霊夢を見ていてると多々思うことがある。
レミリアの気持ちにいい加減気づいてやれよ、と。
紅霧異変以降、レミリアは博麗神社へよく来るようになっていたのだが、傍から見ていると、レミリアが霊夢に好意を抱いているのは誰の目から見ても明らかだった。
霊夢は勘はいいが、どうやらそっち方面への勘はあまり働かないらしい。
「ねえ霊夢、たまには紅魔館に遊びにきなさいよ」
「嫌よめんどくさい」
「う~、う~、来てくれないとまた異変起こすわよ」
「ちょっと、やめてよね」
なんというか、霊夢に対するレミリアの態度からは、カリスマというものが全く感じられなかった。
初めのころは周りの目も気にして、出来るだけカリスマを保ちつつ霊夢に接していたのだが、今や見る影もない。
そしてそんな霊夢とレミリアに気を使っていた私だったが、何時しか気を使うのも面倒になって普通に神社に来るようになっていた。
気を使っていたときは、縁側にレミリアの姿があったときは引き返していたのだ。
我ながら自分でもいい奴だと思う。
「霊夢、お茶お代わり」
「もう、しょうがないわね。ちょっと待ってなさい魔理沙」
私の言葉に霊夢は立ち上がると、急須を持って台所へと向かっていった。
霊夢が台所へ行った後、レミリアが睨んでくるが、それを軽くいなす。
「黒白、ちょっとは気を使いなさい」
「私は黒白じゃなく、霧雨魔理沙だ」
「霧雨魔理沙、ちょっとは気を使いなさい」
「やだ」
「こ、こいつは……」
本当にこいつはあの紅魔館の主、レミリアなのだろうか。
ふとそう思うときがある。
あの夜に見た、カリスマだだ漏れの吸血鬼の姿はどこへやらだ。
笑っても嘲笑するだけ、体を使ってアグレッシブに怒ることなんてあんまりなかったし、泣くなんてありえなかった。
それなのに、まるで子供のように表情豊かに、すぐ笑ったり泣いたり、怒ったりするのだから。
もちろん、それは霊夢に対してがほとんどなのだが。
「しかしレミリア、お前も大変だな」
「何が」
「霊夢がお前の気持ちに気づいてくれないことが」
「な、な、何を!」
「焦るなよ、気づいてないのなんか霊夢だけだぜ」
「っ……」
私の言葉に、レミリアの言葉が詰まる。
「いつか……」
「ん?」
言葉に詰まっていたレミリアが何かを言うとしていた。
「いつか、気づいてくれるわ……」
「いつかって、いつだよ」
「いつかは、いつかよ」
「気づいてくれなかったらどうするんだよ」
「っ……」
また、レミリアの言葉が詰まる。
「態度だけじゃ、伝わらないような奴だっているんだぜ」
「分ってるわ」
「分ってないな。霊夢は、お前ほど長くは生きれない。さっさと気持ちを伝えたほうがいいとおもうぜ」
「?!」
しまった、と思ったが、思ったときには既に手遅れだった。
「そ、そんなこと……わかって……ぐすっ……」
目尻に涙をため、鼻をすすり、声はどんどん小さくなっていく。
「す、すまん。そんなつもりじゃなかったんだが」
「ぐすっ……」
参った。
私達人間からすれば、なんてことはないかもしれないが、後に残されるもの達にとってはきつすぎる言葉だった。
ぼろぼろと、レミリアは涙を流しながら泣き続ける。
「どうしたのよ」
そこへ、お茶を用意した霊夢が帰ってくると、そう聞きながら縁側に座る。
「魔理沙、あんたが泣かしたの?」
「あ、いや」
「どうなの?」
「すまん……」
言葉に詰まったが、私が原因なのは確かだったので、素直に謝っておく。
「レミリア、こっち来なさい」
「う?」
霊夢がそう言いながら、掌を上下に動かしレミリアを手招く。
レミリアは泣きながらも、手招きをしている霊夢のところへ向かい、横にちょこんと座った。
「何を言われたのか知らないけど、魔理沙の言うことなんてあんまり気にしないほうがいいわよ」
「うん」
おいおい酷いな。
霊夢の言葉に少し傷ついたが、こちらに否がある以上言い返すのはやぼってもんだろう。
あれだ、ここはレミリアのことは霊夢に任せて茶でも飲もう。
そう思い、用意されたお茶を飲みながら、私は天を仰いだ。
「魔理沙、やっぱりここにいたのね」
泣いていたレミリアをあやしながら、いや子供じゃないんだからあやすっていうのもなんだかなぁ。
まあ、ともかくレミリアの頭を撫でていたところへ、アリスが神社に訪れた。
アリスの目的はどうやら魔理沙のようだ。
ほんと、魔理沙を見ていてると多々思うことがある。
いい加減、アリスの気持ちに気づいてあげなさいよと。
傍から見るとアリスの気持ちは丸分りなのだが、魔理沙本人は全く気づいていないときている。
アリスが不憫でしょうがない。
魔理沙とアリスの会話を聞いていると、今日は何か約束をしていたらしいが。
約束のことを完全に忘れていたのか、アリスにぺこぺこと謝っていた。
アリスも最初のほうは結構きつく魔理沙に当たるのだが、結局最後はアリスの方から折れるのだ。
もし、気持ちが通じでも、アリスが尻に敷かれるのは目に見えていた。
「霊夢、アリスにもお茶だしてやってくれ。私は先に帰る」
「え、私も一緒に帰るわよ」
「いやいや、準備する時間も必要だから、先に帰るよ。それにアリスはもう準備しちゃってるんだろ?」
「うっ、確かにそうだけど」
やはり、魔理沙のほうが一枚上手だ。
魔理沙は言うだけ言うと、空へと飛び上がっていった。
「それにしても、アリスも大変ね」
魔理沙が飛び立ち、残されたアリスにお茶を用意した私はそう声をかけた。
ちなみにレミリアは泣きつかれて眠ってしまったので、居間で寝かせてある。
「何が?」
「魔理沙があなたの気持ちに気づいてくれないことが」
「な、な、何いってるの?!」
「いや、隠してもばればれだからね」
「隠すつもりなんか……」
そこまで言うと、アリスは言葉をなくす。
「態度で示してもわからない奴もいるわよ」
「……」
「気持ち、伝えないの?」
「伝えようとは思ってるわ」
「そう、それならいいんだけど」
アリスの答えを聞いて、これ以上何か言うのは要らぬおせっかいだろうと思い、そこで言葉を止める。
「決めた」
「へ?」
突然そんなことを言い出すアリス。
一体何を決めたというのだろうか。
それに、何か吹っ切れたような表情をしているが。
「霊夢、私決めたわ!」
「な、何を?」
恐る恐る聞いてみる。
「魔理沙に気持ちを伝えるわ!」
「え、何もそんな急に」
私の言葉を最後まで聞くことなく、アリスはすぐに飛び立っていった。
縁側に残される私。
「まあ、無理でしょうね」
呟き、アリスを見送りながら、お茶をすする。
なぜそう思うのか。
それは、今回のようなことが結構あったからだ。
気持ちを伝えると決めていっても、魔理沙に気持ちを伝えられないのは明らかだった。
魔理沙の態度を見ていたら、伝えられていないことは分るしね。
もしかしたら、二人して隠す可能性があるかもしれないけど、アリスを見ればすぐに分るだろう。
さて、魔理沙がアリスの気持ちに気づくのが先か、アリスが気持ちを伝えるのが先か、それはどうなるか分らない。
そんなことを考えながらも、私はアリスの気持ちが魔理沙に届くよう願った。
>行為を抱いている
→「好意」
>霊夢は感がいい
勘?
マリサ「お茶お変わり」
→お代わり
おもしろかったです
これはいい
気持ちをぶつけてみればまた変わるのかもね
なるほどねぇww
アリマリも、レミレイも、ジャスティスですよ!