序論
私、フランドール・スカーレットは、今まで生きてきた中で、初めて実験というものをしてみようと思いました。
面白いものは無いかなーと、今まで色々してきましたが、パチュリーが熱心にやっている物事については、正直あんまり興味を持っていませんでした。
パチュリーの話は難しくてほとんどよくわかりません。
生命の根幹とか、魂のエネルギーだとか、一つ一つの言葉はなんとなくわかるのですが、それがどうした、というところまでいくとまるでちんぷんかんぷんです。
でしたが、17世紀に、ファン・ヘルモントという外界の学者さんがした実験は、私でもできそうなくらい簡単なものだったので、じゃあやってみよう、ということで実際にやってみました。
あと、パチュリーと小悪魔に手伝ってもらいました。
(注:本実験は、17世紀の外界において生物の自然発生説を肯定するために行われたいわゆる「ファン・ヘルモントの実験」の不完全な再現である。
周知のとおり、自然発生説は外界においては完全に否定された学説であり、本実験自体瑕疵のある代物である。よって、私自身、最初からまともな実験結果が得られないと確信している。
すなわち実験が失敗することは最初から織り込み済みであり、ために、作業手順に関しては、基本的な概念は踏襲しつつも、実験の再現とは言いがたい程に代替手段を多用している。
生命の根源。私を含め、すべての魔法使いが探求してやまないテーマのひとつである。
だが今回の実験を行う目的はそのようなものではない。
わが友レミリア・スカーレットの妹であり、かつ私自身とも直接の友人であるフランドール・スカーレット。
彼女が初歩的な実験を行うことで、初めて実験作業を組み立てるときの興奮や、実験が失敗し当初予測したとおりの結果が出なかったときの落胆など、真理への探求とはいかなるものかを、実際に彼女自身に体感してもらうこと。それこそが当実験の本旨である。
そのような目的から、この実験記録はフランドール自身が執筆し、私と小悪魔は助手的な役割を果たすだけにとどまり、なお不足が感じられる部分については、このような形で注釈をつける形とした。ため、これは学術的な論文とはとても言いがたい代物であることは留意されたい。
彼女にとって新しい世界への扉がまたひとつ開かれ、さらに願わくば、これをきっかけにして彼女が真理の追究を志す道に入門し、私の同志の一人とならんことを:P)
方法
用意したもの
・小麦の藁
片手で二握りくらい(「小麦の粒」の代用である:P)(「八十八の神様が宿っているのでそんな無駄遣いには出せない」と咲夜さんに小麦の提供を拒否されたための代用です。「それは米です」とは突っ込めない雰囲気でした:こ)
・段ボール箱
大き目のをひとつ。しゃがんだら私が納まるかどうかという位の大きさ(「壷」の代用である:P)(実験が終わった後すぐに捨てられるようにですね:こ)
・オリーブオイル
適量(実際にヘルモントが行った実験でも、オリーブオイルを使った可能性が高い:P)(咲夜さんには、ほんの少ししかもらえませんでしたけどね。オリーブオイル:こ)
・妖精メイドの古着
破けてもう着られなくなったやつ 。おてんば青メイドのシェリーにもらった。(「汗で汚れたシャツ」の代用である。きれいに洗濯してある:P)(ヒント=咲夜さん:こ)
実験の手順
前提
本来なら、小麦の粒と汗で汚れたシャツに油と牛乳をたらしたものを壷にいれ、倉庫に放置するらしいのですが、色々とじじょうがあって、咲夜と約束したので、下に書いた手順に直しています。
1.段ボール箱に古着と藁を敷き詰めて、表面にオリーブオイルを少し塗ります。
本当だと、壷にシャツを入れてそこに牛乳と油をたらし、小麦をまくそうなんだけど。
そのとおりにやろうとしたら、咲夜が私にすっごく哀しそうな泣きそうな目をして(私と小悪魔に対しては、完全に養豚場の豚を見る目つきであった:P)「やめてください」ってお願いしてきたので、上記のやり方にしました。
牛乳を拭いたぞうきんって、とてもくさくってイムベキ存在になるそうです。わたし知らなかった。
2.ダンボール箱を放置して、一日ごとに様子を見ます。
紅魔館のお庭に日当たりがよい場所があったので、そこにおいて様子を見ました。
毎日一回、お昼ごろにパチュリーと小悪魔と一緒にお庭に出て、みんなで様子を見ることになりました。
見逃した事柄がないよう、小悪魔が毎日写真を撮ることになりました。
(本来なら、ジメジメした暗い環境の倉庫などで放置すべきかと思うのですが、やっぱり咲夜さんが……怒ったときの咲夜さんは、とても怖いですよね:こ)
結果
1.1日目
ダンボールをおきました。
私達がダンボールを置いた場所は紅魔館のお庭の隅っこでした。
すぐそばの土が掘り返されていて、何だろうと思いましたが、美鈴が家庭菜園をやってるらしく、近いうちに春菊を植えるそうです。
ここは門番の巡回場所じゃないけど、美鈴も暇を見つけて観察を手伝ってくれるって!(美鈴さん自慢のおいしい野菜は、わりとよく食卓に出てきますね:こ)
2.2日目
ダンボールの中に、葉っぱと枝が少しだけ入っていました。
一緒に見たパチュリーは、風が吹いて、ダンボールのすぐそばにある生垣から落ちてきたんだろうって言ってました。
私の日傘を持ってくれた小悪魔も、美鈴も頷いていました。私もそうだと思います。 (後で問いただした。美鈴曰く。昨夜未明、突風が吹いたので念のために様子を見に行くと、ダンボールが近くの生垣に突っ込んでいたため、あわてて元の場所におきなおしたとの事。ダンボールの軽さを考慮に入れなかったのはフランではなくむしろ私のミスであるが、そのような実験途中のアクシデントに対処するのも今実験の目的のひとつであるため、美鈴には私への報告だけするようにして基本は放置するよう依頼した。:P)
3.3日目
変化無し。
観察する時間が、いつもより少し遅れてしまいました。
咲夜とメイドたちが椅子とテーブルを運んでくれたので、ちょうどお茶の時間でもあったので、観察しながらクッキーと紅茶をいただきました。
咲夜はお姉様もどうですか、と誘ったらしいのだけど。お姉さまはとうとう最後までお外に出てきませんでした。
でも、二階の窓から、あいつのわずらわしい視線がちらちらとしていたのは、ちゃあんとわかっています。
(気温も暖かで、時折さわやかな風が吹く、とても気持ちのよいお茶会でした。私もフラン様も、文字通り羽を伸ばしてくつろぐことができました。;こ)(実際はフランが誘ったのよね。美鈴も含めみんな来たのに、結局レミィだけは最後まで参加しなかったわね。何であそこで拗ねるのやら:P)(後で咲夜さんと一緒に行ったのですが、お嬢様、そのときに根堀葉堀フラン様の様子を咲夜さんに聞いてましたよ:こ)
4.4日目
変化無し。
ちょうど居合わせた美鈴にも聞いてみましたが、美鈴も何も変化は見つけられなかったそうです。
紅魔館の周辺自体、何も変化はなく、動きが見られるのは、記事のネタを探す妖怪か落し物を探す妖怪くらいだそうです。
5.5日目
変化無し。つまんない。
6.6日目
すごい! 実験は成功です!
ダンボールの中に、生き物を作り出すことに成功しました!
私達が様子を見に行くと、ダンボールの中に生き物が発生していました。
しかも大物も大物。ダンボールに収まりきらないぐらいに、みっちり収まっていました。(俗に言う香箱座り、というものであった:P)
見た感じはなんというか、満足げというか、とてもリラックスした様子でした。(しっくりしている、といった表情でしたね、あれは:こ)
あれは毘沙門天の代理だと、パチュリーが教えてくれました。
生物どころか、そんなすごい存在を作り出すことができて、私はとてもうれしく思いました。
しかもよくよく見ると、近くでそれを見ているネズミの妖怪さんも召喚できてしまったみたいで、そのネズミさんも、一心不乱に毘沙門天の代理さんのほうを見つめていました。(×一心不乱に ○唖然とした表情で:こ)(いや、アレも相当肯定的な視線だったわ。少なくとも、私達の存在に気がつくまでは:P)
観察を続けていると、私達に気づいたらしく、しばらくの間、私達と視線をあわせました。
(かの者が我に返ったのは、われわれの目線に気がづいた後、きっかり十秒が経過してからのことであった:P)(顔真っ赤にして、かわいらしい、必死の涙目でしたねえ:こ)
その後、なんと二匹そろって私達と弾幕ごっこをしてくれました。楽しかったです。
(圧勝だったわね:P)(わたしはボロボロですけどね:こ)(乱戦において小悪魔シールドは非常に有効:P)(怒りますよ?:こ)(ごめん。正直調子に乗りすぎてた:P)(……もう:こ)
結論
面白かったです。パチュリーいわく、実験は今回みたいに成功するばかりではなく、失敗する事だって良くあることなのよ、と教えてくれました。そういう失敗を乗り越えてこそ感じられる達成感というものもあるそうです。
考察
ファン・ヘルモントの実験について。
後世に生きるわれわれから見ると、明らかに構造的欠陥のある実験である。
ほぼ同時期に行われたレディの実験により自然発生説が否定されたのは、あまりにも良く知られた歴史的事実であろう。
ファン・ヘルモント自身はきわめて優秀な科学者であり、別のいわゆる「ヤナギの実験」を行ったり、また人類としては始めて「ガス」や「浸透」の概念を提唱しているほど、当時の科学者としては突出して高い知性の持ち主であったことがわかる。
しかしながら、そのような彼がなぜこのようなずさんな実験を行ったのか、というのは、私自身、少々疑問に思っていた事柄であった。
当時の学界においては、生物学の分野はまだまだ未発達であり、当時の人類の知識では、実験手順をどのように組み立てるべきかという実験手法のノウハウ、知の集積が圧倒的に足りなかったためであろう。そう思っていた。
17世紀の実際のヘルモントの実験においては、ハツカネズミが「発生した」ことにより、自然発生説を肯定する実験結果となっている。
今回予想外に呼び寄せることに成功してしまったのは、虎と、やはり同じく鼠であった。
自然発生説。外界では完全に否定されつくした学説である。
だがそれは、「完全に幻想入りしてしまった学説」ともいえてしまうのではないか?
周知のとおり、外界において魔法は完全に否定されており、外界にすむ人類は魔法を使うことができない。
しかしながら幻想郷においては、私をはじめとして魔法を使うことのできるものは普通に存在しており、かつ魔法は全面的に肯定されており、利用されているのが実情である。
ハツカネズミとナズーリン。
そこで、私は「まさか、ひょっとしたら」と思うのだ。
ファン・ヘルモントは実験において生物の作成に失敗したことは間違いない。
当時の科学は信仰や魔術、錬金術と未分化であり、科学者はそれらを、自らの思考からも行動様式からも切り離すことが不可能であった。
その点、現代科学は魔術などとは完全に切り離されている。そして、切り離された魔法は完全に否定、いや「幻想入り」してしまっている。
しかしながら、あの時代。外界においても科学と魔法が未分化で共存していた最後の時代。
私は思考する。
「あるいは、ファン・ヘルモントは、科学者として有能なだけではなく、魔術者としても有能であったのではないか?」と。
まさか彼の実験の帰結は、今回のわれわれのそれと類似して……
いや、これ以上身勝手な推論を重ねるのは止めておこう。
今回フランの実験を協力したことで、私自身、魔法分野における研究に新しい切り口が見えたことは明らかである、とだけ結論をつけておくことにする。思わぬ収穫であった。:P
(ちなみに、例の様子を撮影した写真のフィルムがですね。口止め料を含んでるとはいえとても良い値段で命蓮寺に売れたので、紅魔館は完全なる黒字でした。しばらく実験材料や書籍の購入予算には困りませんね:こ)
(あのな、私が撮ってた方のデジカメのな? データを文に売っぱらっちゃったんだけど:P)
(マジですか?:こ)
(……てへぺろ(・ω<):P)
(これあかんやつや……:こ)
私、フランドール・スカーレットは、今まで生きてきた中で、初めて実験というものをしてみようと思いました。
面白いものは無いかなーと、今まで色々してきましたが、パチュリーが熱心にやっている物事については、正直あんまり興味を持っていませんでした。
パチュリーの話は難しくてほとんどよくわかりません。
生命の根幹とか、魂のエネルギーだとか、一つ一つの言葉はなんとなくわかるのですが、それがどうした、というところまでいくとまるでちんぷんかんぷんです。
でしたが、17世紀に、ファン・ヘルモントという外界の学者さんがした実験は、私でもできそうなくらい簡単なものだったので、じゃあやってみよう、ということで実際にやってみました。
あと、パチュリーと小悪魔に手伝ってもらいました。
(注:本実験は、17世紀の外界において生物の自然発生説を肯定するために行われたいわゆる「ファン・ヘルモントの実験」の不完全な再現である。
周知のとおり、自然発生説は外界においては完全に否定された学説であり、本実験自体瑕疵のある代物である。よって、私自身、最初からまともな実験結果が得られないと確信している。
すなわち実験が失敗することは最初から織り込み済みであり、ために、作業手順に関しては、基本的な概念は踏襲しつつも、実験の再現とは言いがたい程に代替手段を多用している。
生命の根源。私を含め、すべての魔法使いが探求してやまないテーマのひとつである。
だが今回の実験を行う目的はそのようなものではない。
わが友レミリア・スカーレットの妹であり、かつ私自身とも直接の友人であるフランドール・スカーレット。
彼女が初歩的な実験を行うことで、初めて実験作業を組み立てるときの興奮や、実験が失敗し当初予測したとおりの結果が出なかったときの落胆など、真理への探求とはいかなるものかを、実際に彼女自身に体感してもらうこと。それこそが当実験の本旨である。
そのような目的から、この実験記録はフランドール自身が執筆し、私と小悪魔は助手的な役割を果たすだけにとどまり、なお不足が感じられる部分については、このような形で注釈をつける形とした。ため、これは学術的な論文とはとても言いがたい代物であることは留意されたい。
彼女にとって新しい世界への扉がまたひとつ開かれ、さらに願わくば、これをきっかけにして彼女が真理の追究を志す道に入門し、私の同志の一人とならんことを:P)
方法
用意したもの
・小麦の藁
片手で二握りくらい(「小麦の粒」の代用である:P)(「八十八の神様が宿っているのでそんな無駄遣いには出せない」と咲夜さんに小麦の提供を拒否されたための代用です。「それは米です」とは突っ込めない雰囲気でした:こ)
・段ボール箱
大き目のをひとつ。しゃがんだら私が納まるかどうかという位の大きさ(「壷」の代用である:P)(実験が終わった後すぐに捨てられるようにですね:こ)
・オリーブオイル
適量(実際にヘルモントが行った実験でも、オリーブオイルを使った可能性が高い:P)(咲夜さんには、ほんの少ししかもらえませんでしたけどね。オリーブオイル:こ)
・妖精メイドの古着
破けてもう着られなくなったやつ 。おてんば青メイドのシェリーにもらった。(「汗で汚れたシャツ」の代用である。きれいに洗濯してある:P)(ヒント=咲夜さん:こ)
実験の手順
前提
本来なら、小麦の粒と汗で汚れたシャツに油と牛乳をたらしたものを壷にいれ、倉庫に放置するらしいのですが、色々とじじょうがあって、咲夜と約束したので、下に書いた手順に直しています。
1.段ボール箱に古着と藁を敷き詰めて、表面にオリーブオイルを少し塗ります。
本当だと、壷にシャツを入れてそこに牛乳と油をたらし、小麦をまくそうなんだけど。
そのとおりにやろうとしたら、咲夜が私にすっごく哀しそうな泣きそうな目をして(私と小悪魔に対しては、完全に養豚場の豚を見る目つきであった:P)「やめてください」ってお願いしてきたので、上記のやり方にしました。
牛乳を拭いたぞうきんって、とてもくさくってイムベキ存在になるそうです。わたし知らなかった。
2.ダンボール箱を放置して、一日ごとに様子を見ます。
紅魔館のお庭に日当たりがよい場所があったので、そこにおいて様子を見ました。
毎日一回、お昼ごろにパチュリーと小悪魔と一緒にお庭に出て、みんなで様子を見ることになりました。
見逃した事柄がないよう、小悪魔が毎日写真を撮ることになりました。
(本来なら、ジメジメした暗い環境の倉庫などで放置すべきかと思うのですが、やっぱり咲夜さんが……怒ったときの咲夜さんは、とても怖いですよね:こ)
結果
1.1日目
ダンボールをおきました。
私達がダンボールを置いた場所は紅魔館のお庭の隅っこでした。
すぐそばの土が掘り返されていて、何だろうと思いましたが、美鈴が家庭菜園をやってるらしく、近いうちに春菊を植えるそうです。
ここは門番の巡回場所じゃないけど、美鈴も暇を見つけて観察を手伝ってくれるって!(美鈴さん自慢のおいしい野菜は、わりとよく食卓に出てきますね:こ)
2.2日目
ダンボールの中に、葉っぱと枝が少しだけ入っていました。
一緒に見たパチュリーは、風が吹いて、ダンボールのすぐそばにある生垣から落ちてきたんだろうって言ってました。
私の日傘を持ってくれた小悪魔も、美鈴も頷いていました。私もそうだと思います。 (後で問いただした。美鈴曰く。昨夜未明、突風が吹いたので念のために様子を見に行くと、ダンボールが近くの生垣に突っ込んでいたため、あわてて元の場所におきなおしたとの事。ダンボールの軽さを考慮に入れなかったのはフランではなくむしろ私のミスであるが、そのような実験途中のアクシデントに対処するのも今実験の目的のひとつであるため、美鈴には私への報告だけするようにして基本は放置するよう依頼した。:P)
3.3日目
変化無し。
観察する時間が、いつもより少し遅れてしまいました。
咲夜とメイドたちが椅子とテーブルを運んでくれたので、ちょうどお茶の時間でもあったので、観察しながらクッキーと紅茶をいただきました。
咲夜はお姉様もどうですか、と誘ったらしいのだけど。お姉さまはとうとう最後までお外に出てきませんでした。
でも、二階の窓から、あいつのわずらわしい視線がちらちらとしていたのは、ちゃあんとわかっています。
(気温も暖かで、時折さわやかな風が吹く、とても気持ちのよいお茶会でした。私もフラン様も、文字通り羽を伸ばしてくつろぐことができました。;こ)(実際はフランが誘ったのよね。美鈴も含めみんな来たのに、結局レミィだけは最後まで参加しなかったわね。何であそこで拗ねるのやら:P)(後で咲夜さんと一緒に行ったのですが、お嬢様、そのときに根堀葉堀フラン様の様子を咲夜さんに聞いてましたよ:こ)
4.4日目
変化無し。
ちょうど居合わせた美鈴にも聞いてみましたが、美鈴も何も変化は見つけられなかったそうです。
紅魔館の周辺自体、何も変化はなく、動きが見られるのは、記事のネタを探す妖怪か落し物を探す妖怪くらいだそうです。
5.5日目
変化無し。つまんない。
6.6日目
すごい! 実験は成功です!
ダンボールの中に、生き物を作り出すことに成功しました!
私達が様子を見に行くと、ダンボールの中に生き物が発生していました。
しかも大物も大物。ダンボールに収まりきらないぐらいに、みっちり収まっていました。(俗に言う香箱座り、というものであった:P)
見た感じはなんというか、満足げというか、とてもリラックスした様子でした。(しっくりしている、といった表情でしたね、あれは:こ)
あれは毘沙門天の代理だと、パチュリーが教えてくれました。
生物どころか、そんなすごい存在を作り出すことができて、私はとてもうれしく思いました。
しかもよくよく見ると、近くでそれを見ているネズミの妖怪さんも召喚できてしまったみたいで、そのネズミさんも、一心不乱に毘沙門天の代理さんのほうを見つめていました。(×一心不乱に ○唖然とした表情で:こ)(いや、アレも相当肯定的な視線だったわ。少なくとも、私達の存在に気がつくまでは:P)
観察を続けていると、私達に気づいたらしく、しばらくの間、私達と視線をあわせました。
(かの者が我に返ったのは、われわれの目線に気がづいた後、きっかり十秒が経過してからのことであった:P)(顔真っ赤にして、かわいらしい、必死の涙目でしたねえ:こ)
その後、なんと二匹そろって私達と弾幕ごっこをしてくれました。楽しかったです。
(圧勝だったわね:P)(わたしはボロボロですけどね:こ)(乱戦において小悪魔シールドは非常に有効:P)(怒りますよ?:こ)(ごめん。正直調子に乗りすぎてた:P)(……もう:こ)
結論
面白かったです。パチュリーいわく、実験は今回みたいに成功するばかりではなく、失敗する事だって良くあることなのよ、と教えてくれました。そういう失敗を乗り越えてこそ感じられる達成感というものもあるそうです。
考察
ファン・ヘルモントの実験について。
後世に生きるわれわれから見ると、明らかに構造的欠陥のある実験である。
ほぼ同時期に行われたレディの実験により自然発生説が否定されたのは、あまりにも良く知られた歴史的事実であろう。
ファン・ヘルモント自身はきわめて優秀な科学者であり、別のいわゆる「ヤナギの実験」を行ったり、また人類としては始めて「ガス」や「浸透」の概念を提唱しているほど、当時の科学者としては突出して高い知性の持ち主であったことがわかる。
しかしながら、そのような彼がなぜこのようなずさんな実験を行ったのか、というのは、私自身、少々疑問に思っていた事柄であった。
当時の学界においては、生物学の分野はまだまだ未発達であり、当時の人類の知識では、実験手順をどのように組み立てるべきかという実験手法のノウハウ、知の集積が圧倒的に足りなかったためであろう。そう思っていた。
17世紀の実際のヘルモントの実験においては、ハツカネズミが「発生した」ことにより、自然発生説を肯定する実験結果となっている。
今回予想外に呼び寄せることに成功してしまったのは、虎と、やはり同じく鼠であった。
自然発生説。外界では完全に否定されつくした学説である。
だがそれは、「完全に幻想入りしてしまった学説」ともいえてしまうのではないか?
周知のとおり、外界において魔法は完全に否定されており、外界にすむ人類は魔法を使うことができない。
しかしながら幻想郷においては、私をはじめとして魔法を使うことのできるものは普通に存在しており、かつ魔法は全面的に肯定されており、利用されているのが実情である。
ハツカネズミとナズーリン。
そこで、私は「まさか、ひょっとしたら」と思うのだ。
ファン・ヘルモントは実験において生物の作成に失敗したことは間違いない。
当時の科学は信仰や魔術、錬金術と未分化であり、科学者はそれらを、自らの思考からも行動様式からも切り離すことが不可能であった。
その点、現代科学は魔術などとは完全に切り離されている。そして、切り離された魔法は完全に否定、いや「幻想入り」してしまっている。
しかしながら、あの時代。外界においても科学と魔法が未分化で共存していた最後の時代。
私は思考する。
「あるいは、ファン・ヘルモントは、科学者として有能なだけではなく、魔術者としても有能であったのではないか?」と。
まさか彼の実験の帰結は、今回のわれわれのそれと類似して……
いや、これ以上身勝手な推論を重ねるのは止めておこう。
今回フランの実験を協力したことで、私自身、魔法分野における研究に新しい切り口が見えたことは明らかである、とだけ結論をつけておくことにする。思わぬ収穫であった。:P
(ちなみに、例の様子を撮影した写真のフィルムがですね。口止め料を含んでるとはいえとても良い値段で命蓮寺に売れたので、紅魔館は完全なる黒字でした。しばらく実験材料や書籍の購入予算には困りませんね:こ)
(あのな、私が撮ってた方のデジカメのな? データを文に売っぱらっちゃったんだけど:P)
(マジですか?:こ)
(……てへぺろ(・ω<):P)
(これあかんやつや……:こ)
狭いところに入りたがる性質。しかも、日当たりがよいのです。
ほっこりしました。こういう話好きだなぁ。
自然発生説も含めて初めて知ることも多く、パチュリーのまとめも面白かったです
トラは自分の身の丈に合ったサイズのダンボールが存在したら、その中でくつろぐのだろうか?
気になりますね
ウチのネコは眼を離すと、部屋の隅に放置してあるダンボールに収まっています
きちんとモノを教えるパチェが何だか頭良さそうで何か好きです
まあ、ネコ科ですしね…
ここのぱっちぇさんはホントいい感じの弾け具合だぜ!