「愛してるって言って」
「はぁ?」
ぽかぽかとした春の陽気の中、ほとんど参拝客のこないここ博麗神社で
のんびりとお茶をすすっていたら、緊急事態発生。
私の恋人でもあるアリス・マーガトロイドはいきなり意味不明な台詞を吐いてきたのである。その台詞が冒頭だ。
「愛してるって、言って」
視線を私に向けないまま、彼女はまたそう言った。
それによって、聞き間違いという私にとって一番救われる選択しが無残に排除され、
私は少し落ち込んだ。いや、思いっきりか。
何でそんな欲求をするか理解できない。
それに、そんな臭い台詞を言ったら私は恥ずかしくて死んでしまう。
何故なら、そう。私はそう言った甘い言葉を口にするのが苦手なシャイガールなのだ。
「・・・言ってくれないの?」
つまんないの、というようにアリスは溜息を吐く。
そんな彼女の態度に、私は少し、ほんの少ーし頭にきてしまって、
「…どうして言ってほしいのよ?」
こみあげてくる怒りに似た何かを理性で抑えつけながら、アリスに聞いてみる。
「霊夢が言ってくれないからよ」
恨めしげに睨んでくる自称都会派人形遣い。ちょっと怖い。
いや、確かに言ったことないけどさぁ。
アンタだって、愛してるなんて言ったことないじゃないか、
いつも愛情表現してるのは私の方だし、自分のことは棚に上げてなんて奴。
そんな私の考えに気付いたのか、アリスは口をとがらせ、ぽつりと呟く。
「霊夢は私のこと好きじゃないの?」
「い、いやそういうわけではないけど」
アリスの言葉を、必死に否定する私。
もちろん、私はアリスが好きだ。好きでなければ付き合ってなんかいない。
アリスのためならば、たとえ火の中弾幕の中、妖怪にもなれる(?)
でも愛してるだけは言うことができない。何故なら私はシャイガ(ry
「だいたい、そんなこといちいち言わなくてもわかるしょう。」
「いいえ、言葉にしてくれないとわからない。」
そう言い、ニヤニヤしながら期待に満ちた目でこちらを見てくるアリス。
いいからさっさと言えよヘタレ巫女。
そう思っているのがひしひし伝わってくる。
やはりここは観念して、覚悟を決めろということなのか――
いや、まて。ここは発想の逆転よ霊夢。
頭の中で急に何かがひらめき、私を期待の目で見つめてくるアリスを見ながら思う。
きっとアリスは、私がそんな台詞を言えるわけないと思っているのだ。
つまりそう、顔を真っ赤にして慌てる私を想像し、心の中でうきうきるんるんきゃっきゃしている。
ならばここはいっそ腹を決めて、目の前の極悪魔女をぎゃふんと驚かせてやればいい話ではないか。
そう思うと、急にやる気が出てきた。人間って不思議。
うつむいていた顔をあげ、アリスにぐんっと顔を近づける。
少し動けば顔がくっついてしまいそうなほどの距離。
いつもクールでがんがん攻めてくる奴ほど攻められると弱いってけーねが言ってた。
ここで私がはっきりとその台詞をいってやれば、アリスは慌てふためくに違いない。
綺麗な彼女の瞳を見つめながら、私はゆっくりと深呼吸をして―――、
「愛してるわ、アリス。」
…よし、言った。言ってやった。よくやったぞ私。
思ったより恥ずかしくなかった、えぇそうよ別に今すぐ穴の中に入りたいなんて思ってないわ。だって私は博麗の巫女。パーフェクトヒューマンだもの。
心のなかで自分をべた褒めしながらアリスを見やる。
しかし彼女の顔はほんのり紅潮していたが、期待していた驚きの表情はなく。
「そう…ありがと、霊夢。私も霊夢のこと愛してるわ。」
そんな台詞をいってきたのである。
しかも心底幸せそうに笑いながらだ。
「え、ちょ」
話が違う。
そんな言葉が頭に浮かび、私の頭はパニック状態だった。
え、何。さっきまでクールに振るまってたくせに、何で急にデレたのよ。何、デレ期?デレ期なの?
そんな私の気も知らず、何とアリスは私に抱きついてきた。
「え、アリス!?」
ますます混乱するが、子供のようにスリスリと甘えてくるアリスが可愛くて、
とりあえずアリスを抱きしめ返す。
しばらくそうしてると段々落ち着いてきて、アリスの方を見ると、ふいに彼女と眼が合った。
そうするとアリスは私をじっと見つめ、微笑みながらこんなことを呟いてくる。
「本当よかったぁ、言ってくれて…霊夢最近かまってくれなかったから、嫌われたかと思ってて。本当はすごく不安だったの。」
――なるほど、それで今日は機嫌が悪かったのか。
納得しながら、私はゆっくりとアリスの頭をなでる。すると彼女はくすぐったそうに身を捩りながらも、申し訳なさそうな顔をした。
「…でもごめんね?霊夢恥ずかしかったでしょう。」
私はそんな彼女にゆっくりと首を振った。確かに恥ずかしかったけど、
アリスを不安にさせてしまった私が悪いのだし、何かさっきまでの自分の中での葛藤があほらしくなってきて、私はつい口を滑らせてしまった。
「全然平気よ、アリスのためならあれくらい楽勝だわ。」
「え、ほんとに?」
あ、ヤバイ今問題発言したかもしれない。
というか完全にしたな、これは――
そう思ってもすでに遅く、アリスはかなりうきうきした様子だった。
「じゃあ…もう一度言ってくれない?」
嫌な予感は命中し、予想通りのお願いをしてくるアリス。
子供のように期待で目を輝かせる彼女に断れるはずもなく、私は観念して期待に答えてやることにする。だが、私だけ何度も恥ずかしい思いをさせられるのは不公平だ。
「いいわよ。でもね、一つ条件。」
「うん、なぁに?」
アリスを抱きしめる腕に力を込め、鼻と鼻がくっつくくらいアリスを抱きよせる。
綺麗な顔立ちを見て、さっきよりもずっと心拍数が上がっていく。
そして、どうしようもなく緊張しながらも、私は――言った。
「私にも、たくさん愛してるって言ってよ…。私だって、アリスに嫌われてないか不安になる時だってあるんだからね?」
ああ、なんて恥ずかしい台詞。
きっと今の私の顔は情けないくらい真っ赤なのだろう。
でも、それでもいいかもしれない。だって―――、
「わかった…楽しみにしててよね、霊夢。」
貴女が、本当に幸せそうに笑うから。
ちょっとくらい恥ずかしい思いしてもいいかな。
そんなことを思いながら、私は彼女の耳元に唇を寄せた。
もっと広がれレイアリの輪!!
愛してるって言おうと思ったら手が震えてお茶をこぼして服にかかったお茶を拭こうとするアリスさん、ちょっとどこ触ってんのよ、濡れた服のままだと風邪引くからぬg(ry
すいませんでした、今後にも期待してますので頑張ってください。
もっと、もっと広がれレイアリの輪!!!
何が言いたいかというと私もアリスが大好きです。
ちょっとこのウブい感じがたまらないんですけど!!
次作も期待させてもらいます!!
ニヤニヤがとまんねぇよ!!
もっと広がれレイアリの輪!
今後どのようなお話を投下されていくのか、楽しみにしております。
ともかく、初投稿おめでとうございます。
>私にとって一番救われる選択しが無残に→選択肢が、の方が読み易いですね。
>何でそんな欲求をするか理解できない→そんな要求を、かな。
>嫌な予感は命中し、予想通りのお願いを→嫌な予感は的中し、ですかね、よく使われるのは。
>私は観念して期待に答えてやることにする→期待に応えて、ですね。