○
高麗野あうんは考える。
自分が生まれた理由と、その存在意義を。
博麗神社を護るため。大好きな主人の笑顔を見るため。
すぐに思いつくのはこの二つだった。
とある異変により生を受けたばかりの身ではあるものの、幻想郷という世界の成り立ちや規律、そして自らの役割というものを彼女はどことなく理解はしていた。
因果か業か。運命か幸運か。石像から転身して感情ある肉体が此処に在るのは、すなわち主人に貢献するためだという自負もあった。
この身この意思すべては主のモノ。
その前提に揺るぎはない。間違いなく。
しかし、顕現してから数ヶ月。彼女には心のどこかにささくれ立つ危機感があった。この気持ちが一体何なのかわからないでいるのだ。
一方の主人はいつも笑顔を向けてくれる。神社を護る自分に感謝だってしてくれている。事件や異変が起きたって、鍛え上げた力で見事に解決する。人望もあり仲間もたくさんいる。懸念材料は何もない。
あの人が幸せでいれば自分も幸せであるはずなのに、どこか納得できないでいるのも確かではあった。
なぜ?
そんな凝りを患ったまま、あうんは今日も神社を警護する。
博麗霊夢を慕う心にウソはないのだから。それが自らの幸せに繋がっていると信じて邁進することも、狛犬の役目だと言いきかせながら。
高麗野あうんは考える。
自分が生まれた理由と、その存在意義を。
博麗神社を護るため。大好きな主人の笑顔を見るため。
すぐに思いつくのはこの二つだった。
とある異変により生を受けたばかりの身ではあるものの、幻想郷という世界の成り立ちや規律、そして自らの役割というものを彼女はどことなく理解はしていた。
因果か業か。運命か幸運か。石像から転身して感情ある肉体が此処に在るのは、すなわち主人に貢献するためだという自負もあった。
この身この意思すべては主のモノ。
その前提に揺るぎはない。間違いなく。
しかし、顕現してから数ヶ月。彼女には心のどこかにささくれ立つ危機感があった。この気持ちが一体何なのかわからないでいるのだ。
一方の主人はいつも笑顔を向けてくれる。神社を護る自分に感謝だってしてくれている。事件や異変が起きたって、鍛え上げた力で見事に解決する。人望もあり仲間もたくさんいる。懸念材料は何もない。
あの人が幸せでいれば自分も幸せであるはずなのに、どこか納得できないでいるのも確かではあった。
なぜ?
そんな凝りを患ったまま、あうんは今日も神社を警護する。
博麗霊夢を慕う心にウソはないのだから。それが自らの幸せに繋がっていると信じて邁進することも、狛犬の役目だと言いきかせながら。