・健全です
・シリーズ物ですが前後作品を読む必要は全くありません
・なんなら好きなキャラの出てくるページだけ読んでいただいても結構です
レミリアと咲夜 ただ一緒にいるだけで
夜中にふと目が覚めることがある。そもそも私は吸血鬼、本来夜はバリバリの活動時間だ。とはいえ私の友人達は必ずしもそうではない。故に活動時間を昼間にずらそうとしているのだが、やはり身についた習慣や種族による習性はそう簡単に拭えるものではない。眠りが浅いから変な夢まで見る始末だ。
自室を出て音を立てないように廊下を歩く。この時間はメイドも勤務時間外である。仕切る人間がいなくなるから仕方がない。何も考えずに気の向くままに歩を進める。それでも行き着く先は分かりきっているし、何より自分の意志で向かってしまうと認めるのは何となく癪だったからだ。
目的の……いや何となく辿り着いた部屋の扉はいつもの様に少しだけ開いていた。まさか吸血鬼が招かれないと部屋に入れないなんて迷信を信じているわけではないだろうに。
「……」
音と気配を消して入ってみると部屋の主、咲夜は微かな寝息を立てて熟睡していた。そのまま気付かれないように近づき、そして首元に向けて……
「……」
「……」
「……何よ」
「いや逆ギレされても困るのですが」
目があった。そりゃあもうばっちりと。
「いつ起きたのよ」
「今さっきですわ」
「そうなんだ」
「……」
「……」
「……一緒に寝ますか?」
いつも通り咲夜は私に手を伸ばす。というのもこんな風に夜中に訪れるのは珍しいことではない。だがだからといって私はその手をとれるほど大人にはなれない。
「夜は妖の時間、私達非力な人間はその存在に只々怯えるばかりです。ですからお嬢様に側にいて頂けると心強いのですが」
「……大切な従者の頼みなら無下には出来ないわね」
二人でクスリと笑った後、咲夜の手をとる。そしてなされるがまま布団の中に入り込む。
「今回はどうされたのですか?」
「ちょっと夢見が悪くてね」
「そうですか……」
こういう時フランなら代わりに楽しい話をし、美鈴なら相談に乗ってくれ、パチェにはそもそもこういう面は見せない。そして咲夜は黙って私を待つ。必要があれば私が話すと分かっているから。
「……」
「……」
「……未来のさ、夢を見たんだ。ずっと先の」
「……」
「……咲夜も一緒に見たくない?私の隣でずっと一緒に」
お互いに少し黙った後、咲夜が静かに口を開く。
「生きている間は一緒にいますから」
「……」
そう言って私を抱きしめて手を握り、髪の毛にキスをする。
「いつか来る終わりを考えるよりも今この時を後悔のないように生きたほうが有意義ですわ」
「たとえその終わりが避けられるものだとしても?」
「避けないからこそです」
「……お前は意地の悪い従者だ」
「私は優しい主人を持てて幸せです。いつかお嬢様を泣かせてしまう日が来るとしても、今この時は貴方の涙を拭うのは私の役目です。生きている間は全身全霊を持って悲しみを払い喜びを与えてみせます」
「悲しみは払うものではなく乗り越えるもの。喜びは与えられるものではなくて分かち合うものよ」
その後静かに時間が流れていく。聞こえてくるのは咲夜の呼吸と心音だけだ。この音をしっかりと刻みながら今宵は眠りにつく。きっと私はこの音を忘れることはないだろう。今度は悪い夢を見ることはなさそうだ。
・シリーズ物ですが前後作品を読む必要は全くありません
・なんなら好きなキャラの出てくるページだけ読んでいただいても結構です
レミリアと咲夜 ただ一緒にいるだけで
夜中にふと目が覚めることがある。そもそも私は吸血鬼、本来夜はバリバリの活動時間だ。とはいえ私の友人達は必ずしもそうではない。故に活動時間を昼間にずらそうとしているのだが、やはり身についた習慣や種族による習性はそう簡単に拭えるものではない。眠りが浅いから変な夢まで見る始末だ。
自室を出て音を立てないように廊下を歩く。この時間はメイドも勤務時間外である。仕切る人間がいなくなるから仕方がない。何も考えずに気の向くままに歩を進める。それでも行き着く先は分かりきっているし、何より自分の意志で向かってしまうと認めるのは何となく癪だったからだ。
目的の……いや何となく辿り着いた部屋の扉はいつもの様に少しだけ開いていた。まさか吸血鬼が招かれないと部屋に入れないなんて迷信を信じているわけではないだろうに。
「……」
音と気配を消して入ってみると部屋の主、咲夜は微かな寝息を立てて熟睡していた。そのまま気付かれないように近づき、そして首元に向けて……
「……」
「……」
「……何よ」
「いや逆ギレされても困るのですが」
目があった。そりゃあもうばっちりと。
「いつ起きたのよ」
「今さっきですわ」
「そうなんだ」
「……」
「……」
「……一緒に寝ますか?」
いつも通り咲夜は私に手を伸ばす。というのもこんな風に夜中に訪れるのは珍しいことではない。だがだからといって私はその手をとれるほど大人にはなれない。
「夜は妖の時間、私達非力な人間はその存在に只々怯えるばかりです。ですからお嬢様に側にいて頂けると心強いのですが」
「……大切な従者の頼みなら無下には出来ないわね」
二人でクスリと笑った後、咲夜の手をとる。そしてなされるがまま布団の中に入り込む。
「今回はどうされたのですか?」
「ちょっと夢見が悪くてね」
「そうですか……」
こういう時フランなら代わりに楽しい話をし、美鈴なら相談に乗ってくれ、パチェにはそもそもこういう面は見せない。そして咲夜は黙って私を待つ。必要があれば私が話すと分かっているから。
「……」
「……」
「……未来のさ、夢を見たんだ。ずっと先の」
「……」
「……咲夜も一緒に見たくない?私の隣でずっと一緒に」
お互いに少し黙った後、咲夜が静かに口を開く。
「生きている間は一緒にいますから」
「……」
そう言って私を抱きしめて手を握り、髪の毛にキスをする。
「いつか来る終わりを考えるよりも今この時を後悔のないように生きたほうが有意義ですわ」
「たとえその終わりが避けられるものだとしても?」
「避けないからこそです」
「……お前は意地の悪い従者だ」
「私は優しい主人を持てて幸せです。いつかお嬢様を泣かせてしまう日が来るとしても、今この時は貴方の涙を拭うのは私の役目です。生きている間は全身全霊を持って悲しみを払い喜びを与えてみせます」
「悲しみは払うものではなく乗り越えるもの。喜びは与えられるものではなくて分かち合うものよ」
その後静かに時間が流れていく。聞こえてくるのは咲夜の呼吸と心音だけだ。この音をしっかりと刻みながら今宵は眠りにつく。きっと私はこの音を忘れることはないだろう。今度は悪い夢を見ることはなさそうだ。