『 6月の終わりに近い日 天気:曇り 』
「う~ん……」
手に持ったペンをくるくるともてあそびながら、アリス・マーガトロイドは悩んでいた。
変哲もない一冊の日記帳を目の前にして。
『日記』と言えばその日にあったことを書き連ねたり、口には出せないような想いを書き溜めてみたり、
人によっては友達と『交換日記』をすることで普段言えない様なことを話したり。
基本的には好き勝手に書いてそっとしまっておくようなもの。
そう、『普通の』日記であれば……。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇
ガタガタ ガタガタ
激しい風が窓をたたきつける音で目を覚ます。
どうやら外は風が強いらしい。ただでさえ梅雨だから洗濯物が溜まっているのに、雨に強風だなんて最悪の天気。
ドサッ ガタガタ ガタガタ
不意に、玄関の方で何かが落ちる音と風が窓をたたきつける音。
どうやら誰かが何かを置いていったようだ。こんな朝早くに?
「ちょっと見てきて」
「シャンハーイ」
ふよふよと飛んでいく人形を見送り、私は起きる準備をする。
お気に入りの青を基調としたドレスに着替えて居間へ降りていくと、テーブルに置かれているのは一つの封筒。
よく見ても差出人も何も書いていない。ただ『速達』と書かれている。
「う~ん、何かしら……」
こんな朝早くに速達? 誰から? 全然心当たりがないけど。
わざわざ郵便で送ってきそうな相手と言うと……、真っ先に浮かぶのは魔理沙、しかもいたずらで。
他には………えっと……
…うぅ、悩むほど選択肢が無い。
それはさておきこの封筒。重くも無いし、薄っぺらさから見ても爆弾などの不審物でもなさそう。
「開けても危険は無さそうね。お願い」
と、開封を人形に任せて、私は距離をとる。
上海が恨みがましそうな目でこっちを見ている。大丈夫、何があっても貴方のことは忘れないわ…。
拙い人形の手で封が開けられると、落ちてきたのは一冊の本……と言うよりはノートかしら。
表紙を捲らせて中を見ても白紙、まっさらなノート。
危険も無さそうなので手にとって良く見てみと微かな魔力を感じる…、けど呪いの類では無さそう。
いたずらとは違うみたいだけど、目的がわからない。
不思議に思いつつ捲っていたら中から2枚の紙が落ちてきた。
何か書かれている……、手紙?
『 は~い、アリスちゃーん。
お元気ー? アナタの愛しのお母さん神綺でーっす。
コケた、派手にズコーっと。
「何考えてるのよっ!」
起き上がりながら手紙につっこみを入れる。
どうやら差出人は『神綺様』、私が幻想郷に来る前に住んでいた魔界の神。
魔界に存在するもの全ての母。
私にとっても……、まぁ不本意ながら『母親』ということになる。
気を取り直して続きを読んでみる。
『 は~い、アリスちゃーん。
お元気ー? 貴方の愛しのお母さん神綺でーっす。
最近全然帰ってきてくれないけど元気かしら。
友達はちゃんとできているかしら?
ご飯はちゃんと食べているかしら?
研究に熱中して徹夜とかしてないかしら?
私はもうアリスちゃんのことが心配で心配で、夜も寝られずに昼寝しています。
そこで私は徹夜で考え、思いつきました。
貴方が来ないなら私が行けばいい! 何て明暗!
けど皆に止められました、力ずくで。
泣きそうな顔で「行かないでください!」と言われちゃった。
結局皆、私がいないとダメなのね。愛されるって辛いのね。
「魔界の恥を晒さないでください!」とか聞こえたのはきっと気のせいよね。
そこで私は昼寝しながら考え、思いつきました。
貴方に日記を書いて貰って私が読もう! 何て迷案!
流石にこれまでは辞めろとは言われなかったわよ。
ふふふ、今すっごい嫌な顔したでしょう?
アリスちゃんの顔が目に浮かぶようだわ。
難しく考えなくていいわよ、別に毎日書けともノルマを課すとも言わない。
気が向いたら書いて、そしてたまには私のことを思い出してくれればいいかな、なんて。 』
一枚目の手紙はそこで終わっている。
「はぁ……」
呆れを通り越して眩暈がする。本当にたいした『名案』だこと。
別に迷惑なわけではない。なんとなくタイミングを逃して連絡もしてなかった。
こうやって心配して想ってくれる人がいることは嬉しい。
けど、日記ねぇ……。こう言ってはなんだが、私は自分自身を表現するのが苦手。
読まれる前提の日記だなんて考えるだけで頭が痛い。
そもそもどうやって読むつもりだろう。まさか一日書くたびに郵送しろとは言わないだろうけど。
ま、心配しなくても大丈夫かな。昔からあの人は何を始めても『三日坊主』だし。
そして2枚目を手に取り読んでみる。
『 この日記帳は二冊で一冊の不思議な日記帳
貴方が一冊を持ち、私が一冊を持つ
貴方が書けば私の方にも同じことが
私が書けば貴方の方にも同じことが
貴方が書いた生活に、私が感想を返す
貴方が書いた悩みに、私が答えを返す
思わず微笑んでしまうような楽しいことでも
早く忘れてしまいたい悲しい過去のお話でも
有り触れたつまらない日常の些細なことでも
貴方の事を少しでも知りたいから
日記に文字が浮かぶ時を楽しみに待っています
~ いつまでも貴方を大切に想う 母より ~ 』
「うっわ……」
何よこの2枚目、なんだか安っぽいラブレターみたいね。
歳を考えなさいよ、何歳か知らないけど。あーもう、何故かこっちの顔が真っ赤よ。
要するにこの日記帳は2冊セットで、書いたことが両方にリンクするのね。
原理は判らないけど微かに感じる魔力はそれのせいかしら。
でもそこ以外は普通に日記を書けってことね。
いいわ、たまには親孝行と思って相手してあげないと。
◇ ◆ ◇
そんなついさっきの出来事を思い返しつつ、私は日記に向けるペンを進められずにいた。
書いた内容が同時に向こうに浮かび上がる。
なんだか監視されているようで非常に書き辛い。
それに何を書いていいのか判らない。いきなりお悩み相談っていうのもどうかと思うし。
日常を書こうにも基本的にインドア派な私にとって、日記に書いて面白い様な出来事も滅多に起こらない。
起きてご飯食べて掃除して寝ました。って書いたらさすがに怒られるわよね。
「かと言ってまた異変でも起こられても困るし……。ま、今この時点が異変とも言えるけどね」
なんてぼやきつつ苦笑を浮かべて私はペンを置いて立ち上がる。
考えてみたら日記なんて早朝に書くものじゃない、朝食でも食べれば何か浮かぶかもしれない。
ジュー ジュー
と音を立てつつフライパンの上で目玉が踊っている。横では上海がサラダを作り、蓬莱がパンを焼いている。
切るだけ、焼くだけの簡単な料理ならこの子達でもできるように教え込んでいる。
本来であれば魔法使いには必要ない食事を私はとり続けている。
多少とはいえ魔力の補給にはなるし、何よりおいしい物を食べるのは精神的にも必要だと思う。
やっぱり女の子なのだから甘いものとかも食べたいし。
料理するにも食べるにも、拘りを持つことは大切だと思う。
目の前の目玉焼きもその拘り一つ。
ごく微妙な焼き加減までは人形に要求するのは難しいものがあるので、これだけは自分で調理する。
私の好みは半熟。白身はぷるぷるで黄身はとろっと、なんていう絶妙な焼き加減。
これが上手く焼けるかどうかで一日が決まると言っても良い。
「シャンハーイ」 「ホラーイ」
「あら、そっちはもうできたのね。じゃあお皿に盛って頂戴」
「あ、私はもちろん目玉焼きは完熟で頼むぜ! 火力もパワーだぜ!」
「はいはい、判ったから大人しく待ってなさい」
卵一つ取り出してフライパンに落とす。
二つを同時にやきつつ、半熟と完熟を同時に作るために集中する。
ジュー ジュー
フライパンの中の目玉と睨み合いながら私は絶妙な焼き加減を……
「って何やってるのよ魔理沙! なんで当たり前のようにうちの食卓に座っているわけ!?
あー!私のトーストを離しなさい! 紅茶なんか出さないでいいわよ!」
「ふが? あにいっへんだ、ああひははひへっはは……」
「食べながら喋らないの!」
むぐむぐ ごくん
ごくごく ぷはー
食べものを飲み込んで、ご丁寧に上海から受け取った紅茶で一服してから魔理沙は喋りだす。
「いやー、上海も紅茶をいれるのが上手くなったなぁ。うちにも一人欲しいくらいだぜ」
「シャンハーイ」
「当たり前じゃない、なんて言ったって私が教え込んでいるのよ」
「おー、言うねぇ」
自慢の人形の腕前を褒められれば悪い気はしない。
今度は霊夢に頼んで蓬莱に日本茶の煎れ方でも教えてもらおうかしら。
「じゃなくて!! なんで魔理沙がここにいるのよ!」
「……おお」
うっかりしてた、なんて表情を浮かべる魔理沙。
「おお、じゃないわよ」
「まぁ待て、興奮する気持ちはわかる。だが先に私の話を聞くんだ」
「話? 無断であがり込んでおいて――
「いいから!」
さっきとは打って変わって真剣な表情で私の言葉を塞ぐ。
なんだろう…。また何か異変でも起きたとか? それならこんな朝早くに来るのもうなずける。
「アリス、実はな。非常に言いにくいんだが…」
「何よ、貴方らしくないわね。一体何があったって言うの?」
「実は……その……」
ゴクリ
「目玉が焦げてる」
!?
◇ ◆ ◇
もぐもぐ もぐもぐ
食卓には重い空気が流れている……。
お皿の上には綺麗に完熟になった目玉焼きと、元目玉焼きだった黒い物体X。
もちろん魔理沙の方のお皿に物体X。
「なぁアリス、いくらなんでもこれは――
「火力もパワー、貴方の好みなんでしょう?」
「……おぅ」
もぐもぐ もぐもぐ
うん、完熟の目玉焼きもたまには悪くないわね。
「……にがいぜ」
涙目になるくらいなら食べなくても良いのに。残さず食べるあたりが魔理沙らしいと言うか。
「で、こんな朝早くから何の用なのよ。まさか朝食をたかりに来たわけじゃないでしょう?」
「当たり前だ。朝食をたかってるのはついでだぜ」
たかっているのは否定しないのね……。
「山菜狩りに行こうぜ!!」
「……山菜?」
「そう、山菜だ。今の時期ならふきのとう、タラの芽、ワラビ――」
なるほど、確かに今の時期ならまだ春の山菜が取れるかもしれない。
けど……わざわざこんな曇りの日に?
「どうせならもっと晴れた日が良いんじゃない? わざわざこんな天気の悪い日じゃなくても」
「ま、まぁそうなんだが……。思い立ったが吉日って言うじゃないか!」
ほんの少しだけ魔理沙が目を逸らす。怪しいわねぇ、何か隠している。
「で、本当は?」
「へ? い、いや山菜がだな……」
「本当は?」
「う……」
「さーて、今日は天気も悪いし。家の中でのんびりしようかしら。そういえばパチュリーに借りた本が読み途中だったわ」
「待て待て待て! わかった! 正直に言うから待ってくれ」
両手を挙げて降参の意を示す魔理沙。私を騙そうだなんて百年早いわよ。
「別に騙そうしたわけじゃないぜ、山菜狩りも嘘じゃないし。
ただ見つかるかどうか不安だったし……と、まぁこいつを見てくれ」
そう言って魔理沙は帽子の中から一枚の紙を取り出した。そこには絵が描いてある。
なんだろう、緑色でY字のような形をしている。どこにでもあるような雑草のような。
「なによこの草みたいなのは?」
「そのとおり、『草』だぜ」
「いや、『草』って言われても……」
「まぁとりあえず私の話を聞けって。正確には昨日、里で慧音と妹紅から聞いた話なんだがな。
なんでも二人も昨日里の近くの山に山菜狩りに行ったらしいんだが、その時にこの『草』を見たらしい」
「そりゃあ山に行けば『草』くらい生えているでしょう。か三途の川とかに行ったわけじゃないのでしょう」
幻想郷で本当に草が生えてない場所なんて、ほとんど無いだろう。
「ここからが本題だ、慧音が言うにはこの『草』に魔力を感じたらしい」
「……魔力?」
「そうだ、二人も疑問に感じてその『草』を調べてみたんだが何もわからなかったそうだ。
けど魔力を感じる意外は変哲もない雑草だったんで、そのままにしてきたらしい」
なるほどね……、魔力を帯びた『草』。確かに珍しい。
魔法に使う薬草とかはそれ自体が魔力を帯びているわけじゃない。調合などで魔力を発生させることはあるが。
「あいつらは魔法使いって訳でも無い、たいして興味も持たなかったみたいだ」
「ふーん、そこで調べてみようって訳ね、」
「ご名答だぜ。一応私も昨晩調べてみたんだが、それらしい記述はどの本にも無くてな」
それで気になって朝早くから私の所に来たってことね。
「でも残念ね。私もそんな『草』なんか知らないわよ。パチュリーに聞いたほうがいいんじゃなくて?」
「さっき言っただろう。山菜狩りに行こうって。一緒に探そうってことだぜ」
「なんで私が? 場所は判っているのでしょう。自分で見に行けばいいじゃない」
「おいおい、魔法使いなら未知なる物に興味を示すのが筋ってもんだろう」
「お生憎様。私は朝から山に芝刈りに行くようなアウトドアな魔法使いじゃないの。
それに私はそんな『草』に興味は無いし、貴方の趣味に付き合うメリットは無いわよ」
嘘。魔力を帯びた『草』に全く興味が無いわけじゃない。
でも静かな朝食を台無しにされたのに、簡単に着いていくのは悔しい気がする。
「ほ……ほら! だから山菜も一緒に採って私がおいしい山菜鍋をご馳走してやるぜ」
「あら、それは先ほどのおいしい朝食のお返しと受け取っていいのかしら?」
「うぐ……。じゃ、じゃあ! えっと……借りていた本を返してやる!」
「語るに落ちたとはこのことね。私が貸した本を返すから有難く思えってことかしら。
知ってる? 無断で本を持っていくことは借りる、とは言わないのよ」
しまった、といった表情で大げさに肩を落とす魔理沙。
「……判った、悪かった。借りにしといてやるから手伝ってくれ、頼む」
「普通こっちが貸しにしといてあげるって言うんだけどね。まぁいいわ、そこまで言うなら手伝ってあげる」
「本当か! 有難うアリス!」
一転して顔を輝かせながら方を叩いてくる。まったく現金なヤツなんだから。
ま、日記に書くのにちょうど良さそうなネタができたと思えば良いか。
「もちろん山菜鍋はご馳走してもらうし、持ってった本は返してもらうわよ?」
「……酷いぜ」
「でも、なんでそこまでして手伝って欲しいわけ? 慧音たちから場所くらい聞いたのでしょう?」
「場所は聞いたんだが、大まかな場所でな。感じる魔力も微かだって言うし。
正直一人で探すのは辛そうでね。アリスが人形を操って手伝ってくれると助かる」
なるほどね、魔理沙一人で探すよりは人形を操る私の方が探索範囲はかなり広いだろう。
「判ったわ。ちょっと準備してくるからお茶でも飲んで待ってなさい」
「おう。上海、お茶のお代わりを頼む」
そういって私は居間を出て自室へ戻り準備を始める。
「しっかしお前のご主人様も意地が悪くなったな」
上海人形を通じて魔理沙の声が聞こえる。どうやら私に聞こえていることに気づいてないのだろう。
「ったく、一日中家に閉じこもっているからあんな風に捻くれちゃうんだ」
「少しは私を見習ってもっと外に出ればいいんだ」
人が聞いてないと思って好き勝手言ってくれるんだから…。
上海、何か言ってやりなさい。
「私が来なきゃ、今日も家でお人形としか話さないって言うんだろうなー。ん? どうした上海?」
「ウルセーゾー」
◇ ◆ ◇
居間へ戻った私はお茶を持ったまま呆然としている魔理沙に声をかける。
「ほら魔理沙、準備できたから出かけるわよ。どうしたの?」
「……お、おう。さっさと山へ出かけるんだったぜ」
なんか言葉遣いがおかしい、さっきの一言が効いたのだろう。
上海ったらどこであんな言葉使い覚えてきたのかしら。
私と魔理沙は玄関から外に出る。天気は…、曇ってるけど雨は平気かしら。
「大体の場所は聞いているんでしょ。どこら辺なの?」
「人間の里と太陽の畑の間くらいにある山だな。こっからだと一時間もかからないだろう」
「それだと着くのはお昼くらいかしらね。雨が降ったら困るから、早く行きましょう」
「アリスの飛ぶ速度にあわせてたらお昼過ぎちまうぜ」
そういいながら魔理沙は箒の後ろ側を私に向けてくる。こっちのほうが早いから乗れってことだろう。
確かに単純なパワーやスピードでは魔理沙には適わない、けど、もう少し言い方を選んでくれてもいいのに。
「私みたいな綺麗な女の子を後ろに乗せられるんだから、光栄に思いなさいよ」
「はいはい、それではお姫様。かなりスピードが出ますのでしっかりつかまってな!」
言うが早いか魔理沙は一気にトップスピードを出してきた。私は思わず思いっきり魔理沙の体にしがみつく。
一瞬の後には既に私の家が小さく見える高さまで飛んでいる。
景色が物凄い速さで流れていく。こうしていると、いつもスピードを出して飛び回る魔理沙の気持ちが判る気がする。
今は帽子を押さえている後頭部しか見えないが、きっと笑顔で飛んでいるのだろうな…。
◇ ◆ ◇
「とうちゃーっく」
そういって二人を乗せた箒は一つの山の中腹くらいに着陸する。
「ここら辺が慧音が言っていた場所なの?」
「そのはずだぜ。いかにも山菜がたくさん採れそうな場所だし、間違いないはずだ」
なんてことは無い、特徴のない普通の山。確かに色々と生い茂っている感じはするが……。
「で、どうやって例の『草』を探す気かしら? まさかローラー作戦だとか言わないでしょうね?」
「ローラー作戦だぜ! なんのためにアリスに来て貰ったと思ってるんだ」
「あのねぇ……」
思わず眩暈を感じて頭を抑える。
「見た目は変哲も無い雑草、特徴は微かに感じる魔力。それだけの情報でこの広い山から一本の『草』を探し当てるつもり?」
「う……、やっぱ難しいかな?」
「難しいに決まっているでしょう。せめて慧音と妹紅に手伝ってもらえばいいのに」
その手があったか。とポンと手を叩く動作をする。
「はぁ……、まぁいいわ。ところで『草』って呼ぶのも判りづらいのだけど」
「そうか? じゃぁ何か名前をつけてやるか」
そう言って帽子から『草』の描かれた紙を取り出す。
「『草』だよな……」
「『草』よね……」
「特徴が無さ過ぎるぜ。強いて言えば『雑草』か……」
「それじゃ『草』と変わらないわね。魔力を帯びているから『魔草』とか」
「まそう? なんだか間男みたいで嫌だぜ」
「じゃぁ『まくさ』? いいわね、霧雨まくさって名前はどうかしら?」
「…それは勘弁してくれ。もう普通に『草』って呼べばいいだろ」
「それもそうね」
わざわざ山へ来て『草』を探す、ね。山男にでもなった気分よ。
「じゃあ取りあえず、ここを中心に探すことにしようぜ」
そういって魔理沙は手近な木に印をつける。
「じゃあ霧雨探検隊、しゅっぱーつ!」
「オー」「オー」
こらこら、いつから隊になったのよ。上海も蓬莱も乗らないの。
「お前らには負けないからな!」
そう言って魔理沙は地面を見ながら歩いていってしまう。
いつから競争になったのよ。前途多難だわ。
………。
小一時間が過ぎただろうか……。
魔理沙と上海の声が聞こえる。
「あったかー?」
「アッター」
「本当か!? でかしたぞ上海!!」
「ホラ ワラビー」
「山菜かよ!」
………。
魔理沙と蓬莱の声が聞こえる。
「あったかー?」
「アッター」
「本当か!? でかしたぞ蓬莱!!」
「ホラ タラノメー」
「山菜かよ!」
………。
魔理沙の声が聞こえる。
「あったかー?」
「あったわよ」
「本当か!? でかしたぞアリス!!」
「ホラ フキノトウー」
「お前もかよ!」
魔理沙が泣きそうな顔で怒鳴ってくる。
「そんなこと言ったって、魔理沙だってキノコばっかり採っているじゃない」
「こ、これは……鍋の材料をだな」
「はいはい、真面目に探しなさいよね」
「お前だって山菜ばっかり探して――
アリスー
人形を操る糸から信号が来る。蓬莱人形が何かを発見したみたい。
「待って、魔理沙。蓬莱が何か見つけたみたいよ」
「何かって何だよ、今度は何の山菜を見つけたんだ?」
魔理沙が半分諦めたような声で返してくる。
私はそれに微笑を浮かべつつ意味ありげな声で返す。
「山菜じゃあ無いけど……魔力を持った『何か』よ」
魔理沙は一瞬驚いた顔をした後、にやりと笑う。
「こっちよ」
少し歩くと一つの方向を指差して蓬莱が草の上にたたずんでいる。
「おかしいな、ここら辺は私も探したぜ」
「何よ。蓬莱が間違っているとでも言うの?」
「そういうわけじゃないが……」
蓬莱の指差す方向を見てもなんにも――いや、ある。
「感じるな」
「本当に有るとは思わなかったわ」
周りの雑草より少しだけ背の高い雑草。見た目は変哲もないただの雑草。
けれどその『草』は魔力を帯びている。
「なんか変な感じだな」
「見た目が普通過ぎて、気のせいかしらって言いたくなるわね」
「同感だぜ」
「で、どうするの?」
「う~ん……」
魔理沙は『草』を摘んでみたり、撫でてみたりしている。
うかつに触って毒とか無いといいけど。
「だめだ、ただの雑草にしか見えない」
「魔力を持っているのはこの一本だけ見たいね、突然変異かしら」
「なんにせよ、ここでは調べられそうに無いな。持って帰るか」
そう言って魔理沙は草の下のほうを掴んで一気に……。
「うりゃ!」
引っこ抜い……、抜けてない?
「うわ、何だこいつ。凄い硬いぞ」
ぐいぐいとひっぱる魔理沙。ぐぐぐ、と力を入れて抵抗するかの様な『草』。
有り得ない、まるでゴムのように伸びている気がする。
「くっそぉ。『草』の癖に生意気だぞ!」
とうとう、がに股に足を広げて両手で引っ張り出す魔理沙。
女の子なのだからもうちょっと……。
「おりゃぁぁぁぁぁ!!」
すぽーん ずでん
とうとう根負けした『草』が引っこ抜けて、その反動で魔理沙はひっくり返る。
なんて姿なのかしら……。今の魔理沙を親御さんが見たらなんて思うかしら。
「あいたたた……。良し、獲ったどー!」
勝ち誇った笑顔で片手をかざす魔理沙と、その手の中から逃れようともがく『草』。
全く、白いエプロンが土まみれじゃない。
今も手の中で暴れる『草』からは土が飛び散って魔理沙の顔に……
「え?」
「え?」
……暴れる、『草』?
「うわぁぁぁぁぁぁ!!」
思わず『草』を放り投げる魔理沙。
「な、なんだこいつ!」
「何よこれ! 生きているの!?」
放り投げられた『草』を見ると、足の代わりに根っこで立ち上がり
きょろきょろと辺りを回すように首?を振って……、こっちを見る?と。
ズザザザザ
一目散に逃げ出した。
「に……、逃げたぞ! 追え! 逃がすなぁ!」
思わず後を追いかける魔理沙と、声に反応して追いかける上海と蓬莱。
私は一人取り残されながら……。
「動植物って動く植物のことだったかしら?」
すごいどうでも良かった。
私が魔理沙に追いつくと、そこには――
「へへっ、やるじゃないか……。私の顔に土を付けたのはお前が初めてだぜ」
変な空気が流れていた。『草』相手に何をやっているんだ、この白黒は。
「私を怒らせたことを後悔しても遅いぜ!」
魔理沙が『草』に飛び掛る。
しかし『草』は体を反らして魔理沙の手を潜り抜けると、そのまま魔理沙の顎を蹴り?上げる。
その勢いで魔理沙は吹き飛ばされ……ることは無かった、まぁ『草』だし。
でも魔理沙の顔は土まみれになっている。どうやら苦戦しているようね。
「ちょっと魔理沙。たかが『草』相手になに苦戦しているのよ」
私がそう言った途端に『草』がこっちを向いた……、たぶんこっちを向いた。
そして根っこを片方上げて地団駄を踏むような動きを見せる。
「何よこいつ!? 言葉を理解しているとでも言うの?」
「どうやらそうみたいだぜ。悔しいけど苦戦しているのも否定できないぜ」
「力ばっかりに頼るからそうなるのよ。任せなさい、『弾幕はブレイン』は伊達じゃないって所を見せてあげるわ」
そう言って私は糸を繋いだ指に魔力を送り込む。
「シャンハーイ」 「ホラーイ」
こっそりと後ろに回り込ませた上海と蓬莱に指示を出して、三方向から一気に飛び掛る。
貰った!!
と、確信したその時。『草』はぐぐぐっと体を縮めたと思うと、
次に縮めた体を一気に伸ばして……跳んだ。
ゴチン!!
行き場を見失った三つの頭は当然ぶつかる。
「あいたたた」
私はおでこを抑えてうずくまる。
「あーはっはっはっは」
魔理沙の笑い声が頭に響く。
「五月蝿いわね!! 貴方も人のこと言える状況じゃないでしょう!」
「確かにな。でもアリスに良いヒントを貰ったぜ。私もたまにはブレインを使ってみるか」
何か良い作戦でも浮かんだのだろうか。
横を見ると『草』は私達をあざ笑うように体を揺らしている。
魔理沙は両手を挙げて『草』に向かってゆっくり歩いて行く。
「まぁそう警戒するな。いきなり掴みかかっていったことは謝る、まさかお前が動くとは思わなかったんでな。
何もお前を採って食おうってわけじゃない。私の研究に少し協力して欲しいだけだ」
なるほど、言葉が通じるなら会話で攻めるって手もあるのか。誰も居ない空間に話しかける光景はなんだか不気味だ。
聞き入るようにしている『草』を見た感じから、どうやら興味を示してはいるみたい。
「お前を切り刻んだりするわけじゃないぜ? ちょっと測定とかさせて貰うだけだ。
もちろん報酬だってやろうじゃないか。暖かい食事にふかふかの布団、こんな屋根の無い山中なんかとはおさらばだ」
……馬鹿じゃないか。どこの世界に布団に憧れる雑草がいるのよ。
と思いきや『草』が近づいている!?
「おぉ、協力してくれるのか? じゃぁ仲直りの握手を――と見せかけて!!」
言うが早いか魔理沙は『草』に向かって――
ゴン!
後ろの木にぶつかった……。
あちゃー、今のはもろに行ったわね、大丈夫かしら。
「うふふふふ……」
魔理沙がうつ伏せに倒れたまま笑い声をあげる。どうやら大丈夫そうね。
「……なぁアリス。魔法使いが『草』如きにここまでコケにされちゃあ」
魔理沙はおでこをさすりながら起き上がる。
「……黙っているわけには行かないわよね、魔理沙」
くいくい、と誘うような動きをする『草』。
上等じゃない、魔法使いの本気を見せてあげる!
………。
……どのくらいの時間が経っただろうか。
私達は土にまみれ、精魂尽き果てて倒れていた。
その中で一つの影だけが立っていた。
ぐったりして動かなくなった『草』を掲げる勝ち誇った顔をした上海だけだった。
今にも獲ったどー、とか言い出しそう。
「トッタドー」
言わんでいい!
「へへっ、やるじゃないかお前……」
魔理沙はまだ変な空気から抜け出せずにいた。
途中から魔理沙と『草』に友情が芽生えていたのはきっと気のせいだろう。
「よっと」
魔理沙はへとへとなはずなのに身軽に起き上がると『草』を掴んで帽子に放り込む。
着ている洋服は泥だらけで白黒どころか茶黒に成り果てている。
「ここまでの動きをする『草』だ、ただの雑草ってわけじゃないだろう」
「そうね、さんざんコケにされた分しっかり研究してあげなさい」
私も土が付いた服を払いながら起き上がる。お気に入りの洋服が土まみれよ。
正直こんな『草』なんてもうどうでも良い、さっきまでの苦労を考えるともう見たくもない。
「さて、と。目的も達したし帰りましょうか」
人形達にもう一つの戦利品である山菜を運ぶ指示を出して帰り支度をする。
「キノコもたくさん取れたしな。山菜鍋はどうする、早速今夜作るか?」
「そうね。疲れてご飯作るのも面倒だしお願いしようかしら」
「それじゃあ霊夢も誘ってやるか、鍋は大勢で囲んだ方が旨いしな」
「ええ、食料持参なら霊夢も大歓迎でしょうね」
「じゃあ神社に……、着替えてから集合だな」
「…この格好で行ったらさすがに怒られるものね」
じゃぁまた後でな。なんて声をかけて思い思いの帰路に着く。
へとへとで、洋服は泥にまみれているのに魔理沙は何故か満足そうな笑顔だった。
対する私に残ったのは、今日も振り回されたっていう感覚だけだった。
◇ ◆ ◇
星も見えない曇り空の下、私は博麗神社に向かって飛んでいる。
家に戻って着替えたり準備していたりしたらすっかり遅くなってしまった。
「まだ晩御飯食べてないと良いけど」
縁側の方に降りて行くとちょうど中に居た霊夢と目が合う。
どうやら魔理沙はまだ着いてないらしい。
「あれ? こんな時間に何の用かしら? 夕食ならご馳走しないわよ」
「何で私が乞食の様な真似をしなきゃいけないのよ。そういう霊夢はもうご飯食べたのかしら?」
「んー。どうしようか迷っていたところよ」
「何を食べるか考えていたところ? ならちょうど良かったわ」
「……」
ほんの一瞬、霊夢の表情が曇る。なにかあったのだろうか?
「……食べるべきか節約するべきか迷っていたのよ」
霊夢、なんて不憫な子っ。
思わず目を反らして目頭を押さえてしまう。
「……なんか失礼ねぇ。それで、何がちょうど良いのよ?」
「今日、魔理沙と山菜狩りに行ったのよ。それでよかったら一緒に山菜鍋でもしようかと」
「えぇっ!?」
急に目を輝かせる霊夢。
「早くあがって頂戴よ! 今すぐにお茶をいれるわ! あ、お鍋よね? えっと確か台所に……」
「ちょっと霊夢……」
なんて現金な。こんなのが博麗の巫女で大丈夫なのかしら。
「後で魔理沙も来ると思うからー」
「食料持参なら何人でも大歓迎よ」
「山菜とキノコしかないけどね。お鍋の材料はこっちが出すから他はお願いね」
「任せときなさい!」
よっぽど嬉しいのかドタドタと台所へ走っていく霊夢。
「相変わらずだな、霊夢はー」
「きゃっ。ちょっと! いきなり出てこないでよ!」
「いきなりって酷いな。元々ここで合流する予定だったじゃないか」
気がついたら隣に魔理沙が立っている。全く、騒がしくても静かでも迷惑なんだから……。
汚れた服を着替えていつもの白黒姿に戻った魔理沙の肩に、見覚えのある物体が見える。
「ねぇ、その肩の……」
「ん? おぉ、『草』だぜ。いやー、こいつ話してみたら意外といいヤツでな」
「話したの!?」
「あ、いや。そこはノリってやつでな」
つまり話してはいないけど意気投合したって所か。魔理沙の肩でゆらゆらと揺れている『草』。
ますます得体の知れないやつね。気づいたら魔理沙の頭に寄生してそうで怖いわ。
「見てみろよ、こうしてみるとなかなか可愛いところもあるんだぜ」
そう良いながら魔理沙は『草』を指に絡ませながら遊んでいる。
確かに、くるくると指に巻きつく姿はなかなか可愛らしく……はないわね、やっぱ『草』だし。
ガラッ ずるずる ボトッ
急に部屋の押入れの戸が開いて誰かが這い出てきて落ちた。
何かと思えば、出てきたのは鬼の伊吹萃香。
「おやー、森の魔法使いが二人揃って何やってるんだい?」
「それはこっちのセリフよ。鬼の世界では押入れで寝るのが流行っているのかしら?」
「急に出てくるからどっかのスキマ妖怪かと思ったぜ」
「はははっ。好きで寝てたわけじゃないんだけどね。暇だったから霊夢と遊んでたんだが、気づいたら押入れで寝てた」
「何言ってるのよ。あんたが勝手に酒飲んで寝始めたから、片付けただけよ。ほらほらどいたどいた」
そう言いながら鍋を持った霊夢が戻ってくる。
「お、宴会かい? じゃあ私も混ぜなきゃ嘘ってもんだ」
「お生憎様。ただのお鍋であって、宴会でもなんでも無いわ」
萃香に言わせればなんでもかんでも宴会になってしまうのだろう。
お酒もそんなに強くなく、大勢で騒ぐのが好きじゃない私にとってはいい迷惑だ。
「人が集まって食事をする。これに酒を加えるだけで立派な宴会さ」
「貴方はお酒があれば一人でも宴会しているんじゃないの?」
「ははっ、違いない」
「まぁまぁアリス。いいんじゃないか? ちょうど酒も欲しかったところだし」
私は別にお酒が無くてもいいけどね。まぁせっかくのお鍋だし、一人くらいは良いか。
「ほらほら、そうと決まったら、あんたも手伝いなさいよ」
「へーい」
ごくごくごく
「ぷはーっ。労働の後の一杯はたまらないぜ!」
「ちょっと、親父くさいわよ魔理沙」
豪快に酒を飲む魔理沙。お酒に弱い私は鍋をメインにちびちびと飲んでいる。
「ほらほら、アリスももっと飲みなよー」
そう言いながら萃香が無理やり酒を注いでくる。
「ちょっと、いいわよ注がなくても。私はそんなに飲めないんだし」
「何よー、私の酒が飲めないって言うのかい」
「そうだそうだー、私と酒が飲めないって言うのかーだぜ」
この酔っ払い二人が…。完全にできあがっているわね。
「判ったわよ。判ったからそんなに急かさないの。せめて自分のペースで飲ませてよね」
「おうおう、飲め飲めー」
「言ってるそばからお酒を入れないでよ! もうー、霊夢も何か言ってやって……」
私の声に反応して、三人が霊夢の方を見ると。
そこには、いつものふわふわした雰囲気とは違うオーラを纏った巫女の姿があった。
恥も外聞も無いとばかりに必死に鍋を食らう。
左手の箸で山菜を掴み、右手の箸でご飯を掴み、流れるような動作で口へ運ぶ。
その手の動きはまるで阿修羅の如く、恍惚のその表情はまるで仏の如く。
今にも背後に『夢 想 封 印(食)』とか浮かんできそうな勢いね。
はむはむ もぐもぐ ごくん ごくごく
「れ、霊夢。誰も貴方の分を奪わないからちょっとゆっくり食べなさいよ」
「そ、そうだぜ。ゆっくり食べてってね、だぜ」
「何を暢気なことを言ってるのよ! 今食べないでいつ食べるって言うのよ!」
喋る暇も惜しいとばかりに再び口に物を入れ始める。
「……もう好きにして」
仮にも女の子が四人集まってすることが、鍋を囲んで酒をかっくらうだなんて。
なんで私の周りにはこんな女の子しか居ないの? これなら一人で食事していた方がマシだわ。
「ちょっ、何よこれ!」
一心不乱に食べていた霊夢が急に騒ぎ出した。見ると箸に掴んだ山菜を必死に食いちぎろうとしている。
どうやら硬くて噛み切れないらしい。
あれ? 霊夢の口に挟まってじたばたと暴れているのは、何の山菜かしらー? 見覚えがあるのだけど。
やばい、どうやら私もお酒が回ってきたらしい。山菜が暴れるわけ無いじゃないの。
『草』じゃあるまいし……、『草』?
「「あ」」
魔理沙と私の声がハモる。
「ちょっと霊夢待ちなさい!!それは――
「待つんだ霊夢! それは食べちゃ駄――
「食材の癖に生意気ね。こうなったら一思いに!!」
そして霊夢は、大きな口を開けて
箸に絡んだ『草』を丸ごと吸い込み
力強く咀嚼すると
ごっくんちょ、と飲み込んだ
「あら、これおいしいわね。なんともいえない不思議な味」
「く……『草』ああぁぁぁぁぁ!!!!」
「ちょっ、魔理沙どうしたのよ」
「どうしたのじゃないぜ!! 何やってんだ霊夢! 吐け! 返せ! 出すんだ! 今すぐに!」
「何言ってるのよ。ほら、食材ならまだたくさんあるから」
「食材じゃない!! あいつは、あいつはなぁ……。鬼! 悪魔! 巫女!!」
「落ち着け!落ち着けっての!」
暴れだす魔理沙を必死に止める霊夢。
「なんだい、あれ」
「聞かないで、ちょっと混乱しているだけだから」
あーぁ、せっかく泥だらけになってまで手に入れたのに。
結局あの『草』、なんだったのかしら……。
そもそも食べても平気なのかしら? 朝起きたら頭から緑の草が生えてないと良いけど…。
緑色の草を生やした霊夢を想像してみる。なんというか2Pカラー?
噂に聞いた山の上の巫女はこんな感じだろうか。
「アリス!! 酒だ!!」
涙をぼろぼろと流しながら魔理沙が絡んでくる。
「はいはい、判ったわ。付き合ってあげるわよ」
「おー、飲め飲めー」
まったく、今日は朝から振り回されてばっかりよ。
苦労して山で手に入れた物は全て霊夢のお腹の中だし…。
酔っ払い二人に絡まれて、好きでもないお酒に付き合わされるし。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇
「はぁ、頭痛いー」
色んな意味で。
終わらなさそうな宴会をそっと抜け出して家に戻ってきた私は、再び机の前で悩んでいた。
『日記』のことをすっかり忘れていた。
今日は色々あったから、今朝と違ってペンはすらすらと進んだ。
酔った勢いに任せて一気に書きあげてしまった。
けど……いつもこんな生活をしていると思われたらどうしよう。
この日記は書くと同時に向こうにも見えるらしいから、下手をしたらもう見ているかも。
珍しく酔っているせいか、正直もうペン持っていられないほどの睡魔に襲われている。
頭が痛くてまともに考えることができず、もう何を書いていいか判らない。
「……お休みなさい」
なんかもう全部面倒くさくなってしまって、最後に言い訳のような一言を書き記し、私は意識を手放した……。
『 明日から頑張って書く。今日はもう、寝る。 』
上海が魔理沙に「ウルセーゾー」と言ったことや、草を探しているときに
山菜を見つけたと三人が言ったりとニヤニヤしながら読みました。
次回、どんな話になるのか楽しみですね。
草の正体とか霊夢の体調とか気になる所が満載で、次が待ちきれません!
神綺さまが大好きなので、どう繋がってくるのかもひっそりと期待してます。
期待して待ってます!
大事なことなので(ry
草ぁぁァああアあっ!!!!
食べられてしまったということは違うのか。いったい奴は何者なんだ……?
なぜか上海の「ウルセーゾー」が頭から離れない
素敵な日記。続きをお待ちしております
草を食った霊夢はどうなる?w
おもしろかったです。
草wwww
考えることは皆同じかwwwww
吹いたwww
くそう、結局草は何者なんだ…
結局草の正体はなんだったのでしょう?w
お気に入り部分はアリスの「ホラ フキノトウー」です。どえらく可愛い。
全体的にほんわかした読んでいて癒される話で大好物です。
神綺さま、アリスは普段はもっとちゃんとした生活してますよと伝えてあげたいw