・・・なぁ、『好き』ってなんだろうな・・・。
「――――」
とある日の夜の、紅魔館での出来事。
気まぐれな吸血鬼のお嬢様が自らの館でダンスパーティを催していた。
・・・あの騒霊楽団も、ちゃんとした音楽を奏でられるんだな。いつも騒がしいだけかと思ってたぜ。
あ、ほら見ろよ。あのメイド長、普段は澄ました顔しているクセに門番の奴に手を引かれて焦ってるぜ。頬が紅潮してるのがこっからでも分からぁ。
はは、見たか?今さりげなく、つまづいたぜ。らしくないとはこのことだな。必死になかったことにしようとしてる。
お嬢様は妹君と見学か、まぁ姉の方はともかく、妹の方は踊れるかどうかも分からんしな。
!おい見てみろよ、巫女が二人で踊ってるぜ。何気に上手いんだが、何も巫女装束でダンスを踊らんでもなぁ・・・
「というか、あんたは踊らないの?」
・・・別に、お前だって踊ってないじゃないか・・・・・・
「・・・見て分からない?踊ってる連中の周りで踊っている人形が。あれ操作するの、割と大変なのよ」
・・・・・・・・・。
「何であんたはわざわざパーティに来て、こんな片隅で連中を観察してんのよ」
・・・なぁ、『好き』ってなんだろうな・・・。
「・・・は?誰かが誰かの事を良いな・って思ってるとかそんな感じでしょう?」
・・・そうか・・・・・・。
「・・・塞ぎ込むなんてあんたらしくない。とっとと済ましてきなさいよ」
・・・・・・・・・・・・。
「・・・。ねぇ魔理沙。私はあんたのことが好きよ」
は!?何を言って・・・!!
「でも、あんたはあいつのことを選んだんでしょう?あいつのことが『好き』なんでしょう?だったらそう伝えなさいよ。・・・私の事は、良いから・・・」
・・・あぁ、いってくるぜ。アリス・・・ゴメンな・・・・・・。
・・・違った・・・アリガトな、アリス。
白黒の魔法使いは立ちあがり、地下の大図書館へと向かった。彼女を動かしたのは、七色の魔法使いの透き通った泪だった。
邪魔するぜ!!!
「ッ!ゴホッゴホッ!!・・・あなたは、ドア・というものを知らないのかしら?あなたがたった今しがた、穴を開けた壁の僅か1m程右に二枚の木板があるでしょう?文化を知る人間・妖怪はそれを開いて部屋に入るの」
なんだ?んじゃあ私はそのドアとやらに穴を開ければ良かったのか?
「不正解よ。最初にドアノブを掴み、捻る。そうすると、木板は前後に動けるようになるから―――」
あぁ!もう!!んな説明いるかよ!馬鹿にしてるのか?
「あなたがドアの使い方が分からないようだから――」
違えよ。ドアの使い方が分からないんじゃない。そ・・・その・・・私とお前の間にある、壁が邪魔だったんだよ・・・そ、それをだな・・・
「顔、真っ赤よ?白と黒以外にも赤まで取り入れたの?」
だ、だいたいそれにいつも、お前は侵入されないように魔法を掛けているじゃないか。
「今日はパーティが催されているのに、そんなことして関係の無い人達まで犠牲にするわけは無いじゃない・・・」
・・・だってよ・・・
「取り敢えず、そこの椅子に掛けたらどう?お茶くらいは出すわよ」
・・・今日はあの司書はいないのかよ?
「あの子もパーティに出てるわ。折角の機会に羽を伸ばさせてあげないと」
てことは、ここにいるのは・・・
「何か言った?」
い、いや!何も・・・
「・・・・・・」
・・・なぁ、『好き』ってなんだろうな・・・。
「・・・『嫌い』の対義語よ」
じゃあ、パチュリー。お前は私の事、好きか?嫌いか?そりゃ、私は毎日のように図書館の壁を壊し、ここの書物を無断に持ち出したり――
「魔理沙。それはこの際良いわ。でも――」
良いわ・っておい、私の質問――
「でも、あなたはどうなの?わざわざおいで下さったのだから、聞かせてくれないかしら?『あなた』は『私』をどう思っているのかしら?好き?嫌い?」
昂った魔理沙の心を見透かしながらパチュリーは静かに微笑みかける。
私は・・・私は、パチュリーの事が、好きだぜ・・・
その・・・私と踊って・・・
「あら、あなたの開けた壁のお陰かしらね?音楽が聴こえてくるようだわ・・・読書の合間の運動がてら、ダンスに付き合って下さらない?」
・・・ずるいぜ・・・パチュリー。
「何の話かしら?ほら、手を取って・・・そう、良い?1(アン)2(ドゥ)3(トロワ)で半回転するわよ?」
・・・あ、あぁ。大丈夫だぜ・・・・・・。
「・・・魔理沙。やっぱりあなたは壁を壊すべきでは無かったわね・・・」
はい?どうしたんだぜ?一体?
「3(トロワ)で分かるわ」
・・・?
「1(アン)2(ドゥ)3(トロワ)」
パチュリーが壊された壁に背を向け、魔理沙は壁の方へと目を向ける。
魔理沙が壁の方に目をやると、そこにあったのは紅魔館の面々、霊夢に早苗、それにアリスだった。
全員が全員、こちらの見てにやついている。
~~~~っ。そういうことか・・・。
あぁ、こんな恥ずかしい思いをしたのは久方ぶりだな・・・こんなに嬉しいのもだけどな・・・。
「――――」
とある日の夜の、紅魔館での出来事。
気まぐれな吸血鬼のお嬢様が自らの館でダンスパーティを催していた。
・・・あの騒霊楽団も、ちゃんとした音楽を奏でられるんだな。いつも騒がしいだけかと思ってたぜ。
あ、ほら見ろよ。あのメイド長、普段は澄ました顔しているクセに門番の奴に手を引かれて焦ってるぜ。頬が紅潮してるのがこっからでも分からぁ。
はは、見たか?今さりげなく、つまづいたぜ。らしくないとはこのことだな。必死になかったことにしようとしてる。
お嬢様は妹君と見学か、まぁ姉の方はともかく、妹の方は踊れるかどうかも分からんしな。
!おい見てみろよ、巫女が二人で踊ってるぜ。何気に上手いんだが、何も巫女装束でダンスを踊らんでもなぁ・・・
「というか、あんたは踊らないの?」
・・・別に、お前だって踊ってないじゃないか・・・・・・
「・・・見て分からない?踊ってる連中の周りで踊っている人形が。あれ操作するの、割と大変なのよ」
・・・・・・・・・。
「何であんたはわざわざパーティに来て、こんな片隅で連中を観察してんのよ」
・・・なぁ、『好き』ってなんだろうな・・・。
「・・・は?誰かが誰かの事を良いな・って思ってるとかそんな感じでしょう?」
・・・そうか・・・・・・。
「・・・塞ぎ込むなんてあんたらしくない。とっとと済ましてきなさいよ」
・・・・・・・・・・・・。
「・・・。ねぇ魔理沙。私はあんたのことが好きよ」
は!?何を言って・・・!!
「でも、あんたはあいつのことを選んだんでしょう?あいつのことが『好き』なんでしょう?だったらそう伝えなさいよ。・・・私の事は、良いから・・・」
・・・あぁ、いってくるぜ。アリス・・・ゴメンな・・・・・・。
・・・違った・・・アリガトな、アリス。
白黒の魔法使いは立ちあがり、地下の大図書館へと向かった。彼女を動かしたのは、七色の魔法使いの透き通った泪だった。
邪魔するぜ!!!
「ッ!ゴホッゴホッ!!・・・あなたは、ドア・というものを知らないのかしら?あなたがたった今しがた、穴を開けた壁の僅か1m程右に二枚の木板があるでしょう?文化を知る人間・妖怪はそれを開いて部屋に入るの」
なんだ?んじゃあ私はそのドアとやらに穴を開ければ良かったのか?
「不正解よ。最初にドアノブを掴み、捻る。そうすると、木板は前後に動けるようになるから―――」
あぁ!もう!!んな説明いるかよ!馬鹿にしてるのか?
「あなたがドアの使い方が分からないようだから――」
違えよ。ドアの使い方が分からないんじゃない。そ・・・その・・・私とお前の間にある、壁が邪魔だったんだよ・・・そ、それをだな・・・
「顔、真っ赤よ?白と黒以外にも赤まで取り入れたの?」
だ、だいたいそれにいつも、お前は侵入されないように魔法を掛けているじゃないか。
「今日はパーティが催されているのに、そんなことして関係の無い人達まで犠牲にするわけは無いじゃない・・・」
・・・だってよ・・・
「取り敢えず、そこの椅子に掛けたらどう?お茶くらいは出すわよ」
・・・今日はあの司書はいないのかよ?
「あの子もパーティに出てるわ。折角の機会に羽を伸ばさせてあげないと」
てことは、ここにいるのは・・・
「何か言った?」
い、いや!何も・・・
「・・・・・・」
・・・なぁ、『好き』ってなんだろうな・・・。
「・・・『嫌い』の対義語よ」
じゃあ、パチュリー。お前は私の事、好きか?嫌いか?そりゃ、私は毎日のように図書館の壁を壊し、ここの書物を無断に持ち出したり――
「魔理沙。それはこの際良いわ。でも――」
良いわ・っておい、私の質問――
「でも、あなたはどうなの?わざわざおいで下さったのだから、聞かせてくれないかしら?『あなた』は『私』をどう思っているのかしら?好き?嫌い?」
昂った魔理沙の心を見透かしながらパチュリーは静かに微笑みかける。
私は・・・私は、パチュリーの事が、好きだぜ・・・
その・・・私と踊って・・・
「あら、あなたの開けた壁のお陰かしらね?音楽が聴こえてくるようだわ・・・読書の合間の運動がてら、ダンスに付き合って下さらない?」
・・・ずるいぜ・・・パチュリー。
「何の話かしら?ほら、手を取って・・・そう、良い?1(アン)2(ドゥ)3(トロワ)で半回転するわよ?」
・・・あ、あぁ。大丈夫だぜ・・・・・・。
「・・・魔理沙。やっぱりあなたは壁を壊すべきでは無かったわね・・・」
はい?どうしたんだぜ?一体?
「3(トロワ)で分かるわ」
・・・?
「1(アン)2(ドゥ)3(トロワ)」
パチュリーが壊された壁に背を向け、魔理沙は壁の方へと目を向ける。
魔理沙が壁の方に目をやると、そこにあったのは紅魔館の面々、霊夢に早苗、それにアリスだった。
全員が全員、こちらの見てにやついている。
~~~~っ。そういうことか・・・。
あぁ、こんな恥ずかしい思いをしたのは久方ぶりだな・・・こんなに嬉しいのもだけどな・・・。
オチ好きです。
次回作にも期待しています