Coolier - 新生・東方創想話

晦朔を知らず 【後編】

2010/02/10 23:56:59
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◆ 幕間 【後編 Prologue】


「……私の阿礼乙女としての仕事はまだ少し続きます。大丈夫ですよ」
「そっか」
「そうか」
「はい。……もう少しだけ、皆さんと一緒にいますから」


 霊夢と霖之助を前にしてもう一度お辞儀すると、視線が下がり、今霊夢が書き上げたばかりの目次が、自然と目に入った。
 物語の中で今際の際を迎えた格好良い主人公みたいに、昔のことから順番に、走馬燈になるかと思ったのだが――それは違った。一番最初に出てきたのは今朝のことで、お餅がないと嘆いて転がり込んできた博麗霊夢と、行きずりの東風谷早苗の顔が順番に思い起こされた。
 手作りのお雑煮、味付けの議論。三人で確かに同じ話題を共有出来て、それは何も考えないで笑い合えた短い時間の記憶だった。
 友達に料理を作ってあげたのは今回が初めてだった。ああいう会話を友達と出来たのも、初めてだった。
 友達……? うん、友達。
 友達というものをもっと早く知っていたなら、美味しいものを作っていつも振る舞ってあげれば良かったと思う。今日よりもっと楽しくて大切な想い出を、ずっと前から作れたかもしれなかった。
 それなのに。






◆ 4



「なんか今日は、どっと疲れたわねぇ」
「霊夢さんは目次書いただけじゃないですか! 私はそこにお料理やらお片づけやら……」
 
 これ見よがしに指折り数えていって、やがてそれすらも面倒くさくなって、阿求は溜息をついた。
 こたつの天板に、あごをどんと載せる。ちょうど昼間、霊夢がやっていたのの真似をした。

「私のだって一世一代の大役なんだから……肩凝ったわよ? ずいぶんと」
「それなら普段から書き物などされたらどうですか。見てましたら顔と性格に似合わず随分素敵な文字を書かれるんですし」

 夕暮れの居間で、二人きりの空間に俄に変化が訪れる。部屋の隅に放り投げてあった御幣の棒を霊夢がのんびりとひっつかみ、面倒くさそうに良い勢いで阿求の背中に振り下ろした。

「あた。あたっ、いたぁ、痛いです!」
「……えい。……えい。」
「いたッ! ごめんなさい! 嘘です霊夢さんかわいい美人だから許して」
「――……」

 はた、と霊夢の打擲がやむ。無言でぽい、とまた御幣を放り投げて、最終的には霊夢のあごもこたつの上に着陸した。
 むふぅ、と二人揃って溜息をつく。
 どうしようもなくしまりのない時間が流れる。外はすっかり夜の帳が落ち、日中に溶けきらなかった雪が闇仕様の銀色に変わってゆく。淡い月夜。青白く光る雪原は、同じ色の月の光に濡らされたせいだ。
 そうやって月が顔を出しているということは、空が晴れていることを意味し、冬の夜の晴れはどういうことかといえばつまり、猛烈な寒さが到来するということだった。
 こたつに守られている部屋が、頽廃した世界で生き残った少女を守る何かの結界世界のように感じられてくる。

「霊夢さん、今夜はどうされますか」
「暖かくなったら自力で帰るわ」
「つまりここに泊まるか、私が担いで帰すかのどっちかってことですよね」
「こんなに寒いのに、阿礼乙女はお客さんを担ぐの?」
「…………お風呂ならあっちです。源泉垂れ流しなんで、四六時中湧いてますから」
「汚いくらい贅沢ねぇ」
「垂れ流しですからね」

 中身のない会話を繰り返しながら気付いたら霊夢の宿泊を承諾してしまっており、明かり取り代わりの窓硝子の向こうに阿求は冬の景色を見つめた。一日がちょっと長くなった気がする。風に吹かれて屋根の雪の上かさが舞い、月夜に時ならぬ雪が舞い降りる。仄白く染められた初雪の欠片が、いかにも儚く、夜の闇へと消えていった。

「……ありがとね。何から何まで」
「どういたしまして。私も楽しかったです」
「そうだ」
「?」
「幻想郷縁起、お疲れ様」

 ぶっきらぼうに、いきなり言われた。
 阿求の目を見てちゃんと言ってくれた霊夢は、それだけ言えば充分でしょとばかりに頬を赤らめ、むつっとした顔で、視線を逸らした。いきなり立ち上がる。お湯を借りる、と言い残して、そそくさと部屋を出て行ってしまった。
 ぽつねんと、阿求だけが取り残される。
 
「…………はふふ」

 一人きりになった部屋で頬に両手をやり、誰も見ていないのをいいことに、阿求はひとりにやけるのを抑えきれない。



 *



 厳冬の夜。
 立ち止まった帰り道で朧月を見上げて、森近霖之助は首元に厚く巻いたマフラーに手を遣り、真っ白な吐息を浮かべた。
 玄妙――
 白い吐息が霞ませたその月は、まさしく、そう形容するに相応しい。
 自嘲するように一つ笑い、再び歩き始める。雪の表層に張った薄ら氷が、一足踏むたびにぱりぱりと音を残して割れた。昂然と白息は立ち上るが、半分妖怪という生い立ちもあってか、人ほど寒さに敏感な訳ではない。悴む指の痛みもあるが、赤らんでなおその痛さを忘れさせるものがある。
 胸の火照りだった。
 
「――阿礼乙女――か」

 何となく、気付かされた。
 恐らく自分は、寒さだけではなく温かさにも敏感でないのだと思う。より正確に日本語を使うなら、「愚鈍」だ。
 温かさを共有する手順が分からない。手を伸ばせばすぐそこにある平穏の交誼を、この手に捉えきれぬまま時間だけが過ぎてゆく。自分は長生きに不向きな性格だ。歳の離れた人間の女の子が二人して、それも仲良し同士でくっついて立ち向かってくるのを相手にするのは、一介の古道具屋のしかも青二才風情には荷が重い話か?
 いやいや。
 さりとて――
 自分はこれからも、ゆっくりと歳を取る。
 このまま僕は、彼女らを見送るだけの人生になるのだろうか……?
 
 あの時、八代目阿礼乙女の稗田阿弥は、一度それを螺鈿細工と見間違えてから、照れ隠しも込みでぱあっと花のような笑顔を僕に咲かせてくれた。鮮明に覚えている。阿礼乙女ほどに僕は記憶に自信がないけれど、彼女が僕の瞼に記してくれた古い古い確かな一頁は、遥か時を流れて今も色褪せない。どこか悪戯めいて、くすぐったい想い出となり、この胸を未だに騒がせ続けている。
 お酒で酔わなければ、素直にもなれなかった不器用な女の子だった。目次どころか、一章書き上げるたび感傷に呑み込まれて嗚咽を漏らしていた、札付きの泣き虫だった。すべてが愛らしかった。果たしてその反省なのか、今代の阿礼乙女は、ずいぶんと大人びて見えた。

 昔の昔の話だ。
 人に言える筈もない淡い物語。すべて夜の中に溶けてゆく想い。片恋慕でひとり思い上がったこの感傷を、凍みた夜に咎めてくれる人は居ない。時は流れ流れる。消えるには惜しい少女が、また一人幻想郷縁起を書き上げようとしているところに、せめて優しいことを一つだけ出来た。寒さの辛いこの冬に、阿礼乙女は、また一枚の栞を挟んで行くのだろう。

 歩く。
 歩く。
 寒い。
 帰ろう。

 移ろいやすいかと思った我がこの心も形変わらず、あれから百余年もの季節が通りすぎている。僕の中でこの気持ちは、恋愛ではなく、形を変えた「慈愛」だと思っている。
 でももし、人がそれは恋だよとからかうなら、しかし、それでも良かった。

 短い人生の中で、誰かに想われることの嬉しさに、気付いて欲しかったのだ。

 
 *


「あら――?」

 偶然目に留まったその物体に、阿求は首を傾げた。
 霊夢が持ってきた手提げ鞄から、湯呑みほどの紙包みが覗いていた。その折り目がはだけて、中から白く丸い物が覗いているのが見えた。
 先ほど着替えやら石鹸やらを取り出した時に、鞄の中からはみ出したらしい。そういえば、どうやらあの準備を見る限り、最初からここに泊まる気でやって来たとしか思えないのだがどうだろうか。あれが博麗の巫女。身も蓋も無いお正月、そしてあまり女の子らしくないといえば、整理するふうでもなく壁際に雑然と放り出された鞄。
 何もかもを呆れ半分に眺め、だけどどこか憎めない女の子の顔を心の中で許しながら鞄を立てた。
 鞄の口が、阿求の気にしたそれを畳に吐き出した。
 ちらりと、何故か下着かと一瞬思ってしまい赤面した九代目阿礼乙女をよそに、白く覗いたその正体は程なく判別出来た。和紙のはだけた狭間から、積み重ねて包まれていたものが一個、ぼとりと落ちたからだ。
 拾い上げる。

「お、おもち?」

 小さな子供がそうするように、手にした物の名前を阿求はそのまま口にする。
 紛れもなく、それはお餅だった。それも、今日霊夢にもご馳走した稗田家流の伝統の形状――丸餅とはまったく形が違う。
 それは四角形で、俗に切り餅と言われる形である。
 
「……?」

 首を傾げた。
 なぜなら彼女は、このお正月自分の所ではお餅を作らなかったと言っていたからだ。
 だから、その彼女がどうしてお餅を、しかも鞄の中に持っていたのだろうかと不思議に思った。
 お正月祝いとして早苗にもらったのだろうかと、阿求は想像し……それはすぐに否定される。もしもそうなら早苗は阿求にもお祝いとして渡してくれるだろう。紙包みの中には少なく見積もっても三つくらいはあるから、数が足りなかった訳でもないと思う。
 では霖之助か――否、彼が持ってきたなら尚更自分にも言ってくれるだろう。
 では、霊夢がここに来るまでに巷で買ったのだろうか? それが一番――ああ否、それも違う。幻想郷の人々は概ねみんな家でお餅を作るから、逆にお店で扱っているお餅はそんなに多くない。それに形もきちんとした四角になっていなくて、作り方がちょっと雑だ。お店で売られていた物には見えない。それを霊夢が作ったというなら、彼女の人となりからして彼女らしい作だとは思うけれど。
 ……。
 ……本当に?
 本当に彼女が作ったのだろうか?
 それならばおかしい。どうして、今まで黙っていたのだろう。


「……」


 一人きりの部屋で、沈思黙考。部屋の奥、長火鉢に置いた古い薬罐がしゅうしゅうと湯気を上げていた。
 卸し立ての日めくり暦と霖之助が残した蜜柑の匂い。少し乱れた赤い炬燵布団と残された団欒の残り香。仄白い障子の向こうに冬の夜の冷気、その内側にある、包み込まれるような安堵感。

 怪訝に想いながらお餅を戻そうとした阿求の視線は、鞄の中に入れられていた〝あるもの〟に奪われていた。
 少しほつれ、色褪せ、しかし表面に折り込まれた金色のきらきらした錦糸だけは未だに豪奢な雰囲気を漂わせている――

 赤くてかわいい、一球の古い手鞠だった。

 お餅の包みをきちんと直して鞄に戻した阿求は、一つ意を決して、膝を打って立ち上がる。


 *


 はあぁあ、と、博麗霊夢は長い吐息を一つ吐いた。身を切るような冬の冷気も、熱いお湯に身を浸してしまえば微塵も届かない。白い湯気が夜風に揺らされて、不意に目の前の眺望が鮮明になる。
 この澄み渡った夜の郷、夜空、本当は草も凍るほど冷えているはずの外気は温泉に届かない。湯舟の温かい庇護に守られて、冬特有の透明感の高い空気を存分に味わっている。それは冴え返る夜の幻想郷の表情――静かな光景、そして安堵という名の、財貨に変えられないふくよかな実感がそこにある。生きている実感、時が流れている実感、冷たいものとあたたかいものがあるという実感。あらゆる実感がある。
 大の大人が三人手を繋いでようやく一周、といった、どうやって運んできたのか分からないほど巨大な岩をいくつも数珠繋ぎにして、広々と形作られた稗田家の露天の湯。その源泉は、稗田阿一の時代から庭に湧出していたものだと聞いた。古すぎてピンと来ず、昔話として聞いても俄には信じがたい。でも、直系の嗣子である阿求が言うのだから恐らく本当なのだろう。
 普段は屋内の浴室を使っているらしいが、この露天風呂が天然の源泉によるからにはつまり、例え誰も入らぬ日でも、常にこうして温かなお湯を湛えていると考えられる。素敵だ。そういう自然の営みの浪費は、断じて奢侈なことではなく、むしろ非常に悠揚とし、風流に溢れていてとても伊達なものに感じられる。いかにも由緒正しい稗田の屋敷だと思った。
 家の裏に温泉がある――それだけで単純に、羨ましくもある。

「ふぅ……」

 その由緒正しい一族に流れた、悠久の時代を思い浮かべてみる。霊夢は、湯舟に肩まですっと沈んだ。
 夜空の漆黒に、重い瞼の視線を漂わせて、こういうことを想像してみる。この湯船には、阿弥も阿七も、恐らくは身を浸したのだろうなということ。今、霊夢が凭れているのと同じ岩に彼女たちも背中を預けて、ちょうど今みたいに、冬の寒さをぬくぬくとからかいながら綺麗な冬の夜空を見上げていたかもしれない。
 何とも言えず浪漫だ。
 そして九代目になる阿求も、このお風呂に入るのが大好きだと言っていた。
 阿礼乙女は転生するから、代々ずっとみんなお風呂好きを引き継いでいるのか? ……その辺の因果関係も、今度また聞いてみよう。何だかんだで、彼女とこんなに話したのは初めてだったのだ。
 話してみればみるほどに、普通の子だった。転生のことや特別な身空だということはどんどん忘れ、ころころとよく笑う彼女は、どこにでも居る普通の女の子にしか見えなかった。本当に普通の子だった。容姿端麗で、気立てが良くて、そんな重い荷物を背負っている少女には、到底見えなかった。

「霖之助さぁん……惚れたんじゃないでしょうね……?」

 月を見上げ、恐らく今頃同じ月の下を寒々と歩いている古道具屋主人をからかってみる。
 彼の場合は恐らく表情一つ変えることなく首を横に振る。次に取る行動は分かっている。中指でめがねを押し上げ、当たり障りのない言葉を喋った上で逆にからかい返すような言葉を寄越してくるのだ。彼の常套手段。そうやって、あの古道具屋の主人はいつも飄々としている。
 誤魔化したつもりで居るらしい――だが、当人はそのつもりでも、そう何度も同じ手が通用する訳は無い。くりかえし対面を重ねていれば、彼の胸の内に隠された動揺は手に取るように分かる。あの男は、ああ見えて意外に繊細で初心なのだ。隠していそうで隠しきれない、つまりは非常に、からかい甲斐のある男なのだ。
 彼と話している時間は楽しい。
 彼という人間に、そのままじかに触れられる気がするからだ。

 そうやって、からかえる人間は楽しい。隙がない人間はつまらない。人間くさい人の話には人間くさい分だけ、要らぬ感情を呼び起こすことなく素直に耳を傾けられる。
 稗田阿求という少女はどうだろうか。普段からとても朗らかだ。感情豊かな表情を持っている。
 だがそれは、感情を素直に表している証拠にはならないのではないか。
 彼女の本当の感情は、霖之助とは比べものにならないくらい分かりづらい。
 世の中には色んな人が居る。素直という仮面の中に、上手に本心を隠してしまう人も沢山居るのだ。

 苦しくないの? 辛くないの?
 ――それを知りたいと思って、随分になる。彼女の存在を一方的に知った時から、ずっと心の中に、棘のように残った懸念がある。それは、どこか懐かしい感覚だった。博麗の巫女は決して転生で生まれ変わっている訳でもないのだが――阿求をいたわる気持ちに苛まれるとき、霊夢はいつも、既視感に襲われた。

 もっと人を、上手にいたわりたい。
 細工物仕立ての、使うに使えない綺麗な古墨――あの男は繊細で初心で分かりやすいが、物が絡むと時折こうして、格好良い真似をしてくれる。





 ――行こうよ。





 昔、不器用なただの一言しか言えなかった自分とは、大違いだ。
 
 稗田阿求は決して孤独ではない。本人も孤独だとは感じていないと思う。
 稗田阿求は決して不幸ではない。本人も不幸だとは感じていないと思う。

 なのに彼女を見ていると、がんばって! と言いたくなる。
 がんばっているのは分かっている。私が支えてあげるから! と、そういう時は代わりに言いたくなる。

 彼女が、きっとがんばってがんばって必死で生きて、幻想郷縁起という大きな本を書き上げてゆく。それを、心から応援したくなる。そんなもの必要無いくらいきっと稗田阿求は強くて、不遇や不運なんて微塵も感じていない。彼女を手前勝手に憐愍の情に塗り籠め、それをお砂糖みたいにまぶして甘い甘い言葉で語るなんてとても失礼だ。だけど、とにかく怖くてたまらない。
 もしも、
 もしも、彼女がただ、自分の辛い人生に気づいていないのだとしたら?
 ――否。
 もしも、実は気づいていないふりをしているだけだとしたら――
 もしも、森近霖之助と違って、彼女は、自分の気持ちを包み隠すのがとても上手な女の子だとしたら――?

 私はあのとき、せっかくだから彼女に泣いて欲しいと思っていた。
 せっかくこんなご近所に暮らしてて同じくらいの年頃なのに、過酷な噂しか聞かないでいるのは耐えられない。終わりを実感する時は、飄々とするのではなく、ちゃんと悲しがってほしかった。
 早苗も居た。
 霖之助も居た。
 この郷には魔理沙も咲夜も妖夢も居るし、妖怪にもまだ沢山の優しい奴が居る。
 彼女の幻想郷縁起には、それらの名前も顔かたちも特徴も、きっと事細かに記されているだろう。けれどそこには決して記されない、本に成らない、一瞬の幻想郷の縁起を私たちはきちんと持っている。
 そして、稗田阿求を、ずっと待っている。

 お節介? ごめんなさい。
 大きなお世話? それで結構。



 教えてあげたいのだ。

 桜木の下で、待ち続けている貴方へ。




  




◆ 幕間
 
 
 私が桜木の袂に腰を下ろしていると、不意に人が来る気配がした。春風の中に立ち上がる。もう何年も人が来ていないのに、足音にだけ敏感な私はあの頃から変わらない。
 回れ右をすると、桜の幹の向こうに揺れる人影が見えてくる。長く人の訪れなかった私の春に、久し振りのお客様がやって来る。

 目を疑った。
 一度は目を擦って、もう一度彼女の顔を見た。間違いない。記憶力には自信があるのだ。古い記憶との照応を試みる脳裡が、結果を待たずして胸からの昂ぶりに呑み込まれる。時間相応に彼女は少し年齢を重ねていたけれど、宿っている面影は間違いなく私の瞼の奥で憶えているものだ。
 戻ってきてくれたのだ。
 ついにまた逢いに来てくれた。長く待ち続けた。
 七代目が大人ぶって断り、
 八代目が何も出来ないで見送ってしまって、
 九代目――私もまた、一度は断ってしまったその手が、今また目の前にある。
 
 私は、手を伸ばし――かける。肘から先が凍り付く。待ち侘びすぎた身体が感動に負けて凍り付き、硬直した言語野が指令通りの言葉を呟かない。身体は固まる。言葉が出ない。何だ、これでは何も変わらないではないか。
 そうならぬように今日までの何年間、あの日を後悔してきたのだろう。もっと素直になれと何年間自分に言い聞かせ続けてきたというのか。


 がんばれ。稗田阿求。
 
 ちゃんと自分の言葉で、伝えるんだ。


 

◆ 5


 引き戸の滑車が回る小さな音に、霊夢は瞳を開けた。
 頭の中がぼうっとしている。
 どうやら、知らず知らず微睡んでいたらしい。ちゃぷっと音を立てて掌でお湯を掬い、顔を洗い、霊夢はもう一度目を開いた。
 視界が瞭然としてくると、眺望の上半分を覆い尽くす黒い闇と下半分を覆い尽くす白い湯気が、上下にくっきりとした陰陽で見えてきた。いつしかお湯から出ていた、濡れた肩口に夜風が当たって、少し深めに身を沈めた。
 自分が露天風呂にいたことを思い出したところで、霊夢の頭は再びしつこい睡魔に支配され始める。
 瞼が重くなる。心地よいお湯の温度にもたれて、またすうっと意識が遠くなってゆく。
 ゆっくりとした息を吐く。


「れいむさん」
「!!」


 心臓が止まるかと、そのまま永遠に止まるかと思った。眠気は飛んだ。
 思考に残っていた錆は一瞬にして弾け飛び、霊夢は跳ね起きて身を翻しざま、湯舟の真ん中付近まで飛びずさった。声の主を、何もそこまでしなくても良いくらい睨むように見上げる。
 今まで凭れていた岩の上、タオル一枚きりの無防備な姿に様変わりした阿求が、小首を傾げて佇んでいた。
 その口許に、笑みを浮かべて言う。
 
「あの、ご一緒してもよろしいですか?」
「あ……ああ、ああ貴方の家のお風呂だからべつに構わないんじゃないかしら」

 しどろもどろになった割には至極正当性の高い答えを霊夢が告げると、阿求は嬉しそうに笑って手桶を取った。タオルの結び目に手を掛け、霊夢は慌てて逆方向に向き直る。
 ……なんでこんなに恥ずかしがっているのだろう。
 水音を聞きつつ阿求に背を向けたまま霊夢はざりがにのようにじんわりやんわりと後進し、気を遣って身体ふたつ分くらい離れた湯舟の縁に接岸して、何故か阿求の方を見ないようにした。阿求が近づいてくる。霊夢の苦労を文字通り水の泡に帰し、離れるどころか肩同士が触れ合いそうなほど真隣へと滑り込んできた。
 思わず睥睨したところにぶつかる白い裸身が、女同士だというのに妙に背徳的で、いやに印象的に目に焼き付いた。
 また目を背けた。

「…………はぁ。長い一日でした」
「……ええ」
「今日は霊夢さんにはお世話になりっぱなしでした……ありがとうございます」
「別にそれは、うん」

 普段ならのらりくらりと躱してみせるのが、そういった接遇も生憎と影を潜める。女同士の風呂が初めてという訳ではないのに、不必要な動揺。 
 あまりにも無防備なその振る舞いには、自分が先に年頃を迎えた姉になって妹を見ているような気分を感じる。

「さ、せめてお風呂くらいはごゆっくり楽しんでいって下さいね」
「あ、あ、ありがとう」

 お世話になったのは確実にこちらなのだが、殊勝な謙遜や不遜な冗談よりも先にお礼が口をついたのは、我ながら上出来である。
 阿求は嬉しそうにニッコリと笑って、湯舟の岩に深く背中を預けた。何も気にしていない様子だった。
 目を背けてばかりでは失礼な気がして、霊夢は再びちゃんと岩に凭れ掛かって、目を背ける代わりに瞳を閉じた。

「……」
「……」

 互いに何も喋ったりしない。目を瞑りまっ暗やみの景色をまっ暗やみの向こうに押しやり、音だけの世界で隣の存在だけは互いに感じ取っている。
 ゆっくりと、ゆっくりと時間が流れた。
 お湯に浸かってぼんやりしているこの時間も、人それぞれ持つ人生の時間として費やされている。どう頑張っても、阿求と自分に残された時間を等しい重さで量ることなんて出来ない。看過しがたい長短の差を同情で語ることは出来ないけれど、いつかみんな死ぬのさと、無頓着を通せるほど「悟って」いる訳もなかった。

 ――遅すぎたのだ。
 霊夢は臍を噛んでいた。
 こんなにも近くに住んでいるのに、もっと昔から遊んだりお料理をしたり、こうやってお泊まりに来て、遊んでおけば良かったのに。
 そしたら、








「……行こうよ。」









 ――この科白も、もっと早く言えていたのかもしれない。

 肩が触れ合っている。だから阿求が、言葉を聞いた瞬間に身を固くするのが分かった。
 あの日の約束を今の今まで風化させなかった自分を、少し褒めてあげたい。

「今度はさ、二人でどっか行きましょ?」
「……はい」
「いっつも幻想郷縁起のことばっかり考えてるのも息が詰まるでしょ……たまには忘れてどっか遊びに行きましょうよ」
「はい」
「ねえ、辛くない?」

 その問い掛けに返事はなく、沈黙が流れた。
 阿求はその時ひとりだけ目を開き、まだ瞑目している霊夢に少し笑うと、揺れる水面に視線を逃がした。

 わたしのことを、人は容易く、心の麻痺という。
 深く分かりにくいところへ隠し続けて、ついには自分でさえも見失いかけるまでになった。そんな心が辿った道は、麻痺と一言で片づけられるものではない。
 そうやって守らなければ、傷ついていたんだという証左なのだ。

「霊夢さん」
 
 霊夢は、瞳を開けた。声に振り向くと、阿求は薄目で微笑みながら、霊夢のことをまっすぐに見ていた。
 霊夢の視界の中、それは息を呑むほどの美貌に見えて、胸がまた高鳴る。
 真っ正面から見た阿求の笑顔は、昔日のあの童女の面影を、確かに残していた。


「……手鞠、預かっててくれたんですね。ありがとうございます」


 そう。
 予感は、やはり正しかった。

 あの春はここで続いていた。
 少女は、待ち続けていたのだ。
 

 *


 そこから先は、語るに足らないことであろう。
 友達同士の会話であり、余人が聞いてもきっと、何も面白くないからだ。
 彼女たちの間でだけ、それはとても面白い話として、笑顔に化けていた。

 実に大変なことに、二人ともお風呂にのぼせるのとの戦いだった。阿求より前からお湯に浸かっていた霊夢と、身体が弱いのを温泉好きで相殺しただけの阿求の戦いは熾烈を極めた挙げ句、どうでも良いおしゃべりに加えて『転生ツアー』なる、お風呂の淵を伝いながら湯舟を一周するゲームを最後にしたところでさすがにお開きとなった。
 最後には互いにふらふらしながら、それでも阿求はまだしゃべり足りなかったらしい。霊夢に向けて、楽しげに説明してくれた。

 これが阿一の石、これが阿爾の石……
 一つずつに各代の阿礼乙女が好んで凭れたという伝承があり、阿求はそれを周回しながら説明してくれた。霊夢には残念ながら、いずれも大差のない、どう見ても見分けの付かないただの岩だった。まあ阿礼乙女にしか分からないし、阿礼乙女にしか感動出来ない、嘘か誠かどうでも良い伝承の一つだ。
 そしてまた、そういうことを聞いているから余計にのぼせる。
 茹で蛸になって二人お湯から上がる頃には、足許も頭も非常に覚束なくなっていた。もちろん、どれが何代目の岩なのか霊夢はもう覚えていなかった。
 しかしせめて、脱衣所までの道でふと思い、振り返って岩の数だけ数えてみた。


 ……七、八、九。
 湯舟の石は九つしかなかった。

 十個目の石はもう、無い。


 
 *



「幻想郷縁起の目次が完成したからと言って、私の役割が終わる訳じゃないんですけどねえ。
 結構誤解されるんです。
 本にするまでには推敲や編集作業が沢山あるし、
 項目さえいじらなければ加筆修正も自由ですし、まだまだ忙しいですよ。
 強いて言えば、ページ番号を入れてもらったらほぼ完成段階といっても差し支えないと思います」

 
 温泉の離れが遠ざかってゆく。
 月の姿がいつのまにか夜空から消えていた。
 漆黒の天蓋の一カ所で死にそうな蝋燭めいた光がぽつんと灯り、
 周囲に侍る星々は完全にその輝きを失している。
 どうやら雲が出てきて、月を星を隠してしまったらしい。
 火照った肌では鈍感になるけれど、
 気温もかなり下がり始めているのは分かる。
 夏みたいに虫の鳴き声で周囲を装飾されることも無い。
 母屋までの暗い道を、
 袢纏を羽織った阿求の背中だけ追い掛けて静かに歩いてゆく。


「ただ、どこかで項目の追加を区切っておかないと際限が無くなっちゃうんですね。
 それこそ死ぬまで記録を追加していたら、編集も何もあったもんじゃありません。
 三日前に現れた妖怪の記録なんてできないし、
 そうでなくてもある妖怪を収録したら編集を一からやり直さなければならなくなるかもしれない。
 だから何月何日の時点、という形で区切るんです。私の場合はそれが、去年の大つごもりでした」


 無音の道を象る。
 愛らしい冬の寒さ。
 温泉のお湯にきらめき、
 汗ばむ肌を粛然と湯冷めさせる季節の冷気。
 熱くなるのも寒くなるのも、生きている証だ。
 熱い時があるから、寒い時が寒いと実感される。
 寒い時が訪れる時というのは、裏返しにすれば温かさの存在証明だ。
 それをまた表返しにすれば、不幸せの存在証明でもある。
 熱い時があったからこそ、冷える時は寒い。
 仕方ないよね。仕方ない。

 別にすぐ死ぬ訳じゃないんだということを、阿求は懇々と霊夢に語ってくれる。耳に届いているかといえば、そうでもあり、そうでなくもある。
 語れば語るほどにそれは、彼女に遠からず終わりがあるということを、薄光明の中に証してゆく訳だから。


「その目次を博麗神社の当代の巫女さんに書いてもらうのが、流儀なんです。
 ……って、霊夢さんは御本人ですからご存知でしょうけども。
 今でこそ、製造年代の証明のためだとかいう身も蓋もない理由になってますよね。
 元々は、幻想郷の民全員を納得させる公認の箔押しがほしいっていう、もっと身も蓋もない理由があったんです。
 四代目の幻想郷縁起まで、こんな風習はありませんでした。
 五代目のバカがこう言い出してですね……ってそのバカも元を辿れば私なんですが」


 はらりと、視界を黒い白が横切った。
 ぁ、と小さく呟いた霊夢の声音は白く吐息に変わり、
 訥々と喋り続ける阿求の耳朶には届かなかった。

 阿求の視界にも、必ず見えている筈の冬の結晶。
 雪が舞い散り始める。
 霊夢と阿求の背中、二人きりの間を隔てて道へと舞い落ちてくる。
 あの日と同じように、世界にきれいなものが舞い散り始める。
 雪みたいな桜の花びらが、私と貴方の狭間で――
 あの日も、風に遊ばれて舞っていた。
 彼女は、そこでずっと待っていた。

 足早な春に気持ちばかり焦らされて、
 あの日彼女に告げた言葉――「行こうよ」。
 それこそ身も蓋もなかった。
 選ぶ余裕もなかったし別に行く宛も無く、
 ただとにかくそこではないどこかへ連れて行ければそれで良くって、
 我ながらひたむきな気持ちで気が付いたら言い放っていた。 
 思い出した。
 この招待状の答えを、私はまだ受け取っていない。
 封を閉じたままの手紙が何年も過ぎたのに届かない。
 だから、まだあの春は本当には、終わっていない。
 ――行こうよ。



「そういえばこんな裏話もあるんです。幻想郷縁起はですね、実は」
「ねぇ阿求」

 そのとき。
 私は生まれて初めて、彼女のことを、名前だけで呼んだ。

「……」
「何ですか? 霊夢さん」

 雪の中で立ち止まり、阿求が振り返っている。
 風に乱れた濡れ髪を掻き上げ、出来るだけさりげなく霊夢は訊いた。

「貴方って今、いくつなの?」
「ほえ? 年齢ですか? えっと……私は、今年でじゅう――」


 さあっ、と風が駆け抜ける。


「……」
「……」

 その真実に、霊夢の方が驚かされた。
 
「……なぁんだ、同い年じゃない」
「ええ! ……うえぇっ!?」
「いや待って、えぇって何よ」
「えええ」
「失礼よ! ……あ、こら待ちなさい!」

 霊夢は憮然として、逃げ出した少女の背中を追い掛けた。
 今度は、そのまま見失ったりはしない。

 抱え持った手桶の上で、タオルの畳みがほどけ、強い冬風にばたばたと舞った。あまりの寒さに慌ただしく母屋の玄関に二人して駆け込み、土間で鼻先に来た同い年の娘の頭の雪に気付き、痛くないよう優しく払ってやる。
 ぴくんと反応して振り向いた阿求に、霊夢はにっこりと笑った。
 出来るだけ無造作に告げた。







 ――行こうよ。












◆ Epilogue 【晦朔を知らず】


 
 冬風の通過は許さぬ程度に、窓を薄く開ける。暗がりに沈んだ景色を見る。
 夜の庭には、真っ白で冷たい桜が舞っていた。白く輝き大粒に凍り付きながら、白く散っていく幻を眺める。
 すぐ傍の竹林を騒がせて吹き、なだらかな山肌を駆け下り、三段構えの植木鉢の棚に架空の季節を運びながら、白く高い書物蔵の壁にぶつかりほぐれて吹き戻す寒い風。
 名残を惜しみながらも、桜は間もなく本物の雪に変わる。 
 頬をくっつけ合って、阿求と二人でそれを眺めてから、霊夢がそっと窓を閉じた。

「ふとん、こっちで寝られます? それともこっちのふとんが良いですか?」
「どっちでもいいわよ」
「あはは」
「ふふ」
 
 明日の朝から、きっと色々と気兼ねなく話せるだろう。可愛い物の話やお化粧のやり方とか、ごはんの話、動物の話、ご縁があれば恋の話とか――そっちの方には私も縁がなかったからこっちだってどきどきする。家から出るのが億劫な冬の間は、他にも誰かを呼んでお鍋をするのが最適であろう。
 少し季節が暖かくなれば、ちょっと遠目のところまで出掛ける。 
 幻想郷縁起という大仕事を抱えて、ろくに遠出もしていなかったという阿求のためだけに。
 遠くに行けば、それだけ道中に色んなお話が出来る。同い年なら話の種には困らない。愉快な妖怪に逢えば阿求が手懐けてくれる。怖い妖怪に逢えば私が退治して見せよう。
 何事も無かったかのように恋の話を再開して、また遠いお散歩に戻る。飽きたら魔理沙の噂話とかで、居ないのを良いことに有ること無いこと盛り上がるのも良いだろう。お弁当も持って行こう。

 そしたらもう、幻想郷縁起の話ばっかりしなくて済むはずだ。


 *


「消しますよー」

 霊夢の返事を待たずに、阿求は行灯に吐息をお見舞いした。
 微かに揺らめいた長すぎる一日の景色は、ひとたまりもなく昨日という名の夜闇に沈んでゆく。
 隣の布団ががさごそと動き、しばらくしんとしてから身を捩ったのかもう一回がさごそと物音が発生して、それからはあぁぁあああああと、なんだか素麺流しのような長い吐息が聞こえた。 
 
「霊夢さん」
「……」
「あー、寝ちゃいましたか。早いですね」

 瞼の向こう側で聴いていた。何かしら答えることも出来たが、やはりのぼせすぎたお風呂の余韻か強烈な睡魔が脳を支配し始めていた。
 激動の一日にそれ以上の贅沢は求めず、静寂の寝室に枕を並べて阿求と眠る。その幸せを味わっている。

「――っ、」

 明日すべきことは、可能であれば阿求と同じかそれより早く起きること。
 二人で竈に立ち、今度は二人で自分たちの食事を作るのだ。
 徒食を食べてしまったお返しに、ちゃんとお餅は補填すべく持参している。明日のお雑煮に使ってもらおう。
 明日の昼には、屋敷の使用人達が帰って来てしまうという。それまでには、おいとましなくちゃいけないから。

「……っ、……っ!」

 稗田阿求――第九代、阿礼乙女。
 彼女が背負っている運命は、彼女が思っているよりもずっと重くて辛い。
 だけど小さな掌をむすんで、ひらいて――そして世界を見てみると、彼女を想っている人は、本当はすごく沢山居るのだ。

「っ、っ……! ふぇ、……っ、……んっ!」
「……」

 静謐に還った筈の寝所に、真横からの吐息が堪えようもなく引き攣ってゆく。
 静かなる嗚咽はやがて抑えきれず声帯を震わせ、調律を失った音のように響き続けた。
 嬉しいのか、哀しいのか。分からないけれど、ひとまず、泣かずには居られない誰かの感情を見捨てて睡魔が深まることは無かった。
 同い年だし。
 それに寝返りも打てば、すぐそこにいる。
 躊躇っている少女の手も、今なら容易く引いて行けるだろう。

「……っ、……ふぇっ!? …………ぁ、うぁ……っ」
 
 抱き締めてみると、震えている少女は本当に小さな身体だった。
 筆を持っていた少女、八代目。長髪の大人びた少女、七代目。

 もっと昔の阿礼乙女も、ひょっとしたら待っていたのかもしれない。
 もっと昔の博麗の巫女も、ひょっとしたら言っていたのかもしれない。

 行こうよ、と。



 きつく抱き締めてあげると、余計大袈裟に阿求は震えた。
 小鳥のように肩を震わせて何度も何度もしゃくり上げながら、その途中でぽつり

「怖い……」

 と、阿求は一言だけ、霊夢に零した。



(了)

 

 
 ここまでお読みいただき、本当にありがとうございました。
 記念作品という形になっていますが、創想話の節目ですので、
 やはり幻想郷の歴史の「節目」を感じられるものにしようと思い、
 そして私は阿求さんが大好きなので、阿求さんを心行くまで書かせてもらいました!
  
 たくさんの歴史を内包した創想話さまおめでとうございます。
 阿求さんも霊夢さんも、初めて会った時から変わらずずっとかわいいです。
 人気投票でもよろしくお願いします(ぇ
 改めまして、大変長い本作をここまでお読みいただきありがとうございました。
 感謝いたします。
反魂
http://hangon.karakasa.com/
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コメント



0.1330簡易評価
2.100名前が無い程度の能力削除
ここで終わってしまうのか……。
胸を掻き毟られるような、身体が震えるような感じがしました。
6.100名前が無い程度の能力削除
あっきゅん……。
霊夢もやさしくて温かくてよかったです。
11.100名前が無い程度の能力削除
大変長い?いやいや。
大抵の場合、名作を詠むと自分の力量不足を痛感するのですが、
この作品はあまりに美しく妬みさえ感じませんでした。
特に露天風呂は……そう、風景だけが価値じゃないですよね。
自分が霊夢好きであることを再認識した次第です。あ、阿求も好きですよ?

手放しで賞賛したい……のですが、登場人物の内早苗さんだけ中途半端に浮いている。
四人の内、唯一過去と接点が無いですから。
それと、最初は明らかに阿求側三人称なのに、最後にそこに帰結しなかったのは勿体無いかなー……と。
12.100名前が無い程度の能力削除
あっきゅんもやっと本心を言えたんだね…
友達と一緒ならなんだって出来るはず!
24.100図書屋he-suke削除
久々にある程度長めの名作を読ませていただきました。
阿求は個人的イチオシキャラなのでメインの話が少ないことに寂しさを覚えていました

なんていうか・・・
もっと評価されるべき というセリフがぴったりくるのではないかと
25.100名前が無い程度の能力削除
最後が……(´:ω:`)
27.100名前が無い程度の能力削除
ここで終わらすのかああああ
間違いなく作品集100にふさわしい名作です、これ
28.100名前が無い程度の能力削除
素敵なお話をありがとうございます。
29.100名前が無い程度の能力削除
彼女が幸せそうなほど見ていて辛い
せめて今だけは素直に
31.100名前が無い程度の能力削除
\すげえ/
36.100名前が無い程度の能力削除
よいお話でした。
早苗の存在は過去の縁がない人たちとも新たに素直な関係を結んで行ける、という証左なのかなと。
39.100非現実世界に棲む者削除
彼女の想いは届いた。
だが、桜はまだ、散らない。
なぜならーーーーー


これから、その想いを、現へと、表すから。
限りない時間、その時間で彼女達は想いを形にする。
その想いはけっして消えずーーーーー



残り続ける。
生前も死後も、”想い出”となって、覚えている。
彼女達の想い出には、春の温もりが、感じられたーーーーー。



素晴らしい作品をありがとうございました。