Coolier - 新生・東方創想話

便秘魔女

2008/12/22 23:10:08
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タイトルでお察し。
下ネタっぽい表現が苦手な方。
幻想郷の女の子がう○こするわけ無いだろ!!ってな人は見なかったことにしてください。














不意に挫けそうになる自分をどうにか奮い立たせる。
こんなとこで負けるのか霧雨魔理沙? お前はそんなに弱くないだろう、と。
しかし実際は、どうにもなりそうにない。心が砕けそうになる。
山をも薙ぎ払う八卦炉を携え、幻想の空を自在に駆け回る箒に跨り、数多の妖怪や宇宙人、神ですら打ち倒してきた魔法使い。そんな自分のプライドがズタズタだ。
それほどまでに相手は強大で厄介でどうしようもない。
だが、それでも引き下がれない。いや、引き下がらない。
それが自分だからだ。それが霧雨魔理沙だからだ。
ただで逃げ帰るくらいならどこまでも喰らいついてやる。どこまでも暴れ続けてやる。
だが、先ほどまでの攻防で大分体力を消費している。
正直、気力と時間的にこれが最後のチャンスだ。
最後の力を振り絞り、限界まで空気を吸って、腹に力を込めた。
そして、全身の力を振り絞り、一点に全力をぶちこんだ。
そのままひたすらに力を込め続ける。
頭の血管が切れそうだ。筋肉がギシギシと音をたてている気がする。
それでも、まだ止めるわけにはいかない。
ふと、体の中が空になったような気がした。気力も体力も、全てが空になったような……
もう限界なのか?
だけどまだだ。まだ終わるわけにはっ……!!

「うおおおおおおおお!!」

魔理沙が吠えた。
空っぽの自分をどうにかするために。挫けそうな自分を叱咤するように。
そして……

「ぷすぅ~」

気の抜けるような屁の音がした。
スカシッペ。ちょっと臭い。
そして、今日も魔理沙は負けてしまった。
出ない。
朝のトイレでそう、呟いた。
ここ数日、お通じがない。
どれだけ力んでも、どれだけ粘っても出ない。
便秘であった。
宿便であった。
出る物が出ない。お通じがない。
そう、便秘である。
腹の中に色々と溜まっているのだ。
うら若き乙女がなってよいものではないものだ。
なるんならもっと別の奴がなれよ。竹林ドクターとか、スキマとか。
とにかく、魔理沙は便秘で悩んでいた。
そもそもが不規則な魔法使い生活。
研究によっては徹夜もするし、夜遅くまで起きていることも多い。
その上、自由気ままな一人暮らし。食事も偏る時は偏ってしまう。
下手すると食べないときだってあるのだ。
その為、生活リズムが狂い、その結果便秘になってしまう。
ならば生活のリズムを整えれば良いのだが、研究を行っている限りどう仕様もない部分があった。

「うぅ、お腹が……」

朝のトイレから重い足取りで出てくる。
情けない声を上げながら、お腹を擦っていた。
その顔はどこか苦しげで、そして暗い。
前屈みのまま少し顔をしかめる魔理沙。
溜まるものが溜まると、体の調子も悪くなってくるのだ。
お腹が重い。体が気だるい。ちょっとした熱が出る。
何より、出ない度にどんどん鬱になっていく。
朝、あれだけ頑張ったのに……
勿論、便秘対策に色々と手は打ってはいた。
食生活はなるべくキノコと野菜を取るようにし、それなりにきちんとした時間には寝るようにしている。
しかし、便秘が解消されない。
何をしても効果が無かったのだ。
しかし、藁にも縋る思いで向かった図書館にそれはあった。
『これであなたも便秘知らず! 猿でも分かる究極整体 YOGA!!』
特殊な体操をすることによって体内の調子を整える体操。ヨガというらしい。
毎日三十分で便秘解消! と表紙に書いてあり、これしかない! と持ってきたものである。
表紙絵には、骸骨の首輪を掛けた半裸禿げの人が写っており、これで体重も思いのまま、妻も出来てワープも会得しました。と吹出し付きで書かれていた。
YOGAすげえ。
早速試そうと思い、軽く本を眺めて必要な物などを調べいく。
特殊な物は必要ないとあったので、一先ず安心。
寝転べるぐらいの場所が必要らしいので、床を片付け、敷物を引いて準備を整えた。
本を脇に置きながら、見よう見まねでやってみることにする。

「え~と、先ずは、ぱしもたな・あーさな? 何語だ、これ」

他は日本語で書かれているのに、体操の名前だけはなぜか訳の分からない言葉だ。
あんまり考えても仕様がないので、とにかく始めることにする。

「えー、両足を延ばして……」

敷物の上に座り、両足を前に伸ばす。
そして、背筋と腕を伸ばしたまま、親指、人差し指、中指で足の親指を掴んだ。
そのまま息を吐きながら前屈を……

「っ、ふくぅ……!」

前屈が出来ない。
そもそも、足の指を掴んでいる時点で、結構しんどいのだ。
その状態から、更に前屈をやるのは正直無理である。

「いっつぅ……つうぁ……!」

それでも懸命に体を倒そうとしてみる。
膝の裏が引っ張られて痛い。
その顔が歪み、はぁはぁと息が漏れる。
痛みを堪えようと、歯を噛み締め瞳をぎゅっと瞑った。
なんとか、更に体を倒そうと頑張るが、膝の裏が痛い。
というか、そろそろ吊りそうだ。

「む、無理だぁ!」

ばたんと音を立てて仰向けに倒れた。
膝の裏がまだジンジンと痛い。
そこを軽く擦りながら、なんとなしに呟く。

「本当に効くのかなぁ、これ……」

なんとなく騙されている気がしないでもないが、とにかくやるしかないのだ。
今度は、なるべく簡単そうなものを選ぶことにした。

「だぬらあさな? 背中を反らせるだけみたいだな、これなら……」

先ずはうつ伏せになり、膝を曲げて、足首を握る。
その状態から上半身を上げ、更に下半身も上げていく。

「こ、これも、辛いぃ!」

海老反りの様な恰好で息を荒げる魔理沙。
本には、この状態から更に下半身を上げるとあった。

「ふっくぁ! っああ!」

必死に腰を上げ、呻きながらもどうにか、体位を作る。
だが、ぶっちゃけもう無理そうだ。
プルプルと体は震え、顔は真っ赤になり、瞳には薄っすらと涙が溜まっている。
痛みに顔を歪ませ、息が激しく乱れる。

「んんっ! あぐ。っふあ……!」

ブルブルと震えながらも、どうにか頑張る。
噛み締めた歯の隙間から息が漏れていく。めちゃくちゃヤバい。

「ふあんっ!」

鼻から抜けるような声を出して、手足を投げ出した。
たったあれだけのことなのに、軽く汗ばんでいる。

「ひょっとして、これ辛いだけなんじゃ……」

毎日やるのが大切だ。と本には書かれているが、この辛さは尋常ではない気がする。
それでも、とにかくやるしかない。あの解放感と爽快感を得るためには!
それからしばらくは、あぁ、とか、ぐぅとか呻いたりしながら、ヨガをやったりしていた。
正直、痛いだけでどうしようもない。
と、腰を曲げている最中に、ぐう、と腹が鳴る。
時間を見てみると、もう昼近い。
だいぶ長い時間、やっていたようだ。
食事を作ろうと思ったが、どうにも気力が湧いてこない。
ヨガのダメージが、思ったより深刻なようだ。
しかたがないので、誰かの家にお邪魔しよう。
神社は、この時間から行っても、もう間に合わない。
というか、あまり遠くまで行くのも面倒だ。
そう言う訳で、ご近所で腐れ縁な人形使いのところに行くことにした。




 *  *  *  *  *




「飯を作るのが億劫だ。というわけで来てやったぜ」
「というわけ、という文の間にどういう理論が働いたら、そうなるのかしら?」

憮然とした表情で迎えるのは、人形使いアリス・マーガトロイド。
さも面倒臭いといった口調だ。

「飯はまだだろ? 一人で食べるより二人で食べる方が楽しいぜ」
「あなたには静寂を愛する心ってものが分からない?」
「太陽の下で人知れずこっそりやるのは日光写真くらいなもんだ」
「それ関係ないし」
「太陽が出てたら笑って堂々と過ごせ、ということだぜ」
「まったく……まあ、一人も二人も手間は一緒だからいいけど」
「話が分かる友達を持てて、私は幸せだ」

いつものように不敵で自信に溢れた子供の様な笑み。
あくまで普段の自分を演じる魔理沙。
本当は便秘やらヨガやらでかなりグロッキーではあったが、他人に弱みなんて見せたくないのだ。
いつも通りの表情で、魔理沙はアリスの家にお邪魔した。
魔理沙が台所を覗くと、十数体もの人形達が忙しなく動き回っている。
トランプ兵が行進するかのように、その動きは同調し、隊列を組み、仕事をこなしている。
ある人形が野菜を切り、ある人形がそれを鍋に入れ、ある人形がコトコトと煮込む。そのまた別の人形が肉を炒め、また別の人形がサラダを盛り付けていた。
まるで小さな厨房だ。
歯車が噛み合うかのように、人形達に乱れはない。

「いつも思うけど便利そうだよなぁ、人形に色々やらせると」
「あげないわよ。そもそも、あなたが持ってても操れないじゃない」
「本当にお前が全部操っているのか? 眉唾もいいところだぜ」

台所で働いている人形は軽く十を超えている。
人形一体一体がそれぞれに別の行動を取り、その行動が止まることもおかしくなることも無い。
人形のそれぞれが意志を持ち、自ら考えて動いているようにしか見えないのだ。

「勿論、私が全部やっているわよ 指先のほんの少しの動きだけで操り分けているのよ」

大したことではない、とでも言うようにアリスが話す。
しかしアリスの指が動いているようには到底見えなかった。
だって今、本読んでるし、こいつ

「事前に人形へ命令とかしてるんだろ。操らなくても命令された通りに動くよう作って」
「さあ、どうかしらね?」

教える気はないらしい。
まあ、魔女なんてそんなものだ。自分の技術を簡単に相手に教えるわけがない。
自らの為に知識を蓄え、自らの為に力を使い、自らの為に死んでいく。
それが魔法使い、魔女といった種族なのである。

「さて、出来たわ」

そう言ってアリスが本を閉じると、丁度、人形達が皿を運んできた。
運ばれてきたのはスープとサラダとちょっとした肉、そしてパン。

「洋食だな」
「文句があるならあげないわよ」
「たまには洋食もいいんじゃないか?」

そう笑って、魔理沙は椅子に付いた。
軽くお腹に違和感を感じたが、気にしないことにする。
先ずは目の前の空腹をどうにかしなければ。

「「いただきます」」

そうして食べ始めていくが、どうにもお腹の違和感が気になる。
というより、食べている内にどんどん違和感が大きくなっている。
いや、もう違和感というレベルではない。これは腹痛だ。
それも下の方を出したい時に感じるもの。
さっきのヨガが効いたのか?
いや、それよりもこの状況で催すのは不味い。
食事中に、しかもアリスの家で催すのは非常に不味い。
年頃の乙女が食事中に「ちょっと便秘解消してくる」なんて口が裂けても言えない。
どうする、我慢してやり過ごすか?
しかし、この機を逃したら、またしばらく耐える日々が続くかもしれない。
ここは我慢して、またヨガをやれば同じように催すか?いやしかし、この効果は今回だけかもしれない。
そう考えている内にもどんどん腹痛は酷くなっていく。
その痛みに顔を顰める。焦りによって嫌な汗が出てきた。

「どうしたの、魔理沙? 変な顔して……」
「あー、なんでもない、ぜ」
「ひょっとして変なのは入ってた? 無理して食べなくてもいいわよ?」
「いや、大丈夫。うん、大丈夫大丈夫……」

なんとか取り繕って笑顔を向けるも、アリスはどうにも釈然としない表情を浮かべる。
さて、どうする。
心なしか、さっきよりも腹痛が酷くなった気がする。
トイレに駆け込めば、きっと数日振りの御対面が出来るはずだろう。
だが、行っていいのか? 正直、便秘になったことでさえ恥ずかしいのだ。
それが他人に知れたとしたら、もう生きていけないと思う。
恥を忍んでいけば、数日振りの快感を得る代わりに、心に色々と出来ちゃいけない傷が付く。
今ここで我慢すれば、恥ずかしい思いをせずに済むが、また便秘の苦しみを耐えなければならない。
即効で食事を終わらせて、直ぐトイレに駆け込むか?
いやいや、今さっき食べ始めたばかりだ。そんな悠長に待ってはくれない。
ぐるぐると色々なことが、魔理沙の頭の中で回っていた。
腹痛と、眼の前にある二つの選択肢。それが彼女をある種のパニック状態にした。
そして魔理沙は、混乱した頭でこんなことを思ってしまった。
ばれないくらいに早くすれば、問題ないんじゃないか?
トイレで花を摘んだことにすれば、問題はないんじゃなかろうか?
席を立つことに変わりはないが、それでも便秘に比べたらまだマシだ。
そんな妙な理論が、頭の隅から転がってきた。

「すまん。ちょっとトイレ」
「食事の前にそういうのは済ますものでしょ?」
「昨日、飲み過ぎたみたいだ」

あくまで自然な笑顔を向けて、魔理沙はトイレに向かう。
そしてドアを閉めた所で、一瞬でスカートからドロワまで下に下ろし、便器に腰かけた。
その顔はまさに死地に赴く戦士の顔。
ざわ……ざわ……なんて効果音が聞こえたような気がする。

「今度こそ、やってやるっ……!」

そんな誓いと共に、トイレの中の攻防が今、静かに幕を開けた。




 *  *  *  *  *




魔理沙がトイレに入って、既に大分時間が経っている。
既にアリスは食事を済ませ、ゆっくりとお茶を飲んでいるところだ。
机の上で手慰みに人形を躍らせている。
机の上に、もう一人ダンサーが入ろうとしたところで、ようやく魔理沙がトイレから出てきた。
その顔に明るさはなく、辛く悲しそうに眼を伏せている。

「長かったわね」
「……うん」

虚ろに返事を返した後、魔理沙はすっかり冷めた昼食を摂り始めた。
食べている最中も心ここに在らずといった感じで、ぼうっと手と口を動かしているだけもようだ。
そんな様子を肘を突きながら眺めるアリス。
ただじいっと魔理沙を見つめている。
魔理沙が食べ終わるのを待っているようだった。
やがて最後のスープを魔理沙が飲み干すと、人形が丁度良く紅茶を持ってきた。
よれよれと自分より大きな茶器を懸命に運んでいる。

「昼食もらったから、もういい……」

憔悴し切ったかのようにそう漏らす魔理沙に、しかし人形は関係なくお茶の支度を始める。

「アリス、もう帰るからいらないって」

そう言って椅子から立とうとする魔理沙に、アリスが静かに声をかけた。

「魔理沙、あんた便秘?」

その言葉に思わずびくりと震える。
そうして恐る恐るアリスの人形のような顔を見た。

「その反応は、そうなわけね」
「わ、私は……ち、ちがっ!」
「隠さなくてもいいわよ。トイレにあれだけ籠ってたり、時々お腹を擦ってたりしたら、誰だって気付くって」
「いや、その……あの、えっと!」

しどろもどろになりながらも何かを言おうとする魔理沙を、アリスが柔らかく手で制した。
そして、どこか遠くを見るような目で、しみじみと呟く。

「便秘、辛いわよねぇ」

酸いも甘いも知り尽くしたような、そんな疲れ切った表情でアリスが言った。

「……え?」
「出そうと思っても出せない苦しみ、いつまでもお腹に残る異物感……」
「アリス。まさかお前も……」
「今日で3日目よ。最近お腹がぽっこりしてきた」
「……私も。ここのところ、ちょっとお腹が重いんだ」
「研究したり色々作ったりで、二~三日徹夜は当たり前。食生活も簡単に済まして、ひたすら部屋に籠る……魔女の職業病よね、便秘」
「……恥ずかしかったんだ。この年で便秘になるなんて思わなかったんだ」
「誰でもなるものなのよ。便秘っていうのは」

お母さんも結構悩んでいたし。とアリスが小さく呟いた。
深い後悔を抱えて、魔理沙が顔を伏せる。
そうしてアリスが急に真面目な表情を向けてきた。

「魔理沙、捨食の法を手に入れなさい」

師が弟子に教えるかのように、強い口調でアリスが言った。
その言葉に、魔理沙が眉根を寄せる。

「なんだ、いきなり……」
「魔理沙。どうして捨食の法があるか、分かる?」
「知識を得るための時間を、食事なんか費やせないってことだろ?」

寝食を削り、己の知識を蓄える。それが魔女の生き方だ。
少なくとも魔理沙はそう思っていた。

「料理なんか、使い魔にでもやらせれば手間は掛からないわ。サンドイッチみたいに、片手間で食べれるものもあるしね」
「それじゃあ、なんで……」
「いい、魔理沙? 食べれば出るのよ」
「いや、まあそうだけど」

若干赤い顔で、気押されたように答える魔理沙。

「つまりは、食べなければ出るもんも出ないってことよ!」

出すものがなければ出るものは出ないのだ。
つまり、捨食によって何も食べなければ何も出ない

「どうしても不規則な生活になる魔法使い生活……食事を摂れば勿論お通じに悩まされる。そこで考案されたのが、捨食の法なのよ」

なんか凄いこと言ったぞ、こいつ。
捨食の法に新たなる事実が発覚。
寝食の時間すら惜しいと、知識の虜囚らしい考えの元作られた技術だと思われていたものが、実は便秘が嫌だから作られたものだった。
古の魔女達を悩ませていたのは便秘! そしてそれを解決するために生み出されたのが捨食の法!
飯食わなけりゃ出るもんも出ないべ! みたいなノリだ。
トイレに籠って踏んばる時間すら、知識を得るための時間に使いたいのか。
……いや、単純に便秘の苦しみを味わいたくないだけかも。
確かに、捨食の法を会得していない魔理沙は、食事をとらざるお得ない。
そして人間の頃の習慣が残っているアリスは、まだ食事を取っていたりする。
その結果が便秘か。
パチュリーあたりは何も食べてなさそうだから、便秘も糞も無いのだろう。

「捨食の法が便秘対策……」

呆然と呟く魔理沙。
何が何だか分からないといった表情だ。

「魔女だってね、女の子なのよ……」
「そうか……そうだったのか」

何の感情も籠ってないかのような声で、微かに魔理沙が呟く。
そうして、しばらくすると小さく頷いた。
何かを確信したかのように、決意を込めるかのように。

「そうだよなぁ、うん。まったくもって、そうだ」

そう頷く魔理沙の顔に、さっきまでの暗さは見えなかった。
悩みに悩んでいたことが、一気に解決したような顔だ。

「食べなければ出ないんだ! 捨食を会得すれば便秘なんてなくなるんだ!」

清々しい程の笑顔を浮かべて、淹れられていた紅茶を一気に飲み干す。
流石に熱かったのか涙目で軽く舌を出していたが、それでもその顔は嬉しそうだった。

「決めたぜ、アリス! 私、捨食を会得する!!」

晴れ晴れとしたように、その瞳は力強く燃えていた。
窓から差し込む光が、魔理沙の髪に当たってキラキラと輝いている。
部屋の空気が動き出し、小さな風が魔理沙から吹いて来ている錯覚をアリスは受けた。
それほどまでに、魔理沙は溌剌と笑顔を浮かべていた。

「そう。まあ、頑張りなさい」

小さく優しい笑顔を浮かべて、アリスが言う。
それはどこまでも優しい響きを残していた。

「食べなければ便秘にならないんだ!」

確認するようにもう一度、魔理沙が言う。

「よっし! こんなことしている場合じゃないな。早速、丹の改良をしないと!」

言うや否や、旋風の様に部屋を飛び出そうとする白黒の影。
ドアの手前で一旦立ち止まり、アリスに向かって微笑む。

「アリス、ありがとう。またな!」

そうして白黒の風は、青い空に溶け込んでいってしまった。
アリスは、魔理沙の消えた方角を見つめて小さく微笑む。

「どっちが先に便秘を解消するか、勝負よ。魔理沙」

その言葉は、薄く大気に溶けていった。
書きたかったこと。



     ,.ィ , - 、._     、
.      ,イ/ l/       ̄ ̄`ヽ!__
     ト/ |' {              `ヽ.            ,ヘ
    N│ ヽ. `                 ヽ         /ヽ /  ∨
   N.ヽ.ヽ、            ,        }    l\/  `′
.  ヽヽ.\         ,.ィイハ       |   _|
   ヾニー __ _ -=_彡ソノ u_\ヽ、   |  \   捨食の法は
.      ゙̄r=<‐モミ、ニr;==ェ;ュ<_ゞ-=7´ヽ   >  便秘を無くすための
.       l    ̄リーh ` ー‐‐' l‐''´冫)'./ ∠__  ものだったんだよ!!!!
       ゙iー- イ'__ ヽ、..___ノ   トr‐'    /
       l   `___,.、     u ./│    /_
.        ヽ.  }z‐r--|     /  ト,        |  ,、
           >、`ー-- '  ./  / |ヽ     l/ ヽ   ,ヘ
      _,./| ヽ`ー--‐ _´.. ‐''´   ./  \、       \/ ヽ/
-‐ '''"  ̄ /  :|   ,ゝ=<      /    | `'''‐- 、.._
     /   !./l;';';';';';';\    ./    │   _
      _,> '´|l. ミ:ゝ、;';';_/,´\  ./|._ , --、 | i´!⌒!l  r:,=i
.     |     |:.l. /';';';';';|=  ヽ/:.| .|l⌒l lニ._ | ゙ー=':| |. L._」 ))
      l.    |:.:.l./';';';';';';'!    /:.:.| i´|.ー‐' | / |    |. !   l
.     l.   |:.:.:.!';';';';';';';'|  /:.:.:.:!.|"'|.   l'  │-==:|. ! ==l   ,. -‐;
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コメント



0.2740簡易評価
2.80名前が無い程度の能力削除
お下品なのに妙に納得してもうた…素直に負けを認めますw
4.80煉獄削除
ああ・・・うん、私も負けかなぁ……。
話は下世話なのにそこに妙な面白さと説得力が混ざっているし、
なによりもダル○ムに思わずニヤァっとしてしまいました。
某人物は本を出していたのか……。
冒頭にも書きましたが、下世話なのに面白かったです。
5.80名前が無い程度の能力削除
Ω< な、何だってー!!
6.無評価名前が無い程度の能力削除
求聞史紀によると、アリスは既に捨食の魔法を使用済み。
ならば、最後の「どっちが先に便秘を解消するか、勝負よ。魔理沙」という台詞はおかしいのでは?
(私の方が間違っているならこのコメントを削除しますから、そう言ってください)
9.90名前が無い程度の能力削除
お下劣なのに……なんか憎めないww

↑確かアリスはまだ人間だった頃の名残で食事や睡眠をとっていたはずです。
10.無評価三文字削除
6の名前が無い程度の能力様。
一応、本文の方に
「そして人間の頃の習慣が残っているアリスは、まだ食事を取っていたりする。」
といれてあるので問題無いかと思いましたが、一文だけじゃ目立たないですよね。反省。
コメントの方はそのまま残しておいてください。そのコメントもまた、自分にとって大切なものですので。

他の方のお返事とかは、申し訳ないですがまた明日に。
11.90名前が無い程度の能力削除
一体何処で話が落ち着くかと思ってたら捨食の法かよ!
くっそう、やられたww
16.80コメント6の者削除
三文字様、コメント9の方
お返事ありがとうございます。そういうことでしたか。
その文章を読み逃したのか「捨食を会得すれば便秘にならないのなら、アリスは便秘に
なることはないのでは?」と考えていました。
「捨食+食物非摂取=便秘にならない」だったんですね。
迂闊なことを書いてすみません。完全に私のミスです。
6のコメントは消したいところですが、お言葉通り残しておきます。
本当に失礼致しました。
17.90名前が無い程度の能力削除
便秘に悩まされてる身としてはこのSSは切ない
22.70削除
この発想はなかったです
面白かった^^
23.80名前が無い程度の能力削除
desoさんが書かれた咲夜さんの話思い出した。
24.90名前が無い程度の能力削除
便秘+痔に苦しめられている俺としては捨食の魔法が欲しすぎる
便秘で苦しむ→ようやく出た!→痔になる→痔に苦しむ→便秘になる
という酷いループがががが

アリスが食物を食べなくなるには、どうすればいいんだろうかw
今まで食ってたもんを食わなくなるってのは結構辛いもんだ
25.90名前が無い程度の能力削除
発想の勝利
27.90名前ガの兎削除
       |
   \  __  /
   _ (m) _ピコーン
      |ミ|
    /  `´  \
     ('A`)   <食べなければ出ない!なるほど!
     ノヽノヽ
       くく
面白い話は正義、そしてこの話は面白い
28.70名前が無い程度の能力削除
美少女はうんちなんてしないよー><
面白かったです、はい
32.100名前が無い程度の能力削除
捨食の法の新解釈、これは素晴らしい。
っていうか魔理沙妖怪化確定?
37.80名前が無い程度の能力削除
き、汚ったねー話だw そして面白かったです。
47.80名前が無い程度の能力削除
すげー。
なんか納得させられた。
50.無評価三文字削除
見ろよ2000点越えてるだろ。便秘の話なんだぜこれ……
ありがたい評価とコメに感謝感激。

2番の名前が無い程度の能力様
よもや突発的に思いついたネタがここまで説得力あるとは思いませんでした。うへへ。

煉獄様
男はいつまでたっても下ネタ好きだって三文字信じてる。だって……男の子だもんっ!
ヨガといったらあの人相の悪い僧侶様が出てこなけりゃ嘘でしょう。

5番目の名前が無い程度の能力様
&#10013;<そうなんだってー!!

9番目の名前が無い程度の能力様
人間、所詮下世話なものが好きなんですよ。
下ネタが嫌いな人間なんていません!

11番目の名前が無い程度の能力様
月面でパイルドライバー決めたみたいな落ちですよね。
うん、訳わかんねぇ。

コメント6の者様
改めてのコメありがとうございます。
まあ、一文だけで分かりにくい描写した自分にも問題がありますので、おあいこということで。

17番目の名前が無い程度の能力様
適度な運動と適切な食事と、きちんとした生活習慣をつければ無問題。
いざとなったら皆で魔法使いになりましょう。レッツ幻想郷ライフ。

☆様
気に入っていただけたようでなによりです。

23の名前が無い程度の能力様
S字結腸は素晴らしいギャグ作品。

24番目の名前が無い程度の能力様
だったら下痢になれば万事解決!……ごめんなさい。
確かに何も食べない生活っていうのは想像しただけで味気ないですよね。
あと、水泳とかやると体質改善に効果あるらしいですよ。こんなことしか言えませんが、ガンバです!

25番目の名前が無い程度の能力様
ありがとうございます。もっと面白い発想がわかないかなぁ。

名前ガの兎様
ありがとうございます。
食べた分を全て吸収できれば、しなくて済むのにねぇ。

28番目の名前が無い程度の能力様
魔理沙達はうんちなんてしません。うんちのような何かをしているんです。
おいら、そう信じてる!

32番目の名前が無い程度の能力様
魔理沙が妖怪になった理由が便秘になりたくないから。
後々、弟子にどうして魔女になったか聞かれて困っちゃうんですよ、うふふ。

37番目の名前が無い程度の能力様
汚くないよ!魔理沙達はうんちじゃなくて別の物を出してるんだよ!

47番目の名前が無い程度の能力様
下品な発想+説得力=今回の作品。
便秘しない魔女達に乾杯。
51.90名前が無い程度の能力削除
納得させられた俺が悔しい…ビクンビクン
俺の完敗だ。
54.70名前が無い程度の能力削除
つまりパッチェさんは大はしないのか……
しかし座ってばかりだから食生活関係なく痔にはなりそうだなと今悩まされてる当人は思うのです。
57.80名前が無い程度の能力削除
捨食の法を会得したくなる新解釈
だが出ない事に対しての解決策には成り得ないのであったたた
58.無評価三文字削除
ちと、レスポンスが遅れて申し訳ないです。

51番目の名前が無い程度の能力様
勝った!第三部完!!

54番目の名前が無い程度の能力様
痔になりそうだけどそこは魔法でどうにかしてるんですよ。
風の魔法でクッション作るとか。

57番目の名前が無い程度の能力様
便秘解消する魔法作っても、それを出す時間が惜しいんですよ、きっと。
71.100名前が無い程度の能力削除
聖水が出るなら何でもいいよ。