「霧雨魔法店主催ー」
木々が太陽光を遮り,夏だというのにどこか肌寒さを感じさせる魔法の森。その一角にある『霧雨魔法店』と書かれた看板が立つ家の庭先で、魔理沙は声を上げた。
「第二回!チキチキ幻想郷夏の激辛鍋我慢大会ー」
そこまで言い切ると同時に、彼女は己が右腕を高く突き上げた。まるで『私について来い!!』と言わんばかりのその姿に―――
「・・・おー」
やる気の無い声で霊夢が答えれば。
「・・・・・・」
続くアリスは呆れた顔で魔理沙を見つめていた。
「おい!もっと盛り上がれよ!!何だその淡白な反応は!?」
そんな2人の態度に声を荒げる魔理沙だが。
「盛り上がれって言ってもねぇ・・・」
「あなたの他には私達2人しかいないじゃない?」
2人の反応は冷めたままなのであった。
アリスの言う通り、この場にいるのは霊夢・アリス・魔理沙の三人だけである。
それに対しては魔理沙も疑問に思っていた様で。
「そうだよ!大体なんでお前らしか来てないんだよ!?私は片っ端から招待状を送ったはずだぜ?」
魔理沙の言うように今日行われるこの催しの旨は、他ならぬ魔理沙自身が伝えて回ったのだ。上は天界から下は地下まで、それこそ知った顔には全て。
「なんだよ!あいつら私が行った時には『楽しみにしてる』なんて言ったくせに、心の中では『行くわけねーだろwwwwテラアホスwwwww』とか思ってたってことなのか!?」
それゆえに魔理沙のショックも大きい。まさか自分がこんなに人望が無いとは思ってもいなかった。
「畜生・・・なんだよ・・・そんなに私が嫌いだってか・・・だったら始めから言えって・・・」
どんどんネガティブになっていく魔理沙。それを見かねたのか今まで黙っていた2人が口を開いた。
「「魔理沙・・・」」
「・・・なんだよ?」
不貞腐れながらも魔理沙は思った。何だかんだでこの2人はこうして集まってくれている。
やはり自分にとってこの2人は最高の―――
「「自業自得ね」」
―――前言撤回。こいつら最低だ。
「何でだよ!?私が何したってんだ!?じゃあそもそもなんでお前らは来たんだよ?」
「タダで物が食べれると聞いて」
「霊夢が来ると聞いて・・・あんた前回の惨状覚えてないの?」
「前回・・・?」
昨年の夏に行われた記念すべき第一回幻想郷夏の我慢大会。
参加者は今回の比ではなく、知っている顔はほぼ集まっていた。そして各々の勢力がそれぞれに激辛鍋を作っているその光景は、異様なほどのオーラを醸し出していた。
そもそもこの大会のルールは各チームが作った鍋を皿に分け、全員が全てのチームの鍋を食べルことが前提となっている。そして一人でも食べきれない者がいたらそのチームは敗北となってしまうのである。―――つまり結局己が味付けした鍋も食さなければならないから、辛くしすぎた鍋はそのまま自分の首を絞めることになる。
しかしながら負けず嫌いな彼女達のこと。お互いの鍋を見ながら競うように香辛料を投入していき・・・あたりには強烈な刺激臭が漂い始めるにまで至った。
その中でも一際異質な光景を放っている一角があった。
「ねぇアリス?」
「どうかしたのかしら?」
「これは何?」
「鍋ね」
「いやそうだけど。今日は“激辛”鍋を作るのよね?」
「そうね」
「じゃあこの目の前にあるこれは何?」
「鍋ね」
「だから鍋ってのはわかってんのよ!?私が聞きたいのはどうして私達は『水炊き』なんぞを普通に作っちゃってるってことよ?」
刺激臭が充満しつつある危険空間の中――――
霊夢とアリスの鍋からは爽やかなダシの香りが漂っていた。
「どうしてって言われても・・・私はただ持ってきた材料を使ってるだけよ?辛味担当は魔理沙だし」
「そうよ!大体魔理沙の奴始まってからどこかに行ったきりぜんぜん帰ってこないじゃない!このままじゃ私達だけ風味豊かな鳥の水炊きを提供することになっちゃうわ」
「いいんじゃないの?別に辛いのを作らなきゃ失格なんてルールは無いわよ?」
「いやよ!!そんなんじゃカリスマ幼稚園児やカリスマ引き籠りに馬鹿にされるじゃない!」
『カリスマを付ければかっこよく見える』とはレミリアの弁である。
「馬鹿にされるような味付けはしてないわよ?」
「そういうことじゃないって言ってるでしょ!?第一あいつらにこんな美味しそうなもの食べさせるくらいなら、私が全部食べるわよ!!」
「『美味しそう』なんて・・・うれしいこと言ってくれるじゃないの。そりゃ私の愛が詰まってますからね、主にあなたへの」
「・・・なんか急に不味く見えてきたわ」
アリスがこの鍋に何か変なものを入れてなかったか思い出そうとする霊夢。『でもやっぱ美味しそうだからいいや』と考え始めた・・・その時―――
「――――おおっ、悪い悪い。遅くなっちまった」
本日の主役が到着した。
「遅いわよ!私がこの鍋の前でどれだけ(空腹的な意味で)我慢させられてたと思っているの!?」
「早いわよ!もう少しで霊夢が私の愛を食してくれるはずだったのに!!」
「・・・遅いんだか早いんだかわからんが・・・とにかく“モノ”は仕入れてきたぜ。鍋は・・・出来てるみたいだな。それじゃ主役の登場だ」
そう告げると、魔理沙は机の上に小瓶を置いた。
「これを取りに行ってたんだが・・・香霖のヤツ出し渋りやがってな。交渉の末借りて来たんだが・・・思ったより時間がかかってな」
「ふ~ん。で?何なのよそれ?」
「見たことないわね・・・」
二人の質問を受けた魔理沙は、得意そうに笑うと。
「よく聞いてくれた!これは香霖曰く『世界一辛いソース』と言われているものだそうだ。世界がどれほどのものかわからんが・・・少なくとも幻想郷よりは広いし、物も沢山あるだろ?つまり幻想郷にあるどんなものよりもこいつは辛いってことになるはずだ!!たしか名前は・・・何だったかな?香霖は「絶対に1滴以上使ってはいけないよ」とか言ってたが・・・まぁ少しくらいならいいだろ。まったく香霖もけち臭いヤツだぜ」
霖之助の警告を『大切なものだから余り使わないでくれ』と勘違いした魔理沙は、その小瓶を手に取るとおもむろに蓋を開けその3分の1を鍋に入れた。
その数分後、彼女は・・・いや彼女達は。霖之助の警告が『危険だから少量しか使っちゃいけないよ?』と言いたかったのだと気付くことになるのであった―――
「あーそんなこともあったな」
「『そんなこともあったな』じゃないわよ!お陰で私は鍋を食べれなかったのよ!!」
「それはその後のことが原因だった気がするけど?」
場所を魔理沙の家のリビングに移した三人は、紅茶を飲みながら昨年の惨事について話していた。
「その後?あぁレミリアと輝夜が皆に乗せられて“アレ”を食べるハメになって」
「食べて直ぐにあなたの家に飛び込んで・・・多分水でも飲んでたんでしょうね」
「少しして帰って来たときの2人は“いい笑顔”だったわ。思わずあの後人形作っちゃったもの」
「・・・まぁそうだな。」
「そして気付いたら美鈴と鈴仙が倒れていたんでしたっけ?」
「その後も次々に皆倒れてったのよ・・・それで背後に気配を感じて振り向くと」
「・・・・・・さっきの笑顔のまま手に鍋を持ったレミリアと」
「おたまを持った輝夜がいたのよね?」
「えぇ、流石にあの2人に全力で追いかけられたらたまんないもの。我ながら良く逃げ切れたと思うわ」
「お前らが逃げ切るために犠牲にされた、か弱い魔法少女については何か言うことは無いのか?」
「「自業自得ね」」
――――畜生・・・
魔理沙は心の中で苦々しく呟く。
声に出したら負けな気がした。
「まぁそんなこんなで大会はお開き。残った鍋は幽々子が美味しくいただきましたって感じだったわけだけど」
「皆が来ない理由はこんなとこじゃないかしら?」
そこまで聞いて魔理沙は黙ってしまった。
―――確かに前回の惨事は元をたどれば自分のせいだ。
霖之助の忠告を無視したせいであのような物ができてしまった。
確かにそれによる被害も大きかった。
それでも―――
―――それでも・・・楽しみにしてたんだけどなぁ・・・
元来こういったイベント事には目の無い魔理沙。それだけに今回も楽しみにしていたようで、見るからに気落ちしてる。それを眼前に2人は―――
「―――フッ」
「クッ――フフッ――」
笑いを堪えていた。
「・・・なんだよ。私の落ち込んでる姿はそんなに滑稽か?」
流石に魔理沙も頭にきたようで、今だ笑いを堪えている2人を睨みつける。
「アハハ―――違うわよ。あんたまだ気付かないの?」
その一言で魔理沙の表情が固まる。
―――気付かない?・・・・・・あれ?
そこで魔理沙は気付く、家の周りが明らかに騒がしくなっていることに。そして何より・・・この目に悪そうな刺激臭は・・・
「あなた肝心の集合時間を伝えてなかったでしょう?案の定来てみれば昨年よりもずっと早い時間に準備が終わってるし。」
「まぁつまりこれを楽しみにしてたのはあんただけじゃないってことよ」
相変わらずニヤニヤと魔理沙を見てくる2人、だが魔理沙の心に最早怒りは無く。
「さぁ、早く準備しなさいよ。主役がいなくちゃ始まら無いでしょ?」
「お腹減ってるんだから・・・とっとと準備して来なさい」
「ハハッ――――」
魔理沙の口から笑みがこぼれる。
「任せとけ!今回も“取っておき”を用意して在るからな!」
――――先に行っててくれ―――
そう告げると魔理沙は自室へと走った。
―――きっと今回もイベントは失敗するんだろうな
“取っておき”を見つけた魔理沙は今後の展開を考えて苦笑した
―――でもあいつら馬鹿だから・・・きっと来年もこんな頭の悪い大会に参加してくるんだろうな
「まったく・・・・・・企画するほうの身にもなってみろってんだ・・・」
“取っておき”を手に持ちながら・・・魔理沙はとても“いい笑顔”でそう呟いたのであった。
数日前の霖之助の言葉―――
「実はね魔理沙。前に渡した『世界一辛い』ソースがあったろ?アレは実は『世界一辛いと“言われていた”』ソースだったんだ。そしてこれこそが『世界一辛いと“言われている”』ソースなんだよ。」
――――
「おや?お気に召したかな?まぁ譲ってあげないことも無いが・・・1つだけ忠告しておこう。今回のそれなんだが――――――1滴でも多いかもしれないね。」
――――
「まぁ好きにするといいさ・・・えっ?なんでマスクをしているのかって?」
――――
「企業秘密さ・・・・・・」
木々が太陽光を遮り,夏だというのにどこか肌寒さを感じさせる魔法の森。その一角にある『霧雨魔法店』と書かれた看板が立つ家の庭先で、魔理沙は声を上げた。
「第二回!チキチキ幻想郷夏の激辛鍋我慢大会ー」
そこまで言い切ると同時に、彼女は己が右腕を高く突き上げた。まるで『私について来い!!』と言わんばかりのその姿に―――
「・・・おー」
やる気の無い声で霊夢が答えれば。
「・・・・・・」
続くアリスは呆れた顔で魔理沙を見つめていた。
「おい!もっと盛り上がれよ!!何だその淡白な反応は!?」
そんな2人の態度に声を荒げる魔理沙だが。
「盛り上がれって言ってもねぇ・・・」
「あなたの他には私達2人しかいないじゃない?」
2人の反応は冷めたままなのであった。
アリスの言う通り、この場にいるのは霊夢・アリス・魔理沙の三人だけである。
それに対しては魔理沙も疑問に思っていた様で。
「そうだよ!大体なんでお前らしか来てないんだよ!?私は片っ端から招待状を送ったはずだぜ?」
魔理沙の言うように今日行われるこの催しの旨は、他ならぬ魔理沙自身が伝えて回ったのだ。上は天界から下は地下まで、それこそ知った顔には全て。
「なんだよ!あいつら私が行った時には『楽しみにしてる』なんて言ったくせに、心の中では『行くわけねーだろwwwwテラアホスwwwww』とか思ってたってことなのか!?」
それゆえに魔理沙のショックも大きい。まさか自分がこんなに人望が無いとは思ってもいなかった。
「畜生・・・なんだよ・・・そんなに私が嫌いだってか・・・だったら始めから言えって・・・」
どんどんネガティブになっていく魔理沙。それを見かねたのか今まで黙っていた2人が口を開いた。
「「魔理沙・・・」」
「・・・なんだよ?」
不貞腐れながらも魔理沙は思った。何だかんだでこの2人はこうして集まってくれている。
やはり自分にとってこの2人は最高の―――
「「自業自得ね」」
―――前言撤回。こいつら最低だ。
「何でだよ!?私が何したってんだ!?じゃあそもそもなんでお前らは来たんだよ?」
「タダで物が食べれると聞いて」
「霊夢が来ると聞いて・・・あんた前回の惨状覚えてないの?」
「前回・・・?」
昨年の夏に行われた記念すべき第一回幻想郷夏の我慢大会。
参加者は今回の比ではなく、知っている顔はほぼ集まっていた。そして各々の勢力がそれぞれに激辛鍋を作っているその光景は、異様なほどのオーラを醸し出していた。
そもそもこの大会のルールは各チームが作った鍋を皿に分け、全員が全てのチームの鍋を食べルことが前提となっている。そして一人でも食べきれない者がいたらそのチームは敗北となってしまうのである。―――つまり結局己が味付けした鍋も食さなければならないから、辛くしすぎた鍋はそのまま自分の首を絞めることになる。
しかしながら負けず嫌いな彼女達のこと。お互いの鍋を見ながら競うように香辛料を投入していき・・・あたりには強烈な刺激臭が漂い始めるにまで至った。
その中でも一際異質な光景を放っている一角があった。
「ねぇアリス?」
「どうかしたのかしら?」
「これは何?」
「鍋ね」
「いやそうだけど。今日は“激辛”鍋を作るのよね?」
「そうね」
「じゃあこの目の前にあるこれは何?」
「鍋ね」
「だから鍋ってのはわかってんのよ!?私が聞きたいのはどうして私達は『水炊き』なんぞを普通に作っちゃってるってことよ?」
刺激臭が充満しつつある危険空間の中――――
霊夢とアリスの鍋からは爽やかなダシの香りが漂っていた。
「どうしてって言われても・・・私はただ持ってきた材料を使ってるだけよ?辛味担当は魔理沙だし」
「そうよ!大体魔理沙の奴始まってからどこかに行ったきりぜんぜん帰ってこないじゃない!このままじゃ私達だけ風味豊かな鳥の水炊きを提供することになっちゃうわ」
「いいんじゃないの?別に辛いのを作らなきゃ失格なんてルールは無いわよ?」
「いやよ!!そんなんじゃカリスマ幼稚園児やカリスマ引き籠りに馬鹿にされるじゃない!」
『カリスマを付ければかっこよく見える』とはレミリアの弁である。
「馬鹿にされるような味付けはしてないわよ?」
「そういうことじゃないって言ってるでしょ!?第一あいつらにこんな美味しそうなもの食べさせるくらいなら、私が全部食べるわよ!!」
「『美味しそう』なんて・・・うれしいこと言ってくれるじゃないの。そりゃ私の愛が詰まってますからね、主にあなたへの」
「・・・なんか急に不味く見えてきたわ」
アリスがこの鍋に何か変なものを入れてなかったか思い出そうとする霊夢。『でもやっぱ美味しそうだからいいや』と考え始めた・・・その時―――
「――――おおっ、悪い悪い。遅くなっちまった」
本日の主役が到着した。
「遅いわよ!私がこの鍋の前でどれだけ(空腹的な意味で)我慢させられてたと思っているの!?」
「早いわよ!もう少しで霊夢が私の愛を食してくれるはずだったのに!!」
「・・・遅いんだか早いんだかわからんが・・・とにかく“モノ”は仕入れてきたぜ。鍋は・・・出来てるみたいだな。それじゃ主役の登場だ」
そう告げると、魔理沙は机の上に小瓶を置いた。
「これを取りに行ってたんだが・・・香霖のヤツ出し渋りやがってな。交渉の末借りて来たんだが・・・思ったより時間がかかってな」
「ふ~ん。で?何なのよそれ?」
「見たことないわね・・・」
二人の質問を受けた魔理沙は、得意そうに笑うと。
「よく聞いてくれた!これは香霖曰く『世界一辛いソース』と言われているものだそうだ。世界がどれほどのものかわからんが・・・少なくとも幻想郷よりは広いし、物も沢山あるだろ?つまり幻想郷にあるどんなものよりもこいつは辛いってことになるはずだ!!たしか名前は・・・何だったかな?香霖は「絶対に1滴以上使ってはいけないよ」とか言ってたが・・・まぁ少しくらいならいいだろ。まったく香霖もけち臭いヤツだぜ」
霖之助の警告を『大切なものだから余り使わないでくれ』と勘違いした魔理沙は、その小瓶を手に取るとおもむろに蓋を開けその3分の1を鍋に入れた。
その数分後、彼女は・・・いや彼女達は。霖之助の警告が『危険だから少量しか使っちゃいけないよ?』と言いたかったのだと気付くことになるのであった―――
「あーそんなこともあったな」
「『そんなこともあったな』じゃないわよ!お陰で私は鍋を食べれなかったのよ!!」
「それはその後のことが原因だった気がするけど?」
場所を魔理沙の家のリビングに移した三人は、紅茶を飲みながら昨年の惨事について話していた。
「その後?あぁレミリアと輝夜が皆に乗せられて“アレ”を食べるハメになって」
「食べて直ぐにあなたの家に飛び込んで・・・多分水でも飲んでたんでしょうね」
「少しして帰って来たときの2人は“いい笑顔”だったわ。思わずあの後人形作っちゃったもの」
「・・・まぁそうだな。」
「そして気付いたら美鈴と鈴仙が倒れていたんでしたっけ?」
「その後も次々に皆倒れてったのよ・・・それで背後に気配を感じて振り向くと」
「・・・・・・さっきの笑顔のまま手に鍋を持ったレミリアと」
「おたまを持った輝夜がいたのよね?」
「えぇ、流石にあの2人に全力で追いかけられたらたまんないもの。我ながら良く逃げ切れたと思うわ」
「お前らが逃げ切るために犠牲にされた、か弱い魔法少女については何か言うことは無いのか?」
「「自業自得ね」」
――――畜生・・・
魔理沙は心の中で苦々しく呟く。
声に出したら負けな気がした。
「まぁそんなこんなで大会はお開き。残った鍋は幽々子が美味しくいただきましたって感じだったわけだけど」
「皆が来ない理由はこんなとこじゃないかしら?」
そこまで聞いて魔理沙は黙ってしまった。
―――確かに前回の惨事は元をたどれば自分のせいだ。
霖之助の忠告を無視したせいであのような物ができてしまった。
確かにそれによる被害も大きかった。
それでも―――
―――それでも・・・楽しみにしてたんだけどなぁ・・・
元来こういったイベント事には目の無い魔理沙。それだけに今回も楽しみにしていたようで、見るからに気落ちしてる。それを眼前に2人は―――
「―――フッ」
「クッ――フフッ――」
笑いを堪えていた。
「・・・なんだよ。私の落ち込んでる姿はそんなに滑稽か?」
流石に魔理沙も頭にきたようで、今だ笑いを堪えている2人を睨みつける。
「アハハ―――違うわよ。あんたまだ気付かないの?」
その一言で魔理沙の表情が固まる。
―――気付かない?・・・・・・あれ?
そこで魔理沙は気付く、家の周りが明らかに騒がしくなっていることに。そして何より・・・この目に悪そうな刺激臭は・・・
「あなた肝心の集合時間を伝えてなかったでしょう?案の定来てみれば昨年よりもずっと早い時間に準備が終わってるし。」
「まぁつまりこれを楽しみにしてたのはあんただけじゃないってことよ」
相変わらずニヤニヤと魔理沙を見てくる2人、だが魔理沙の心に最早怒りは無く。
「さぁ、早く準備しなさいよ。主役がいなくちゃ始まら無いでしょ?」
「お腹減ってるんだから・・・とっとと準備して来なさい」
「ハハッ――――」
魔理沙の口から笑みがこぼれる。
「任せとけ!今回も“取っておき”を用意して在るからな!」
――――先に行っててくれ―――
そう告げると魔理沙は自室へと走った。
―――きっと今回もイベントは失敗するんだろうな
“取っておき”を見つけた魔理沙は今後の展開を考えて苦笑した
―――でもあいつら馬鹿だから・・・きっと来年もこんな頭の悪い大会に参加してくるんだろうな
「まったく・・・・・・企画するほうの身にもなってみろってんだ・・・」
“取っておき”を手に持ちながら・・・魔理沙はとても“いい笑顔”でそう呟いたのであった。
数日前の霖之助の言葉―――
「実はね魔理沙。前に渡した『世界一辛い』ソースがあったろ?アレは実は『世界一辛いと“言われていた”』ソースだったんだ。そしてこれこそが『世界一辛いと“言われている”』ソースなんだよ。」
――――
「おや?お気に召したかな?まぁ譲ってあげないことも無いが・・・1つだけ忠告しておこう。今回のそれなんだが――――――1滴でも多いかもしれないね。」
――――
「まぁ好きにするといいさ・・・えっ?なんでマスクをしているのかって?」
――――
「企業秘密さ・・・・・・」
あれは幻想卿入り………してください。お願いします。
辛いものに目がないからさっきから涎が止まりませんw
デ〇ソースなら食べたことあるけど、あれはまだ痛いで済むからなぁ…。
苦しい程の辛さを是非味わってみたいものです。
ザ・ソースより辛いとか。
タバスコの1200倍とかなんとか。
破壊力ばつ牛ンwww
因みに、ザ・ソースは買うときに同意書にサインせにゃならんなしいです。
健康を損ねる可能性が~、とかなんとか。
劇薬かよ!!
幻想郷の少女達の健康が危ない!!
激辛鍋は好きですが、こんなもん食わされた日にはたまりませんねぇw