世界はこんなにも、どうしようもなかったことで満ち溢れている。
例えば私の場合は、生まれてからずっと地下に幽閉され続けてきたこと。
母の顔も、父の顔も、もはや記憶のかなたに追いやられて思い出すことすらできもしない。
気が狂いそうな恒久の時間。いや、私はきっとそのときに狂ってしまったのだろう。
深い悲しみと寂しさの中、私に希望を与えてくれたのが、本に記された魔法の力。
何かが変わる。何かが終わって、そして始まる。そんな気がした、あの頃の私。
思えばきっとこの日、私の運命は廻り始めたんだ。くるくると回る歯車のように。
魔法少女マジ狩るフラン、始まります。
▼
「いや、始まんないからね?」
「えぇぇぇぇぇぇぇ?」
麗らかな午後の昼下がり、饒舌に熱弁した小悪魔の提案を、部屋の主である少女はばっさりと斬って捨てたのであった。
無論、当の小悪魔からはぶーぶーと不満の声が上がるものの、少女―――フランドール・スカーレットは盛大なため息をひとつつく。
「だって妹様、魔法少女じゃないですか。魔法少女といえば熱血バトル、これに尽きますよ!!」
小悪魔の言葉ももっともだ。フランはちゃっかり魔法を使え、それを弾幕ごっこなどに応用したりと幅広く活用している。
生まれ持った能力に加え、魔法も使えたりと、それはある種の才能というやつだったのだろう。
もっとも、生まれてこの方地下室での幽閉生活で、特にすることもなかった彼女が魔法に興味を持ったのはある種当然だったのかもしれないが。
「確かに私は魔法使うけど、そんな素っ頓狂な肩書きを持った覚えないし、それに第一さぁ」
不満たらたらな様子の小悪魔に、フランはなんだか微妙な顔をして、そして一言。
「495歳で、魔法少女ってどうなの?」
静寂が―――辺りを支配する。
何か気づいてはいけないことに気づいてしまったかのように、小悪魔は冷や汗を流しながらゆっくりとそっぽをむく。
フランドール・スカーレット。金髪に陶磁のような白い肌に加えて真紅の瞳と、見た目こそ可憐な少女ではあるのだが、吸血鬼という種族のとおり見た目どおりの年齢ではないのである。
しかし、何かいいことを思いついたかのように、小悪魔はふっふっふっと不敵に笑い始めた。
正直ちょっと怖い。半歩後ずさったフランは何も悪くあるまい。
「いいですか、妹様。世の中にはですね、19歳でも魔法少女(笑)で通じるんですよ!」
「駄目じゃん!!? (笑)ってついてる時点で色々アウトだよ!!? その約26倍生きてる私なんてなおのことアウトじゃんか!!?」
「かまいません妹様!! 大きいお友達は妹様ぐらいの外見なら納得してくれます!!」
「何さ大きいお友達って!!? それってただのロリコンという変態の間違いじゃないの!!?」
「何を失敬な!! 彼らは変態という名の紳士です!! そして私も変態という名の淑女です!!」
「紳士じゃないよそんなやつら!! 仮に紳士だったとしても紳士(笑)じゃない!! そしてそんな事実聞きたくなかったわよコンチクショー!!」
小悪魔とフランの言葉の応酬はとまることを知らず、ギャーギャーとやかましくなるフランの私室だったが、ここは特殊防音が施された部屋なので騒ぎ放題である。
小悪魔としては、フランに魔法少女をしてもらいたい。
フランは絶対にそんな頓狂なことに付き合いたくない。
見事に真っ二つに分かれた二人の意見。無論、そんなことで話し合いという名の口喧嘩に終わりが来るはずもなく、ぜーぜーと息を切らせてお互い机に突っ伏す始末。
「ねー、やりましょうよ魔法少女。ほら、これでうまく力が制御できていると証明できれば、お嬢様から外出の許可が下りるようになるかもしれませんよ?」
「む、それは確かに魅力的だけどさぁ……」
甘くねだるような小悪魔の言葉に、ちょっぴり心動かされるフラン。現在、彼女が自由に動き回れるのは館の内部と限定されている。
外出する際は姉のレミリア・スカーレットの許可が必要であり、それも許可が下りたことは片手で数える程度しかない。
あまり外に行きたいとは思わないフランだったが、自由に外出できるというのは魅力的に映るのである。
もうこれ以上、宴会のときに一人だけ留守番なんていう寂しさとはおさらばしたかった。
「私からも進言しますから、ね?」
「うーん……」
正直、小悪魔の進言でどれほど姉が心動かされるかはわからないが、何もしないよりはましだと思う。
無論、ばれてしまえば姉は怒るだろうが、完全な自由の魅力はやはり捨てがたい。
僅かな間。けれど思考は数多に渡り、下された結論はただひとつ。
「そうね、やってみようかな。魔法少女」
「やった。そうこなくちゃいけません、後悔させませんよ妹様!! さ、魔法少女といえばまずはゴスロリファッションです!!」
「早速後悔したよ馬鹿小悪魔!!」
ずらりと何処からともなく衣服を取り出す小悪魔に、フランが力いっぱい叫ぶが、当然のごとく周りに届くはずもなく。
かくして、ちゃんと考えた結論だったはずなのだけれど、早くも心が折れそうになるフランドールであった。
▼
満月が輝く月の夜。妖怪が蠢く世闇の中、夜空を翔ける影が二つ。
「待ちたまえよ魔法使い!! その宝塔を返してもらおうか!!」
「待てといわれて待つ奴はいない! それに、コイツはありがたく借りていくぜ。なぁに、私が死んだ後で返してやるさ」
「戯言だよそれは!!」
箒に跨り疾走する魔法使いと、その魔法使いを見逃すまいと必死に追いすがるネズミの妖怪。
魔法使いは霧雨魔理沙、ネズミ妖怪はナズーリンという名であり、二人は決して知らない仲などではない。
だがしかし、魔理沙という少女は手癖が悪いのは周知の事実。
ナズーリンの主である寅丸星が無くしてしまった宝塔を探しに着てみれば、まさか先に魔理沙が見つけていたとは運が悪い。
あれだけはなんとしても取り返さなければならない。ナズーリンには主人の信頼が肩に乗っかっているのだから、あの情けない主人の顔を曇らせたくはなかった。
だがしかし、二人の速度の差はあまりにも絶望的だった。あわや振り切られるかと思ったその時。
「待ちなさい、魔理沙!!」
「っ!!?」
唐突に響いた、凛とした声。力強く耳に入り込んだのその音は、二人がいる場所よりも上空から聞こえてきたものだった。
魔理沙が、そしてナズーリンもが空を見上げると、満月を背後に浮かぶシルエット。
「卑しき人の業を背負いし者よ。さぁ、我が姿を見るがいい。そして恐れ、震えよ!! この私がいる限り、どんな悪事も許さないわ!!
魔法少女マジ狩るフラン、ここに推参!!」
ビシッとかっこよくポーズを決めた少女が朗々と宣言する。
赤と黒のゴスロリファッションに、手にはいつものスペードをかたどったような歪な杖。月をバックにした決めポーズの出来もはや文句なしといったところであっただろう。
しかし、帰ってきたのは無言の沈黙のみ。
数分間の沈黙はやけに長く感じられて、突然現れた少女も逃げていた少女も追っていた少女もピクリとも動かない。
そしてようやくつむがれた言葉は、ただ一言。
『……うわぁ』
露骨にドン引きされている反応であった。しかも二人同時に口にする始末である。
「いや、フラン。さすがに吸血鬼で魔法少女は……その、なぁ」
「あ、いやうん。確かに君は外見上若いが、その……もうちょっと実年齢を考えてはどうか?」
「言われると思ったわよコンチクショォォォォォォ!!!」
今まで敵対していたはずの二人に一致団結された上に駄目だしまで受けてフランは涙目で大絶叫。
さもありなん。彼女とて本当はこんなことやりたくはないのだが、やはり自由という二つの文字はとてつもなく魅力的であったのだ。
たとえるなら福岡県民にうま○っちゃんぐらいに魅力的な話である。
「小悪魔、だから言ったじゃない!! やっぱり私に魔法少女は無理があったんだって!!」
「こぁ~っ、こぁっこぁっこぁっこぁっこぁっこぁ!! 何をおっしゃいます妹様、私が用意したゴスロリドレス、お似合いですよ?」
「腹立つんだけどその笑い方!!?」
もはや決めポーズもくそもあったものではない。魔法少女のマスコットの役割なのか、小人のように小さくなった小悪魔に思いっきり食って掛かるフランだったが、彼女は奇妙な笑い声を上げてご満悦であった。
フランはというと、やはり慣れない服が恥ずかしいのか顔を真っ赤にして子悪魔をにらみつけるのだが、小悪魔を悦ばせるだけでちっとも効果なし。
う~と唸るそのさまは彼女の姉を彷彿とさせるのだが、無論、それを指摘したところで彼女は不機嫌になるだけなので小悪魔はスルーして彼女に耳元でささやきかける。
「ほらほら、そんなことより今は正義の魔法少女としてのお勤めを果たしてくださいな」
「ねぇ、私ってむしろ悪役のほうじゃないの?」
「何をおっしゃいます、かわいいは正義、つまり妹様は正義です!!」
そろそろ付き合いきれなくなってきたか、フランはげんなりとした様子で眼下に視線を向ける。
これ以上、小悪魔の会話に付き合っていても埒が明かない。とっとと成果を出して早く終わらせよう。
魔理沙には悪いけどと、内心で親しい関係の彼女に謝りながら、二人に視線を向け。
「あぁ!!? 返せよそのお宝!!?」
「ハハハハハハ!! 何を言う魔法使い、これはもともとご主人の所有物だよ!!」
魔理沙の手にあった宝塔を奪還して、脱兎……いや、脱鼠のごとく逃げ去っていくナズーリン。
鼠だけあって逃げ足は速く、魔理沙も舌打ちしながら彼女の後を追っていく。
結果、この場に残ったのはフランと小悪魔だけとなったわけで。
「……え、この敗北感は一体どうしたらいいの?」
ひゅーっと季節はずれの冷たい風が吹く。
取り残された二人。一人は物寂しそうにたたずむものの、もう一人はなにやらいまだに熱弁を絶やさずに喋りまくっているのであった。
▼
「あ、あの……早苗、今日は本当に駄目、なんだってば」
「ふふふ、何をおっしゃいます小傘さん。試してみたいんですよ、縄とか」
「ひぃぃぃぃ!! さでずむ反対ぃぃぃぃぃぃ!!」
とある神社の縁側にて、月夜に照らされた人間と妖怪が争いを繰り広げている。
といっても、片方が縄をもったまま追いかけて、片方が涙目で逃げまくるという単純な構図であったが。
問題は、追いかけてるのが人間で、逃げ回っているのが妖怪ということか。
人間の名は東風谷早苗、妖怪のほうは多々良小傘という。
これまた二人は知った顔である。というより、むしろ親しい関係の間柄なのだが、困ったことに早苗が色々と暴走している結果がこの状況なのであった。
そして、現在は早苗の親代わりとも言うべき神様二人は留守でいない。南無三。
「待ちなさい、風祝っ!!」
そんなときに、唐突に響いた凛とした声。力強く耳に入り込んだのその音は、二人がいる場所よりも上空から聞こえてきたもの。
早苗が、そして小傘が空を見上げると、満月を背後に浮かぶシルエット。
「卑しき人の業を背負いし者よ。さぁ、我が姿を見るがいい。そして恐れ、震えよ!! この私がいる限り、どんな悪事も許さない!!
魔法少女マジ狩るフラン、ここに推参!!」
ビシッとかっこよくポーズを決めた少女が朗々と宣言する。
赤と黒のゴスロリファッションに、手にはいつものスペードをかたどったような歪な杖。月をバックにした決めポーズの出来ももはや文句なしといったところであっただろう。
でも残念。その表情はちょっぴり涙目であったりする。
そして案の定、帰ってきたのは無音の沈黙のみなのだから、フランの心は今ぎりぎり絞られたかのように痛んでいる真っ最中。
「……ねぇ、やっぱこの登場シーンやめない? なんかものすごくドン引きされてるんだけど」
「くま~、くまっくまっくまっくまっくまっくまっ!! 何をおっしゃいます妹様、かっこいい名乗りは魔法少女のステータスですよ?」
「だから腹立つって言ってるじゃんその笑い方!! ていうかさっきとほぼ変わってないし!!?」
早苗たちからまったく反応がないので隣のマスコットと化した小悪魔に話しかけるのだが、彼女の妙な笑いで心がささくれだすフランドール。
そろそろグレてしまおうかと本格的に画策中。彼女のガラスの心は脆そうな表現そのままに今にも砕け散りそうだった。
その瞬間。
「ノゥ!! 断じてノゥッ!! あなた達は魔法少女をなめてるんですか!!?」
『はいっ!!?』
早苗から意外な言葉が飛び出して、その場にいた全員が素っ頓狂な声を上げるはめになってしまった。
そんな彼女たちの反応など露知らず、力いっぱい力説を始める東風谷早苗。
「魔法少女といえばカード○ャプターと相場が決まっています!! あれこそが至高であり最高の魔法少女アニメでした。
それが何ですか最近の魔法少女は!!? 何ですかあのビーム兵器!!? あんなの魔法じゃなくてただの近未来兵器じゃないですかっ!!」
「あの~、もしもーし」
ぬぅおぉぉぉぉぉぉ!! と、顔を抑えてすさまじい仰け反りを披露する東風谷早苗。その唸り声はまさに地獄から響く亡者の声のようであった。
その尋常ならざる様子にさすがにフランが心配そうに声をかけたのだが、当の彼女には聞こえていないらしい。
そしてふと、早苗のそばにいた小傘と目が合った。
彼女はしばらく思案した後、困ったように笑みを浮かべると、そして言葉をつむぎだしていた。
「あなたの助けを待っていたよ、魔法少女マジ狩るフラン」
「ノッてくれたぁぁぁぁぁぁぁぁ!!?」
まさかの事態にたまらず大声を上げてしまうフランドール。
まさか自分たちの奇行に律儀に付き合ってくれる幻想郷の住人がいるとは露にも思わず、あまりの感動に思わず涙がちょちょ切れそうなフランであった。
「やばいよあの子、ものすごくいい子だよ!!? こんなことに付き合ってもらって申し訳ない気持ち大爆発だよ!!? 感動で私の心が砕けそう!!」
「何のことかな、私にはよくわからないよ。ね、早苗?」
「そのとおりです、魔法少女マジ狩るフランよ!! 彼女を助けたければ、私の屍を越えて行きなさい!!」
「やめて、これ以上砕かないで私のグラスハート!!」
そして早苗までノリノリで悪役を買って出たもんだから、フランの涙の堤防が決壊寸前である。
あふれ出そうになる感動の涙を押しとどめ、気を引き締めて愛用の杖を構えると、早苗は微笑みながら上空に躍り出ていた。
お互いにスペルカードを構え、不適に笑いあう。今まさに、スペルカードルールによる弾幕ごっこが繰り広げられようとしていたその時。
「……ねぇ、二人とも。あそこ」
『へ?』
唐突に上がった小傘の声に、二人は間の抜けた声を上げながら、小傘が指を向けた方向に視線を移すと。
「いやー、いいアングルですね。高く売れそうですし、いい新聞のネタにもなりますよ。さすが小悪魔さん、いい仕事してます」
「ふふふ、射命丸さんも悪よのぅ。焼き増し、お願いしますね?」
「もちろんですとも小悪魔さんや」
悪代官のような会話を繰り広げる鴉天狗の射命丸文と、先ほどまでフランの隣にいたはずのマスコット小悪魔。
そんな会話を繰り広げる最中もカメラのシャッターを切りまくる文はある意味でプロの新聞記者のごとき働き振りであった。
無論、フランにとってはそんなこと知ったことではないし、こんな恥ずかしい格好を新聞にされるなんてたまったもんじゃないわけで。
「……あ」
そして、視線がばっちり絡み合う。
訪れた沈黙は、果たしてどういった類のものであったのか。
重苦しい沈黙。ゆらりゆらりとフランの体からあふれる魔力が蜃気楼のように揺らめいている。
張り詰めた緊張の中、誰もがフランの心境を悟っていたことだろう。
あれは―――怒っていると。
「あーやややややややややややややややややや!!」
「こぁーっくまっこぁっくまっこぁっくまっこぁっくまっ!!」
「待てコラァ!!」
そしてそんな中においても、奇妙な哄笑を上げながら逃げ去っていく二人はある意味で猛者だった。
無論、そんな二人を放っておくはずもなくすぐさま追いかけていくフラン。
しかし悲しきかな、幻想郷最速の二つ名は伊達ではなく、今はまださほど離れていないが徐々に離されていく。
文の肩にのって楽をしている小悪魔がひどく恨めしく感じたのはきっと気のせいではあるまい。
「鴉天狗、どうしてアンタがあんなところにいたのよ!!?」
「いえいえ、侵入者の報告があったもんですから急いできてみれば、吸血鬼の妹君が魔法少女などということをやっていたモンですから、これはシャッターチャンスだと思いまして!!」
「ですよねぇー!!?」
よくよく考えればそのとおりなのだ。ここは守矢神社、つまり妖怪の山の真っ只中だ。
そんなところに吸血鬼が侵入すればてんやわんやの大騒ぎになるのはわかりきった事実。
そこに速さ、実力共に優れた文が調査に向かわされることぐらい予見できたはずなのだ。
そこは仕方がない。自分の落ち度だと認めよう。
しかし、どうしても納得のいかないことがフランにはあった。
「小悪魔!! あなたどうしてそっちについたのよ!!?」
「いえいえ、この分だともうその格好はしていただけなさそうですし、新聞のネタを提供する代わりに写真をもらおうかなーと思いまして。観賞用とお嬢様買収用と各二枚ずつ」
「最悪だよこいつ!!?」
もう本当に色々最悪であった。とりあえず、小悪魔の処罰は後ほどパチュリーと相談するとして、今は現実問題に向き合わなければならなかった。
あの写真が幻想郷中にばら撒かれたら、それこそ外に出ることができなくなってしまいそう。
自由なんてもう遠い場所にいってしまう。それだけは何が何でも防がなければいけない。だって、どう考えても身の破滅である。
「『卑しき人の業を背負いし者よ。さぁ、我が姿を見るがいい。そして恐れ、震えよ!! この私がいる限り、どんな悪事も許さない!! 魔法少女マジ狩るフラン、ここに推参!!』
明日の一面はこれで決まりです!! さぁ楽しみにしていてくださいフランさん、あなたの活躍は私が余すことなく伝え―――」
つむごうとした言葉が、目の前の光景にたまらず飲み込まれた。
―――禁忌「レーヴァテイン」
満月を背景に杖を構えた魔法少女が、大きく振りかぶったまま、静かな声でスペルカードを宣言する。
歪な杖から生まれた炎が、産声を上げるかのようにごうごうと燃え上がった。
やがてそれは渦を巻いて杖に纏わりつき、高密度に圧縮されたその炎はまさしく業火の剣だった。
雄々しく、苛烈で、巨大で、それでいて美しいと感じる剣を、少女は無感情な表情で振りかぶったまま―――
「チェストォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!!」
裂帛の気合と共に振り下ろし、悪の新聞記者と裏切り者を吹き飛ばし、もののついでに地球がぱっくりと真っ二つに断ち割られたのであった。
▼
かくして、一連の騒動は幕を下ろした。
地球は八雲紫とかパチュリー・ノーレッジが「ぬぅんっ!!」と気合で修復し、勢いあまって余計な被害を出してしまったフランは自主的に閻魔や各面々に謝って回ったそうな。
幸い、早苗の尽力もあって奇跡的に死者も出ることもなく、怪我人も鴉天狗と小悪魔の二名だけですんだので、なんやかんやでお許しが出たのは幸いだったのだろう。
今後、自分が自由になるためにはまだまだ学ぶことがあるとわかったフランは、多くを学ぶために紅魔館でしばらく自主謹慎をすることになったとか。
かくして、あらゆるものを受け入れる幻想郷。ちゃっかり人類滅亡の危機に瀕したことなど誰も気づくことなく、今日もみな平和に毎日を送っているのであった。
「妹様、今度は魔法少女ヤンデレフランとかどうですか!!?」
「全然懲りてないよコイツ!!?」
続かない。
ノリノリな早苗にニヤニヤしながら読みました。
地球を気合で直す紫様とパチュリーも面白かったですよ。
誤字かな?と思うものがあったので報告です。
>小悪魔は冷や汗を流しながらゆっくりとをっぽをむく。
『そっぽをむく。』ではないでしょうか?
許せる、495歳でも許せる
こがさなおいしいです(^q^)
紫とパチェがいれば地球も安泰だな。
フランは可愛いすぎるし。
実はこの騒動の後、紅魔館に帰ったらお嬢様がフランのドロワ被っていたりしませんかwww
そして、第二期待ってますww
>あ、あの……早苗、『今日は』本当に駄目、なんだってば
いつもはナニやってんのか詳しく報告よろ。
え、こちらは495歳? そこは、愛で補完ですよ!ww
早苗さんの年齢が自分と同年代っていうのがはっきりわかりましたwww
ここが限界だったwww
とりあえずこのテンションは正常ですね、分かります(^q^)
あれ逆に笑いにくいよw
レミリアも外出許可だすなよw
割と本気で
ついでにマジ狩るで少年誌じゃ限界ドライブなあの漫画を思い出してしまったw
しかし19歳でミニスカツインテ魔法の杖はやっぱり無理があると思うんだ。
某魔砲少女とカードの魔法少女ですが汎用性等を考えればカードの魔法少女に
軍配が上がるでしょうね。
P.S アニメの方のカードの魔法少女は現在NHK BShiで毎週木曜日に再放送中
ですよ。
さっすが早苗さんよくわかってらっしゃる
「何のことかな、私にはよくわからないよ。ね、早苗?」
「そのとおりです、魔法少女マジ狩るフランよ!! 彼女を助けたければ、私の屍を越えて行きなさい!!」
「やめて、これ以上砕かないで私のグラスハート!!」
なんか銀魂の吉原編思い出したwww
>マジ狩る
寧ろ、本家の方がそうなのでは…
あれは魔法少女って気があまりしない
フランにとっての自由の魅力が凄まじいこともよくわかった福岡県民
早苗さん、分かってらっしゃる!
小傘もグッドジョブ!
早苗さんが、青い空に飛行機雲とか歌い出しそうである
ご馳走さまでした
いいぞ、もっとやれ
面白かったですw
だがすまん
私はふたりは(ここ大事)○リキュアの戦い方が好きなんだ
遠距離でなくたって、道具使わなくたって・・・良いじゃない!徒手空拳な魔法少女!!
あ~すっとした。では、続きを読みに行かせてもらいます
どうあれフランにゴスロリコスチュームを着せた小悪魔ぐっじょぶ。
ミ○キー○モではダメですか?
あと早苗さんの淑女(笑)感が堪んないwwww
P.S.タグに魔法少女シリーズを入れてください。
ああ、ダメなレミリアが目に浮かぶ…………ニヤニヤ
このパチュリー絶対マチョリーだろw
「少し…頭冷やそうか?」
フランちゃんかわいいよフランちゃん
あ、小悪魔さん。写真私にもくださいね