Coolier - 新生・東方創想話

ミスティアが宝くじで3000万円当選したぜキャッホウ

2010/04/09 20:46:10
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「屋台で頑張ってるミスティアに当選させてあげたいな」
と、ミスティアの屋台の名もなき常連客が呟いた。
その願いが天に届いたのか、ミスティアは天狗が販売した宝くじで二等に当選してしまう。
賞金額は3000万円。
お遊び感覚で買った宝くじがまさか当たるとは思っていなかったミスティアは、
お金の使い道に困り友達のルーミアに相談した。

一ヵ月後、八目鰻屋が三店舗も進出した。
その名も素敵『八目処ローレライ』といい、オーナーはもちろんミスティア・ローレライ!
しかも妖怪の山付近に建てられた本店の料理長を兼任しているぞ。

二号店は人里で、自称元焼き鳥屋の藤原妹紅が雇われ店長をやっている。
元焼き鳥屋という素性の真偽はともかく、料理の腕前は確かなもの。見事に八目鰻を焼いてみせる。

三号店は地底だ、こちらの雇われ店長は水橋パルスィ。
妬みつまり嫉妬を焼き続けた彼女は八目鰻を焼くのも上手で、高給取りになり地底の住人から逆に妬まれている。

経営は順調! 人気も上々!
焼き鳥の信奉者をを次々に八目鰻へと鞍替えさせていった。素晴らしい実に素晴らしい本当に素晴らしい。
この物語は、ミスティア・ローレライのサクセス・ストーリーの一端を明かすものである。


     ■■鰻処■■八目鰻■■鰻処■■


【藤原妹紅、八目鰻屋に雇われるの事】
八目鰻ローレライのブレーン、ルーミアは言った。
焼き鳥屋なら料理の腕前があり、さらに八目鰻屋に転向させる事で、焼き鳥屋の戦力を吸収できる。
これにより民衆も焼き鳥より八目鰻の方がおいしいのか優れているのかと思うに違いない。
八目鰻屋の戦力増強、焼き鳥屋の戦力減少、民衆の支持の獲得、まさしく一石三鳥の作戦!
こうしてミスティアは、とある焼き鳥屋を勧誘に向かった。

ターゲットは寺子屋にて子供達と竹とんぼの飛ばしっこをしていた。
そこに普段着のミスティアと、ビジネススーツを凛々しく着込んだ秘書のルーミアが来訪する。
「慧音になんか用か?」
「今日は藤原さんにお話があって参りました。我々はこういう者です」
ルーミアの差し出した名刺を受け取る妹紅。

   八目処ローレライ
   社長秘書 ルーミア

「八目処? ああ、大通りで新しく建てられてる最中のあれか」
「そーなのだー。本店は妖怪の山の麓に建設中で、オーナー兼料理長がこちらのミスティア・ローレライ。
 そして人里で建設中の二号店の店長兼料理長を、藤原さんにお頼み申し上げたいと思いまして」
知的な伊達眼鏡をクイッと上げて、格好をつけるルーミア。
あまりの知的っぷりに六面ボス級のカリスマさえ感じさせる。一面ボスなのに。
「あなたは健康マニアの焼き鳥屋として高名だそうで」
「いやー、高名ではないと思うけど……」
「そこであなたの腕を見込んで、八目処ローレライに迎え入れたいのです!」
「雇われるのは、ガラじゃないんだ。他所を当たってくれ」
そう言って妹紅は子供達の竹とんぼ遊びに戻ろうとしたが、スッと前に出たルーミアは妹紅の頬をはたいた。
札束で。
「これが契約金。お給金は売り上げ次第だけれど、焼き鳥屋の儲けをごっそり奪うこのプランが成功すれば、
 毎月ゴニョゴニョ、年収ゴニョゴニョは楽勝。一緒に勝ち組になるのかならないのかー」
「ははぁー! 雇われさせて頂きますぅ!!」
頬をはたいた札束を受け取りながら土下座する妹紅。
「待てぇー!!」
様子をうかがっていたのか寺子屋から飛び出してくる慧音。
「妹紅! そんな金に意地汚い姿を子供達に見せるなど、情操教育に呼んだつもりが逆効果ではないか!」
「落ちぶれても元は名のある貴族の出自、返り咲くチャンス到来に我が世の春ッ。
 慧音……世の中、金だよ……!! 子供達にもお金の大切さを教えるのが、今の慧音に積める善行です」
どこぞの閻魔のような口振りの妹紅は、すでにミスティアとルーミア側に取り込まれていた。

千年以上を生きた蓬莱人をも取り込む魔力。
これが! これが! これがマネーパワーだ!!

寺子屋の子供達は友情よりも重たいもの、すなわちお金の価値を知り、大人の階段を登った。
なんとか道を正そうとした慧音だが、休暇で偶然訪れた四季映姫様が言いました。
「金は天下の回りもの。悪行で稼ぐのでなければ、お金を稼ぐのは立派な善行です」
閻魔様のお墨付きをもらって、さらに子供達はお金の価値の重さを思い知った。


     ■■鰻処■■八目鰻■■鰻処■■


【水橋パルスィ、今こそ妬む立場から妬まれる立場に回る事】
「妬ましい妬ましい、ああ妬ましい。
 天狗くじで300円当てたさとりが妬ましい。
 天狗くじで1000円当てたキスメが妬ましい。
 天狗くじで3000円当てたヤマメが妬ましい。
 天狗クジで1万円も当てた勇儀が妬ましい……!!」
今日も元気に妬みまくりの水橋パルスィ。
さとりよりもキスメよりもヤマメよりも勇儀よりもたくさん天狗くじを買ったのに、
見事に全部外れて散った哀れな妖怪が水橋パルスィなのである。
「天狗くじに当たったすべての者が妬ましい! 妬みで人が殺せたら……!!」
「こんにちはルーミアといいます突然ですが天狗くじで3000万円当選したミスティア・ローレライ氏が、
 妖怪の山の麓と人里と、この地底に八目鰻専門店を開こうとしているのですが、
 どうでしょう嫉妬や焼餅を焼くその手腕を八目鰻を焼く事に活かす気はありませんか、これが契約金です」
「天狗くじって素晴らしいわ! 是非とも働かせてくださいませー!!」
こうして高給取りとなった水橋パルスィは、逆に妬まれる立場へと回った。
本店、二号店、三号店が完成しいっせいに開店するや大繁盛。
オフの日はきらびやかな衣装で地底を歩いて羨望の眼差しを受けて恍惚です。


     ■■鰻処■■八目鰻■■鰻処■■


【ミスティア・ローレライ、八目鰻で天下を取るの事】
八目処ローレライが開店して数ヶ月が経った。
幻想郷の料理と言えば八目鰻と言われるほど浸透し、人間も妖怪も八目鰻に夢中。
八目処ローレライは連日連夜の大繁盛。
ミスティア、妹紅、パルスィという料理上手が猛威を振るい、経営面はルーミアが完全サポート。
さらにオーナーのミスティアは店の宣伝ソングを大々的に発表。
歌姫としての地位も確立し、歌って料理ができて弾幕もできるスーパーアイドルとして人気を集める。
焼き鳥屋は廃れ、焼き鳥撲滅運動達成の日もそう遠くはないだろうとさえ言われ始めた。

この功績を射命丸文が『文々。新聞』で大絶賛。
幻想郷全土の鳥妖怪から絶大な信仰を得たミスティアは妖怪としての格を上げ、大妖怪の仲間入りを果たした。
信仰力により風見幽香や八雲紫とも弾幕勝負で渡り合ったミスティアの名は、
焼き鳥撲滅運動に興味のなかった一般妖怪達にまで轟いた。
ミスティア・ローレライは『文々。新聞』紙上で語る。

「お遊び感覚で買った天狗くじが当たってから、私の人生は一変しました。
 金銭的に裕福なだけではなく、妹紅さんやパルスィさんといった信頼できる人脈をも得ました。
 親友のルーミアもよく支えてくれて、私は八目鰻を焼く事に専念できます。
 さらに焼き鳥撲滅運動の促進により、たくさんの同胞から毎日感謝の手紙が届いて読み切れないほど。
 お金は交友関係さえも豊かにしてくれるんですね。
 皆さんも人生を変えてるチャンスに賭けてみませんか?
 ポケットの中のお金だけでチャンスは買えます。第二回天狗くじ、来月からいよいよ販売開始!」

こうして天狗くじの売り上げも絶大なものになり、天狗達も大喜びだ。
幻想郷の経済は活性化し、天狗くじに当選してビッグビジネスに乗り出し成功する者は他にも現れた。

これがミスティア・ローレライと天狗達のサクセス・ストーリーの一端である!!


     ■■鰻処■■八目鰻■■鰻処■■


【八目処ローレライ、倒壊するの事】
数年後、大地震が幻想郷を襲った。
震源地の関係で、もっとも被害を受けたのは八目処ローレライ本店であった。
無残に倒壊し、巻き込まれた従業員とお客様達、そしてオーナー兼料理長のミスティア。
営業中の大地震は火事をも誘発させ、瓦礫に挟まった者達に迫った。
「う、うぅ……」
一番炎に近い場所、すなわち厨房で八目鰻を焼いていたミスティアは、
焼き鳥撲滅運動達成を目前にして炎に焼かれようとしていた。
「まさか、この私が焼き鳥になって終わるだなんて……ゴホッ、ゴホ」
黒煙が呼吸を阻害し、窒息するのが早いか、焼け死ぬのが早いか、ミスティアは嘆く。
逃れようにも崩れた天井に身体が挟まって逃れられず、厨房にいた他の従業員のうめき声も聞こえた。

(幸運の……ツケが回ってきたのかな……。そう、今までが出来すぎていたのよ……。
 宝くじに当たって、3000万円……1000万ずつ使ってお店を三軒も建てて、三軒とも大繁盛。
 お金持ちになって、人望も得て、焼き鳥撲滅運動も……本当、出来すぎてたなぁ……。
 まるで夢のよう……ああ、そうか……これはきっと、幸せな夢の終わり……。
 目を覚ませば……なんの変哲もない私が、小さな屋台で八目鰻を焼いているんだ……。
 そこには妹紅さんも、パルスィさんも、ルーミアもいない……イヤだ……そんなの、さみしすぎるよ……)

「あきらめるのは!」
「まだ早いわ!」

その時、雷鳴のように走る力強き声援!

「焼死しない人間、藤原妹紅ただいま参上! 救援活動は任せてくれ!!」
「嫉妬の炎に比べれば火事の炎なんてなんのその、水橋パルスィただいま登場!!」

来てくれた!
金銭で繋がった縁は、ともに八目鰻を焼き続ける同士としてすごすうちに、真実の絆となっていたのだ!
「来たのは私達だけじゃないぜ!」
「外ではルーミアさんが二号店三号店の従業員や、お得意様、鳥の妖怪達を率いて救助活動を行っているわ!」
「さあ社長! 一緒に脱出しよう!!」
「お客様はすでに、他の部下達の手で救出されているわ!」

ミスティア・ローレライの生還は、数多くの人妖に祝福された。
そして、此度の八目処ローレライの倒壊は意外な結果を呼ぶ。

なんとこの事件、死亡者ゼロ。
瓦礫の直撃を受けたり、炎に焼かれた人妖は、怪我をしても死には至らなかった。
なぜか!?
ミスティア・ローレライはインタビューにてこう答えた。

「それこそが健康の秘訣、八目鰻の栄養パワーなのです。
 八目処ローレライの常連の皆様は、肉体にたくさんの八目成分を蓄えていました。
 その栄養により生命力が強まり、このような凄惨な事件からも生還できたのです。
 八目鰻は健康だけでなく、生命までをも救ったのですね。
 我々『八目処ローレライ』はこれからもお客様においしく栄養満点の八目鰻をご提供します。
 どうか再建された本店のみならず、来月開店予定の四号店、五号店もご贔屓に。
 皆様のご来店、心よりお待ちしております」

こうして八目鰻の生んだ奇跡と、敏腕秘書ルーミアの手腕により、
八目処ローレライはますますの発展を遂げるのであった。

そして今日も、ミスティアは幻想郷の皆様のため、誠心誠意を込めて八目鰻を焼いています。
めでたし めでたし
このSSを『魔理沙が宝くじで500万円当選したぜヒャッホウ』のコメント9さんに捧げます。

即興で書いたので荒いところもありますが、
八目鰻を食べればそんなの気にならなくなるってルーミアが言ってた。
イムス
http://
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コメント



0.5310簡易評価
1.100名前が無い程度の能力削除
執筆時間の速さとクオリティに脱帽しました
2.70名前が無い程度の能力削除
あまりのサクセスストーリーっぷりに夢オチかと思った
4.100名前が無い程度の能力削除
おぉイムス神よ!! 願いを叶えてくれて感謝します!
これからもミスティアに幸多い事を願いますw
5.100喚く削除
仕事が音速すぎる……筆が早くてうらやましい
10.100名前が無い程度の能力削除
笑わせてもらいましたw
あと残すは一等か・・・
12.100名前が無い程度の能力削除
お金に縁のなさそうな人たちばっかり高額当選とはうらやましいw
運命を操る人だとか財宝が集まる人だとかは
まったく当たらなかったのかなとか想像してしまう
15.90名前が無い程度の能力削除
スゲエ……
早書きの企画ならば間違えなくトップ
16.80名前が無い程度の能力削除
仕事はええwwwクオリティも高いな
そういうオチかw

>5
あなたがそれを言っちゃうのかw
18.100名前が無い程度の能力削除
面白かったです
20.100名前が無い程度の能力削除
これはネタを新鮮なうちに仕上げる職人芸棚www
21.100名前が無い程度の能力削除
これある意味幻想の終わりじゃね? 面白いけどねw
25.100名前が無い程度の能力削除
あまりの早さに脱帽w
良かった、夢オチとかじゃなくて本当に良かった!
32.90名前が無い程度の能力削除
高額当選→調子乗って転落人生かと思ったらそんなことはなかったぜ!
35.100名前が無い程度の能力削除
すげぇ
調子に乗って聖にも…
44.100kyoya削除
これはすごい。最初は大金で作った店だから、途中で関係悪化、倒産すると思っていましたが、予想を裏切って金の絆が本当の絆になって皆で助け合う結果になるとは。100点満点で決まりです。
52.100miyamo削除
ほーう
悲劇に終わると思ってた劇が喜劇だったときってうれしいんですよね
もち話の内容もすばらしかったですがいい意味で裏切られましたww
あと皆がなに言ってるのかが分からない…ネタガシンセン…?
61.100名前が無い程度の能力削除
どうした1万円くらい当たったのか
62.70名前が無い程度の能力削除
なんだこの良い話w宝くじ買いたくなるなぁ
64.100ぺ・四潤削除
あーこの展開はこち亀的オチになっちゃうんだろうな……哀れなみすちー……
とか思ってたらwww
よかったよみすちー!頑張ってる娘はちゃんと報われるんだ!!
宝くじって目を血走らせて買ってる人間には絶対に当たらないよね。
68.100名前が無い程度の能力削除
>10
1等はもうでてるぞ?

みすちーが幸せになったのならああしは満足でさぁ……
73.100名前が無い程度の能力削除
最後に不幸になったりしなくてよかったわw
ミスチーすごいよミスチー
74.90名前が無い程度の能力削除
どんな悲劇もチャンスに変えるみすちーすごい!!
てかルーミアの敏腕ぶりがwww
75.100名前が無い程度の能力削除
二次創作ではけっこー悲惨な役どころの多いみすちーだから
こういう話は大歓迎です!!
76.無評価75追記削除
それにしても、これ程のものを
たった二時間で書き上げるイムスさんの手腕にひたすら脱帽。
77.100名前が無い程度の能力削除
ああそういやそういうコメントした人いたなぁ
マジGJ
作者さんはその10倍GJ
しあわっせなミスチーに萌える
78.90ずわいがに削除
これは本当に、素直に良い話で面白かったです

宝くじはもう買わないけどな、チクショウっ
80.100名前が無い程度の能力削除
ああ、これはいいハッピーエンド。
85.100名前が無い程度の能力削除
>経営面はルーミアが完全サポート。

経営の不透明性てか闇が気になるんだが………まあ、気のせいか
89.100名前が無い程度の能力削除
ルーミアが秘書って・・・・。

かわいいからいっか
91.100心太を八目鰻に蹴散らされる程度の能力削除
>>89
しかし俺としては本店で働くウェイトレス的な姿も見てみたい
94.100名前が無い程度の能力削除
\すげえ!/
107.100名前が無い程度の能力削除
何か私生活の全てがどうでもよくなる位に楽しかったw
122.100名前が無い程度の能力削除
コメント欄見て気付く
速書きだったとは…
こういう穢れのない人(?)にこそこうやって大金を手に入れる権利があると思うのです。
125.100名前が無い程度の能力削除
イイハナシダナー
139.90飛び入り魚削除
社長秘書ルーミアいいですね・・・
いいですね・・・!
140.100名前が無い程度の能力削除
素晴らしいサクセスストーリー。
コメント読んで、投稿時間見てから盛大に吹いた。
なにこれこわい。