私がこの書物を発見したとき、埃に塗れた思い出は一世紀ぶりに現世を見た。 百年前の転生の折、こぼしてしまった記憶の残滓が、私にページをめくらせる。 前代稗田乙女の残したそれには、ただ「備忘録」と銘打たれていた。――第十代稗田乙女の手記、断片