Coolier - 新生・東方創想話

そして野菜は溢れ出す

2014/07/31 23:36:05
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「カボチャをトン単位で持ってきてやったぞ、アリス!」
 魔理沙はアリス邸のドアを蹴破ると、開口一番そう叫んだ。
「何の嫌がらせ!?」
 人形作りの手を止め、アリスは二階の作業部屋から玄関に走った。
 玄関には白黒魔法使いの少女が仁王立ちしており、その後ろ、家の庭にオート三輪が止まっているのが見えた。少し前に幻想入りした魔理沙の愛車には、その荷台一杯にカボチャが積み込まれている。
「どうしたのよ、こんなにたくさんのカボチャ?」
「朝おきたら庭がカボチャとその蔓で覆いつくされてたんだ。それで慌てて収穫して、アリスの家にお裾分けにきたんだ」
「……わざわざなんで私のところにトラック一台分のお裾分けを持ってきたのかは置いといて。庭がカボチャで覆いつくされてた? 何か魔法の暴走でもあったの?」
「いやいや、そうじゃない。わたしの魔法精度も上がったんだぞ? それに、生えていたのはカボチャだけじゃない」
「うん? それはどういう……」
 アリスがそこまで言いかけたところだった。
 アリス邸の庭で変化が起こり始めた。
 小さな小さな芽。それが何の前触れもなく一本地面から顔を出した。
 次の瞬間、その芽と同じものが一斉に何百も庭に出現する。芽たちはその場でくるくるとその場で回り始めると、一気にその身を伸ばしていった。本来の成長の何千倍、何万倍ものスピードで茎を長くしていく。
 やがて、それらは縦横に伸びる茎の連なりになっていった。茎には緑と黒の縞模様を持つ実がなった。
 最後には庭一面に、夏の風物詩ともいえるそれが出来上がっていた。
「これって……」
「おー、アリスのところはスイカかー!」
 時間にしてほんの十秒ほどだろうか。一瞬といってよい時間で、アリス邸の庭はスイカ畑と化した。畑の真ん中に居座るオート三輪とその荷台のカボチャが合わさり、まるでどこかの農場のようだ。
「……はあ」
 アリスはためいきをつく。
 つまり、これはあれか。いつものあれか。はた迷惑かつこんちくしょうなあれか。
「異変のようね魔理沙」
「その通りだぜアリス! いまはまだ小麦だけだが、その内ほかのやつも生えてくるぞ! わたしのところだけでもカボチャ、ニンジン、きゅうり、サツマイモ、レンコン、トマトを確認した!」
 野菜異変だ! 魔理沙はまるで何かを宣言するかのように叫んだ。
「それじゃ早速調査に赴くか。手伝い頼んだぜアリス」
「やれやれ、私もひとごとを決め込むわけにはいかなくなったようだし。あんたと一緒に行ってさっさと解決したほうが合理的か」
 でも、その前に。アリスは一つ言い添える。
「あんたが蹴破ったドア、直してからよ」







 アリス邸玄関のドアを魔理沙は一人で直した。その間に、カボチャでアリスがパンプキンパイを作ってくれており、二人はそれをしばし賞味(デザートはスイカ)。
 その後、箒に相乗りし、異変の調査に出発した。
 まず犯人として考えられたのは、紅い館の主レミリア・スカーレット。
 お抱えの魔術師パチュリー・ノーレッジと結託して、この迷惑極まりない野菜の異変を面白半分で引きおこしているのではないかと推測したのだ。
 だが、紅魔館においても異変の影響によって深刻な被害が発生していた。
「紅魔館が、紅くない……?」
 アリスがそう呟いた。
 眼下に広がる広大な館、いつもなら禍々しさすら感じるほど紅いはずのそこは、実に目に優しい緑色をしていた。
 何かの野菜が館全体を覆っているのである。
「なあ、アリス」
「なに魔理沙」
「ありゃニンニクだ」
「外に出れないー!」
 緑に覆われてしまった館から、幼い少女の叫び声が響いてきた。聞き覚えがある。レミリアだ。彼女は吸血鬼であり、もちろんニンニクが大の苦手なのである。
 必死になってニンニクの茎と葉っぱを取り除いている外勤の妖精メイドとホフゴブリン、美鈴の手伝いをしてやり、なんとか玄関だけでもその姿を見ることができるようになった。
 こんなに酷い目にあっているのである。どうやらレミリアは犯人ではないらしい。
「レミィはさっきのことで気絶してうなされているわ」
 紅魔館地下にある大図書館。そこの主パチュリーはそう言いながら紅茶を口に含む。
 真っ先に紅魔館にやってきたのにはレミリアが怪しかったというのもあるが、他にもこの大図書館で情報を集めたいという理由もあった。パチュリーもさすがに親友がぶっ倒れるほどの異変を看過できず、快く図書館を開放してくれた。
「あれ、咲夜は? ニンニクの駆除には参加してなかったみたいだが」
 魔理沙が尋ねる。
「さすがにきついと思ってね。いまはレミィの傍に居させているわ」
「あー確かにそうだな。そっちのほうがいいか。で、パチュリー。この異変をどう思う?」
「……あなたも物好きね魔理沙」
 パチュリーは一つためいきをつく。
「なにがだ?」
「あんたがでしゃばることもないじゃない。もっと落ち着いたら? 異変解決は他の適切な連中に任せておけばいいのに」
「博麗の巫女様とかにか? 冗談じゃない。あんなのよりずっとわたしのほうが頼りになるぞ? それにこんなおもしろそうな出来事が巻き起こっているのに、指をくわえて見てるだけなんて、そんなの我慢できるはずがないぜ!」
「霧雨魔理沙はいつまでも霧雨魔理沙である、か。やれやれね。まあ、それは良いとしましょう」
 パチュリーは魔理沙と、そしてアリスにも目をやる。
「魔法使いが二人も揃って、土壌の調査も行わなかったの?」
「……あ」
 忘れていた。アリスは一瞬呆けたように口を開いたかと思うと、すぐさまその顔を赤く染めた。
 失態だった。隣にいる白黒に引きずられるまま飛び出してしまったが、異変の調査というのならまず野菜が生えている地面を調べるべきだった。
 顔を赤く染めたまま、魔理沙をにらみつける。
「いやいや、外をぶらぶらしていたらそのうち異変の黒幕にぶつかるのが幻想郷のセオリーだろう?」
 だが、魔理沙はそんなアリスの視線などどこ吹く風、パチュリーにニカッと笑いながらそう言ってのけた。
「はあ……あんたますます能天気になってきたわね」
 パチュリーは呆れながら、紅茶の隣に手をやった。
 そこには何本かの試験管が転がっていた。
「そりゃなんだ?」
「さっき美鈴に庭の土を採取してもらったのよ。で、軽くだけど調べてみたわ」
 結果は? アリスが尋ねる。
「これら全てから、恐らく何百キロも彼方から発せられた魔素を観測したわ。具体的な距離は分からないけれど、かなりの遠距離から投射されたものには違いないと思う」
 その魔素が野菜を異常に成長させているわけではないらしい。だが地中を突き進み、数百キロの距離を移動したという魔素、それらがどの土からも観測されたのだ。これはきっと異変に関係あるに違いないとパチュリーは言う。そして、こんな遠くやってきた魔素は初めてだと付け足した。
「数百キロの彼方、か。なるほどな」
 ほんの一瞬、アリスは驚きの感情を己の心に感じた。いや、魔理沙がこんな風にしゃべるのは当たり前なのだ。そう思うことによって驚きの感情を打ち消す。
 魔理沙の言葉には、どこか超然とした響きがあった。
「答えは一つ。まあ、それで幻想郷の本質が変わるとは思えないが」







 その後、魔理沙とアリスの二人はパチュリーに依頼され、幻想郷各地の土を集めはじめた。紅魔館で採取された魔素と同一のものが出てくるか調べるためである。
 だが、二人はそのついでに幻想郷のあちこちの様子を見て回ることに決めた。
 人間の里は単一の種類だけではなく、ありとあらゆる野菜が繁茂していた。そのなかにはズッキーニやアボガドなどの明らかに南国で育つべき物もあった。慧音と妹紅は野菜駆除の陣頭指揮に立ち、これだけの野菜をどのように扱うか頭を悩ませていた。
 冥界の白玉楼では、幽々子が幻想郷に溢れかえった野菜に闘志を燃やしていた。これすなわち挑戦と受け取った、いざ参る! 勇んで飛び出していこうとする幽々子を妖夢が必死に止めていた。
 妖怪の山は内戦一歩手前だった。河童たちのアジト周辺に無数のキュウリが生えたのだ。それを目撃した河童たちは興奮し、大量のキュウリに貪りついた。やがてテンションが上がりすぎておかしくなった河童たちはキュウリ教を創始。そのまま山のあちこちで暴れ始めた。天狗たちは大わらわとなり、この事態を収めようと右往左往している。ひとり射命丸だけが、笑いながらカメラ片手に飛び回っていた。
 太陽の畑はいつも通りだった。野菜の多くには花がある、花があるのなら風見幽香に操れぬはずがなかった。太陽の畑の隣には、野菜の花の畑が広がっていたのだ。
 一度魔法の森に戻った。野菜たちは相変わらずそこらじゅうにあった。だが、どうやら一定の量になると、それ以上は増えなくなるらしいことが確認できた。
 そして。
 西の空に夕日が沈もうとする頃。
 二人は博麗神社にやってきた。







「やあやあ巫女様! 霧雨魔理沙とその他一名がやってきてやったぞ!」
「……誰もいないみたいね」
 夕焼け色に染まる博麗神社は静かだった。建物内に誰かがいる気配もなく、どうやら留守のようだ。
 境内にも様々な野菜、ピーマン、ウリ、オクラ、タマネギ、キャベツの畑が出来上がっている。
「異変解決に飛び回っているんでしょうね」
 アリスが土壌サンプルを収集しながら言った。
「でも、あの巫女はあんまり頼りにならないからなぁ。勘もいまいち働かないみたいだし」
「あんたあの娘に厳しいわねぇ。まあ、あなたが勝手に比較対象にしているやつのレベルが高すぎるだけだと思うけど」
「……ふん!」
 魔理沙はすねてしまったのか、ぷいと顔をむこうに向けてしまった。
 かわいいなぁ、とアリスは思う。
 こいつもまだまだ人間なんだ。そう感じたのだ。
「あらあらお二人さん。仲睦まじいことで」
 何も無いはずの虚空から声が聞こえた。途端、すさまじいまでの妖気が膨れ上がるのを二人は感じる。
 次の瞬間、虚空が割れる。
 スキマが開く。
「こんにちは魔理沙、アリス」
 豪奢な金髪が逢魔ヶ時の薄暗い陽に照らされ、八雲紫がその姿を現した。
「どうした紫? お前らしくもない。妖気がだだ漏れじゃないか」
「そういえばあなたというとびっきりに胡散臭い怪しい奴を忘れていたわね」
 二人は莫大な妖気にひるむこともなく軽口をたたく。
「ごめんなさい。結界の調整に力を割きすぎていてね。なかなかうまく力をセーブできないのよ」
「そうか……」
 一拍、魔理沙はおいてから、
「やっぱり外の世界の世界でなんかあったんだな」
 確信めいた口調でそう言った。
 魔理沙にも、アリスにも、この異変がどのようなものなのか、既にその輪郭が掴めかけているところだった。
 パチュリーが言った言葉、『数百キロ彼方からきた魔素』。数百キロ彼方など、それはもう外の世界に違いない。魔素は外の世界からやってきたのだ。
 外の世界で大規模な魔術的現象が発生したのだろう。その時生まれた魔素が弱まりながら幻想郷に届いたのだ(魔素は幻想に属するものだから、結界も素通りしたのだと思われた)。
 しかし、あの魔素自体は今回の野菜異変には関係ないらしい。
 では、外の世界でなにが起こったのか。
「魔理沙いいかしら」
「なんだ」
「あなたはもう本来異変を解決する立場ではないわ。それは分かっているわね?」
「ああ、そうだな。でもわたしがルールで縛れるような存在だと思っているのか?」
「そうね。あなたは元々決まりを守る娘ではなかったし、それに……ルールを破れるだけの存在になってしまったのだから」
 二人の間で刹那、名状しがたい緊張が走った。
 その時。
「つ、つかれた~」
 ふらふらと、西の空から何かが飛んでくる。
 それは、紅と白の巫女服を着た少女だった。
 少女は神社の境内に着地すると、そのままドタッ、と倒れこんだ。
「つ、つかれた~。異変の黒幕なんて全然わかんないよ~。うう、ぼろぼろ」
「情けないなぁ。それでも博麗の巫女かよ」
「あ、魔理沙さん。それにアリスさんに紫さん? どうしたんです?」
「答えの発表よ、異変のね」
 紫はいまだにぶっ倒れている巫女に肩を貸してやった。巫女はなんとか起き上がる。
「うう、ルーミアに負けちゃった。霊夢さまとは比べ物にならないなぁ、私」
 彼女の名前は博麗神歌。
 現在、つまり第165季、外の世界では西暦2050年の時点における博麗の巫女である。








 種族魔法使いである霧雨魔理沙にとって歴代の巫女はいい遊び相手だった。弾幕勝負を仕掛けると、それぞれの個性がよく表れたスペルカードを繰り出してきたものだ。
「でもお前は弱いなー、ミカ」
「うう、ごめんなさい……」
 本来彼女を鍛えるべき霊夢はふらっとどこかへ行ってしまった。噂によると外の世界を旅しているとのことだが。
「さて、じゃあ話し始めましょうか」
 博麗神社の居間。あと少しで陽が沈もうとする薄暗い室内に、魔理沙、アリス、神歌、そして紫は集まっていた。
「今回の異変、お察しの通り外の世界での出来事が原因よ」
「そしてその出来事は、大規模な魔術を使った戦争か?」
 魔理沙はどこか達観した雰囲気を漂わせながら言う。アリスは、魔理沙が妖怪という永い生を獲得してからはこんな風にしゃべることが多くなったなと、ぼんやり思う。
「あら、どうしてそう思うのかしら?」
「微量だが幻想郷のあちこちから外の世界から来た魔素を見つけた」
 魔理沙はポケットから何本かの試験管を取り出す。
「強大な魔術が使われたんだろう。そうでなきゃ魔素が何百キロも飛んでくることなんてない。ここまで強大になってくると、細かい作業に使えるほど力をセーブできない。出来るのは破壊だけだ。力を振り回して何かをめちゃくちゃにするだけだ。と、なると。そんな破壊の力を盛大に使う出来事はなにか? 戦争しかないだろう」
「正解ですわ。外の世界で広範囲に影響を及ぼす魔術が行使されました」
 紫はどこか遠くを見るような目となる。
「広範囲、か。どれくらいだ」
「全地球的」
「……外の世界はいま、どうなっている?」
 魔女の大鍋ですわ。
 紫のその言葉に魔理沙とアリスは苦笑する。なるほど、そんな軽口が言えるくらいには賢者は落ち着いているらしい。
「新列強と呼ばれる国々は秘密裏に魔術、いえ霊的技術の研究を行っていたわ。でもその技術は、力の増強は簡単だけど、力の制御は難しい代物だった。研究者たちもなんとか制御をする技術を見つけようとしたけれど、どうしても出来なかった。そんな危険な状況のときに、ある場所で小さな紛争が起こったの。その紛争はだんだん大きくなっていって、遂には本格的な戦争に発展してしまったわ。そして、戦争の当事国だった新列強の一つは、制御が難しい強大な霊的技術を安易に使用してしまった。結果は、いまあなたたちが思っている通り」
「失敗だったんだな」
「その霊的技術は作用した範囲内の土壌に、呪いをかけてしまうものだったわ。暴走した魔術は全世界を覆い、ありとあらゆる土を汚染していった。魔術が使用されたのは昨日よ。外の世界の野菜は、ことごとく枯れ果ててしまっているでしょうね」
「あ、そうか!」
 合点がいった顔で神歌が言う。
「つまりこの異変は……幻想入り」
 幻想郷は外の世界で幻想になってしまったものが流入してくる場所だ。
 全世界の野菜が枯れてしまったのならそれは、外の世界において野菜が幻想となったことを意味する。
「米や小麦はなんとかストップさせたんだけど、野菜に関してはちょっと失敗してね。幻想入りしちゃったわ」
「うん? じゃあ牛とか馬とか草を食べる動物はどうなる? 土壌が汚染されたのならそれを食べるそいつらも死んでしまって幻想になるんじゃ?」
「そうねー、いま大急ぎで大結界を締めなおしているところなのよ。当分は事物が幻想入りできないようにするわ。外の世界の混乱が収まるまでね」
「収まるのか? 混乱。そのまま外の世界が滅んでしまってもおかしくないように思えるんだが」
「外の世界を調べていくなかで、なんとかできるテクノロジーがあるのを見つけたわ。それを使えば、まあなんとかなるでしょう」
 アリスは思う。結界という壁の向こうでは悪夢が広がっているのに、こちらは野菜が溢れかえっている。なんというか、喜劇じみているではないか。改めて、幻想郷の異質さを感じてしまう。
「幻想郷にはこれ以上変化は起こらないんだな?」
「ええ。野菜の成長が止まったのを確認しているとおもうけど?」
「そうか……それならいい。それならいいんだ」
 一種冷酷にも聞こえる魔理沙の言葉。幻想郷さえよければよいとも聞こえてしまう。
 だが。
「幻想郷の本質は『保存』だ。なら、今度は野菜を保存してやろうじゃないか。外の世界の戦争はあくまで外の世界の出来事だ。幻想郷を狙ったものじゃない。こっちはその本質通りに行動するだけだ」
 紫、外の世界の土にかけられた呪いが消失するのに何年かかる? 魔理沙は尋ねた。
「そうね。ざっと50年はかかるかしら」
「じゃあ50年だ。50年作物を預かろう。その後は、野菜の種を返してやる」
 幻想になった野菜が外の世界に甦るまで、幻想郷はそれを保全する。
 魔理沙は思う。幻想郷はシェルターのような場所だ。一時的に退避し、時間が立てば元の場所に帰る。幻想はいつまでも現実と分かたれるものではなく、いつか現実と合一するものなのだ。
「え、えと……あ、陽が暮れましたね。晩御飯にしましょうか」
 幻想郷の本質論にまで膨れ上がった話に、頭がオーバーヒート気味だった神歌が言った。
「いや……宴会にしようぜ!」
「ええ!?」
 神歌は驚いて魔理沙を見る。
「せっかく野菜が溢れているんだ。ぱっと宴会でもして消費しようぜ。腐らせちゃもったいない。なんていうんだっけ、サラダパーティ? それしようぜ!」
「あら、サラダに合うお酒ってあったかしら?」
 アリスはそう言いながら口元に笑みをうかべた。
 ああ、まったく。ここはいいところだ。
「じゃー他の連中呼んでくるわねー」
「おう、スキマでカカッと行ってこい! あ、咲夜も呼んできてくれ。歳をとったなんて言っているが、まだまだ酒は大丈夫だってことをわたしは知っているんだ!」
 紫はスキマに飛び込み姿を消す。
 魔理沙は勇んで境内に飛び出し、キャベツの収穫に入った。
「ああ、まったく」
 アリスは思う。
 霧雨魔理沙がいつまでも霧雨魔理沙であるように。
 幻想郷はいつまでも幻想郷なのだ。
 西暦2087年 とある大学の図書館
「ふーん、『カインの日』についてのレポートね」
「そう、ぱぱっと終わらすから、ちょっと待っててね蓮子」
「了解、メリー。しかし『カインの日』か。21世紀の歴史には欠かすことの出来ない出来事であると同時に、私たち秘封倶楽部が結成された遠因ともいえるのよね」
「第三次世界大戦を一日で終わらせたのは、地球全体を影響下においた霊的技術の暴走。人類は合成食物の開発のおかげでなんとか危機を脱出したけれど、それ以後霊的技術は政府の強い管理下に置かれたからね」
「結界暴きもご法度になった、と。でも、政府が管理しているはずの結界が暴走してしまうことがあるのは、秘封倶楽部の活動結果で丸わかり」
「単に人の目から隠し続けるのも限界があると思うわ」
「人類はもう一度霊的技術に目を背けず見つめなおすべきということね。そのためにも我々の活動が重要になってくるのよ!」
「ま、単におもしろそうだから、って理由もあるんでしょ蓮子?」
「バレたか」
「わたし達自体も、気をつけなくちゃ。秘封倶楽部が原因で『カインの日』を起こしたらとんでもないからね」


「ところで蓮子、『カインの日』の記録にときどき登場する、混乱を収めるために尽力した謎の巫女って誰かしら?」
「さあ?」
青坂章也
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コメント



0.1080簡易評価
4.100名前が無い程度の能力削除
いつも楽しみにしてます
5.100dai削除
設定が好きです
6.100絶望を司る程度の能力削除
設定続いてるのか・・・面白かったです。
9.100名前が無い程度の能力削除
これは他の作品も読まなきゃならんなあ(ワクテカ)
面白かったです
12.無評価名前が無い程度の能力削除
作者の知識の無さが凄い。よくここまで知ったかぶれるもんだ。
15.50名前が無い程度の能力削除
よーわからん
18.100tail削除
さくさく読めて、オチも綺麗にまとまっている。
文句なしの100点です
22.100名前が無い程度の能力削除
面白かったです。うーん野菜かぁ…
23.無評価名前が無い程度の能力削除
数百キロの彼方? それでは日本規模の異変にしかならないと思うんですが?
参考までに大阪~東京で500キロ、小樽~根室も500キロ程度になります。
26.100名前が無い程度の能力削除
この作者さんの現実と幻想郷を絶妙にクロスさせる作風が好き
両方絶妙に立ててるのが素晴らしい

幻想郷的にはギャグのような状況でも実際には壊滅的に深刻な状況だったんですね
原作の秘封倶楽部世界とも合うし雰囲気がなんか原作的な気がします
良かったです
27.90名前が無い程度の能力削除
なるほど、秘封に出てくる合成食品の設定をこう持ってきましたか。
28.90名前が無い程度の能力削除
外の世界に霊的技術を提供して暴走させ、
その暴走を幻想郷の連中が収めることで勢力を云々・・・

という戦略を布都が以前の作品で語っていましたが、
結局そうはしなかったんですね。
ゆかりんは基本的に幻想郷の外には興味無いのかもしれませんが、
叩ける時に叩いておかないと痛い目に会うんじゃないかと思ったり。
31.10名前が無い程度の能力削除
設定もパクりで、独創性がありません。軽薄です。