですよ?」
 「だからそれが紛らわしいって言ってるのよ!」

 徹底的に反対する咲夜に、「えー」だとか「でもー」と返す美鈴。

 「咲夜」

 あーだこーだと繰り返す咲夜に、レミリアが幾分か真剣味を帯びた声を発した。
 反射的に口を閉じ、主を見る。
 レミリアは何処までも意地の悪そうな顔で微笑していた。

 「これは決定事項よ。私に逆らうの?」

 そんな風に言われてしまったらぐぅの音も出ない。
 咲夜は眉間に皺を寄せつつ、渋々と頷く。
 美鈴は隣で小躍りを始めそうなくらいに喜びながら、

 「あなたの名前は『さくや』ですよ。良い名前を貰いましたね♪」

 と、猫に向かって早速「さくやさくや」と呼んでいる。
 そんな美鈴に、咲夜はナイフを投げておいた。


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