Coolier - 新生・東方創想話

あなたの温かさ

2013/12/13 21:38:32
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「ふぅ、最近寒くなってきましたね。紫さんも外の世界も寒いといっていましたし…」
椛は刀の修行を終え小声で一人そう呟いた。
風で木の葉が揺れ、かすれる音と刀を鞘にしまうカチンっという音が森に一瞬響き渡った。
「文さん、今どこに居るんだろう?新聞の印刷局へはまだ帰ってないみたいだし。」
そして椛はあることを思い出した。
「そうそう椛さん、明日は守谷神社の密着24時間取材なので印刷局へは帰れません。なので夕飯は簡単なお鍋でもして食べててください。」
椛は昨日そう言われたことを思い出しそのまま印刷局のキッチンを借りて鍋を作ることにした。

「ええっと、大根とお肉と豆腐と八雲家の藍様から頂いた油揚げと…」
一点一点お鍋の食材をチェックしていると
「あ!白菜が無い!どうしよう、今日はもうこんなに遅いし、そうだ!森に住んでいるアリスとかいう人形使いが博麗神社大抽選会で白菜3kgを貰ってたはず。文さんがそう言ってたし。」
椛は早速印刷局から少し離れた森に向かいアリスの家を探した。しかし椛はアリスの家に行った事が1度ほど取材で訪れただけで場所はまったく覚えていない。その時椛はようやく一軒の家を見つけた。
「あ、ここはたしか魔理沙さんの家ですね。アリスさんの家を聞いて見ましょう。」
椛が戸を叩くと魔理沙が眠たそうな顔をしながら出てきた。
「ん~、こんな夜中に誰なんだぜ?」
魔理沙は目をこすりながら出てきた。
「夜分、申し訳ございません、文さんの御付をしている椛です。」
頭を下げ丁寧に椛はお辞儀をした。
「あぁ、たまに見かけるな。で、なんの用だ?」
「実は訳あってアリスさんの家を教えて欲しいのですが…」
「なんだ?寝ているアリスでも襲いに行くのか?」
魔理沙は少しイヤラシイ顔で椛を見つめた。
「いえいえ、アリスさんが博麗神社大抽選会で当てた白菜を分けて貰おうと思いまして…」
「あぁ成るほど、なら地図を描いてやるから待ってろ。」
数分後魔理沙家から出てきて椛に地図を渡した。
「意外と近いんですね、ありがとうございます。助かりました。」
魔理沙にそうお礼を言うとアリスの家を目指した。

少し歩いたところに洋風の可愛らしい家が建っていた。
「あの~すいません。アリスさん?」
そうドア越に言って扉を叩いた。
家からはおいしそうなクッキーの匂いと一緒にアリスが出てきた。
「あら、あなたは確か文さんとよく一緒にいる椛さん、でしたっけ?」
少し自身なさげに椛に問いかけた。
「はい、そうですよ。ところで早速本題なのですがこの前博麗神社大抽選会で当てた白菜を1つでいいので分けて欲しいのですが…」
椛はかしこまりアリスに頼んだ。
「えぇ、いいわよ。まだまだ残ってるから1つといわず2つくらい持って帰ってよ。」
アリスは優しく椛に言うと部屋から大き目の白菜を持ってきて椛に渡した。
「そうですか、なら遠慮なく頂きます。」
椛がお礼を言い帰ろうとした瞬間アリスはが椛にある頼みごとをした。
「そうそう、実は今回クッキーにいれるバターの量が多かったかもしれないの。一つ味見をして感想を聞かせてくれないかしら?」
椛はクッキーを差し出され何も言わずパクリと食べ、少し味わったあと感想を述べた。
「堅さも味もバターの量もいい具合です。とてもおいしいですよ。」
アリスはその感想を聞き喜んだ。
「本当に!うれしいわ。またいつでもいらっしゃいね、次はブラウニーと紅茶を作って待ってるから。」
「そう言ってもらえるとこちらもうれしいです。お時間があればまたお伺いさせていただきます。」
椛は少し堅苦しい挨拶をしてその場を去った。
時はすでに印刷局を出たときから2時間は経っていた。

椛は重たい白菜を抱えようやく印刷局へ着いた。印刷局を出るときには外でたむろっていた文の仲間ももう帰ったようだ。
「印刷局に一人で居るのは少し心細いけど明日には文さんも帰ってくるし、我慢我慢。」
椛は暖炉に火をつけながら独り言を言った。
鍋を用意し、食材を包丁で切り白菜は惜しみなく丸々一玉使った。
「文さんは、藍様のオススメ油揚げが好きですし、多めに入れておきましょうか。」
椛はいつの間にか文の分まで作っていた。
「あ、いつもの癖で文さんの分まで作ってしまった。まぁ、明日の朝文さんと食べよう。」
椛は少し微笑みながら油揚げを包丁で切った。

数分後…

塩としょうゆと昆布で出汁をとった簡単なお鍋が完成した。
「さあ、食べましょうか文さん!」
椛はそう言った瞬間文がいないことに気づいた。
「あぁ、文さんは居ないんだった。物忘れが激しいということは私も年をとったのでしょうかねぇ。」
印刷局には自分の声だけが響き渡りなんともいえない寂しい空気が立ち込めた。しかし、椛は立ち直り小皿に自分の食べる食材をとって何もしゃべらず食べた。
次第に椛は文が居ないことなんて初めてではではないのかと思った。実際に椛が文と一緒に夜を過ごさないのはこれが始めてである。文自体は24時間密着取材は何度もあったがそんなときは椛は決まっていつもにとりと一緒にご飯の材料を出し合い、将棋で遊んでにとりの家で寝ていたからだ。
「そうか、こんな風に思うのは文さんが居ないときはいつもにとりの家に行っていたからなんだ。今回にとりは風邪ひいてたから泊まりにいけなかったんだ。」
鍋に文の分だけを残し鍋蓋を閉じた。
椛は暖炉の近くに行き体を温めたが、なにか物足りない感じがした。
「いつもは暖炉にあたるときも文さんと一緒だからかな?」
物足りない訳を勝手に決め付けた椛だがその予想は当たっていた。
椛はテーブルを見ると自分が食べた後の食器が残っている。
「早く、洗わなきゃ。文さんが帰ってきたら怒られちゃうかも。」
椛は食器を持ちキッチンに行った。ここでもまた何か物足りない感じがした。
「いつも文さんが食器の洗い方をご指導してくれているのに今日はその言葉も無いからよね?きっと…」
椛は寒いので暖炉の前で布団を敷いて寝ることにした。
「文さん、明日にはきっと帰ってくるのね。」
椛は自分が前に文を撮った写真を胸に引き寄せ抱いているといつの間にか寝てしまった。

椛は家の中の音がしたので目を覚ましてしまった。そして文が帰って来たことを悟ったがあることに気付いた。
椛は文の写った写真を持ったまま寝てしまっていたのだ。
椛は少し顔が赤くなったが、布団に入っている。
「おやおや、暖炉の前なんかで眠ってしまって…しょうがない狼ですね。」
文が優しくそう言うと椛の入っている布団に入り椛を軽く抱きしめた。
「寒いなら、私が暖めてあげますよ。だから暖炉の火はもう消しますね。」
文は椛が起きているのには気付いてなかったがそっと耳元でそう呟いた。
文は椛に5分ほど抱きついた後暖炉の火を消し明かりもけした。
椛は文のぬくもりを感じなんともいえない安心感に浸り寝てしまった。
その後、文は暖炉の火を消し明かりも消して椛の横に布団を並べて寝た。

次の日の朝、
「文さん、おはようございます。やはり私はどんな暖房器具よりも文さんのハグのほうが暖かいです♪」
文はも椛がおきていたことに気付いてなかったので吃驚した。文は恥ずかしさで顔が赤くなり何も言葉を発せれなかったが椛が続けて言った。
「それでは、修行にいってきますね、寒くなったらまた暖めてください♪」

END…




今回も読んでくれた方ありがとうございます。
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village
kensin.0siki@icloud.com
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コメント



0.350簡易評価
1.70非現実世界に棲む者削除
まずおかしなところから
守谷→守矢
暖炉と明かりを消す場面が二回ありましたが...
とても良い話でした。
3.無評価village削除
誤植が有りました。大変申し訳ございません。
切羽詰っていましたがどうしても書きたかったので…
iPhoneからの投稿なので今は編集出来ません。
7.80奇声を発する程度の能力削除
良いですねえ、ほのぼのしました
9.80絶望を司る程度の能力削除
ほのぼのだねぇ
11.70沙門削除
 椛が何だか新妻みたいでニヤニヤしながら読みました。
 文は食べちゃえよ、椛をせ…むにゃむにゃ。
16.90ななな削除
マジで椛大好き
そのままにゃんにゃんして(ry