※一応アリマリ、ユカレイ前提なので、苦手な人はレッツブラウザバック。
※ギャグで下ネタも含んでいるので、注意して下さい。不快な思いをさせてしまったらすみません。
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「よっ、霊夢」
魔理沙は縁側までやってくると、手をしゅたっとあげて、いつもの子供みたいな顔で微笑んだ。
それから、よっと当然のように霊夢の隣に座る。
お盆の上に逆さにしていたもう1つの湯呑みを勝手に取り、勝手に急須からお茶をついで、勝手に飲む。
「あー、お茶がうまいぜ……そういや、お前この前神社をほっぽって、3日ぐらいどっかに行ってたみたいだけど、どこに行ってたんだ?」
「紫の部屋でエッ○してたわね」
魔理沙がぶほっとお茶を噴きだす。
「?どうかした」
「おま…え、え、って…」
魔理沙は顔を真っ赤にして、口をぱくぱくさせる。
「今更そんな照れるようなことでもないでしょ」
「~~~」
くすっと笑うと、魔理沙がまた赤くなる。
魔理沙はばふっと帽子を目深に被り直して顔を隠すと、拗ねたのか、しばらく黙りこんでしまう。
「…なぁ、霊夢」
それから、少しして、帽子の下からぽつりと口を開く。
「んー…何よ」
ズルズルとお茶を啜りながら、霊夢は飄々と受け答える。
「…少し相談があるんだけど…いいか?」
「お金を貸せとか以外ならいいわよ」
「お前にだけはその悩みはもちかけねーよ!…まぁいい。とにかく、相談な」
「うん」
一応、霊夢も居住まいを正す。
魔理沙がゴニョゴニョという。
「実はその……アレのことなんだ」
「アレ?」
「だからその…アレだよアレ。その、、え、え…」
「え?」
「え、え…――エッ○だよ!!」
結局大声で直球な単語を口走ったあと、魔理沙がはしっと自分の口を抑える。
耳まで赤くなる。
しゅうぅ…小柄な身体から湯気が噴きだした。
(……かっわいいわねぇ、こいつ)
いちいち反応が初々しい魔理沙に、霊夢は思わず、しみじみと思いながら、話の先を促した。
「で、そのエのつくやつがどうしたのよ」
魔理沙ははっとすると、わざとらしく、ごほんっと1つ咳払いをしてから、また話し出した。
「その…私とアリスって、付き合ってるだろ」
「そうね。3ヶ月前に付き合いだした時、わざわざアリスが泣きながらうちに来て、魔理沙を抱きしめながら「私のだから、絶対手ぇ出しちゃダメよ!」て宣言してたものね」
「そこは早く忘れてくれ、ほんと頼む…とにかく、私とアリス、付き合ってるんだ」
「うん」
「…………でも、ないんだ」
魔理沙がぽつりと言葉を落とす。
え…と霊夢が、聞き返す。
「ないって…何が?」
「~~~!お前は人の話を聞いてなかったのか!だからエッ○だよ!!」
魔理沙が怒鳴る。いろいろと吹っ切れたらしい。
照れなくなって、ちょっと残念な霊夢だった。
魔理沙ははぁ、はぁと肩で息をする。
頬は火照り、ちょっと涙目になっていた。
「こっちは真剣なんだから、少しは真面目に聞けよ!」
「わ、わかったわよ。悪かったってば…ほら、落ち着いて落ち着いて」
苛めすぎたらしい。
興奮する魔理沙をなんとかなだめ、お茶のおかわりをすすめてみる。
魔理沙はぐいっと一息にお茶を煽ると、ダンッ!と乱暴に床に置き、落ち着いたのか、それとも腹をくくったのか、妙に据わった目でまた話し出す。
「私だってな、付き合いだした時から、一応、覚悟はしてたんだぜ?
そういう時がくるって…アリスは、私のことをすごい好きでいてくれたのは知ってるから、それも多分、すぐにくるんじゃないかって……」
酔っ払いみたいだった魔理沙の声は徐々にしぼんでいく。
「…それに備えて、ちゃんと心の準備もしてたんだ…
なのに、アリスは一向に何もしてこないし、最近妙によそよそしいし……もぅ、何がなんだかわからないんだぜ」
アリス・マーガトロイドは、悩んでいた。
はぁ…とさっきから、ため息ばかりをついている。
実験の手も、一向に進まない。
「あ、また間違えた……もぅ、またやり直しだわ」
苛々と金糸の髪をかきあげる。
実験をやり直そうとして、でもどうせ材料の無駄だと諦めて、フラスコを元に戻す。
実験用のエプロンを外し、適当にばさっとソファの背に投げてから、自身もぐたっとソファに沈みこむ。
ふぅ…と顎を少しだけ持ちあげ上を向いて、手で目を覆ってから、ため息をつく。
ひどく疲れていた。
「……実験が終わったら、魔理沙が遊びに行こうって言ってくれてたのよね。
…どうしようかな」
一瞬微笑みかけ、でも次の瞬間、アリスの顔に陰りが浮かぶ。
「………」
アリスはしばらく考えていたが、やがて、
「……はぁ」
とまた大きくため息をついた。
と。
「――― そんなにため息ばっかりついていると、幸せが逃げていくわよ」
耳元で、いきなり声がした。プラス、艶かしい息を吹きかけられた。
「きゃああ!!…―――て、八雲紫!」
とっさに耳をおさえばっと振り返ると、そこにいたのは神出鬼没のスキマ妖怪こと、八雲紫だった。
異名に恥じることなく、隙間から半身だけを乗り出して、ヒラヒラとアリスに向けて手を振っている。
「はぁい♪」
「は、はぁいじゃなくて…なんでうちにいるのよ!」
「ただの暇つぶしよ」
断言してくれやがった。
「――― なぁんて嘘、嘘。本当はね、気配を感じたからなの」
「気配?」
「ええ。好きな子と付き合うようになったはいいが、嫌われるのが怖くて手を出せず、ひたすらに悶々とする想いを人形相手の本番シミュレーションで発散していたものの、それももうそろそろ我慢の限界で、次会ったら獣のように相手を押し倒して想いを遂げてしまいそうな自分に怯える、恋する乙女の気配をね」
「……」
最悪な乙女ね―― と思う前に、アリスは黙り込む。
…なんで知ってるのよ、こいつ。
「ここじゃなかったかしら」
にっこりと笑う顔が、妙に綺麗なのもなんとなくしゃくに障った。
「……隣の家じゃないかしら」
「隣っていうと……魔理沙?
まぁ、魔理沙が人形を使ってあんなことを―――」
わざとらしく恥じらうのやめてよ…私の方が恥ずかしくなるじゃない。てか、生きててごめんなさい。
アリスはちょっと死にたかった。
「もういいでしょ、帰ってよ……」
半泣きな声でいうも、紫は新聞の押し売りのように帰ってくれない。
むしろ、隙間からひょいっと抜け出して、あろうことかアリスの横に腰かけてくる。
「ちょっと…」
「お茶ならいらないわ」
「元から出す気ないわよ!帰りなさいよ!」
「帰ったらわざわざ来た意味がないでしょう!」
「呼んでないし、わざわざ来てくれなくていいわよ!」
帰れコールの大合唱のアリス。
「ふ……そんなこと言っていいのかしら」
が、紫は何やら、意味ありげな勝ち誇った笑みを浮かべる。
「な、何よ…」
ちょっとビビりながらいうと、
「私はね……貴方にアドバイスをしにきたのよ!」
「!!」
ドーン―― アリスのバックに稲妻が走る。
アドバイス!?
思わず目を見開くアリスの表情を見て、してやったり、という風に紫はふふっと笑みを深くすると、手に持った扇を、ビシッとアリスに突きつけた。
「この百戦錬磨の恋の達人である私が、無償で手ほどきをしてあげようというのよ。ありがたいと思いなさい」
勝手に不法侵入してきた分際で、凄まじい押しつけがましさである。
だが、アリスは紫の言葉に揺れていた。特に、恋の達人、というところに。
…正直、アリスは疲れていた。
こんな恥ずかしい悩み、誰にも相談出来なくて、毎日毎日1人で考え続けていたが、もう限界だったのだ。
達人が相談にのってくれるなら…いいや、誰かが話を聞いてくれるなら、なんて心強いんだろう……。
――― 紫は『自称』恋の達人であり、実際はどうだかわからないのだが、とにかく疲れきっていたアリスは、そのことを見落とした。
紫がにっこりと笑う。
アリスは胡散臭げに紫を見る。
だが……
「話が長くなるだろうし、何か飲み物でも持ってくるわ」
「玉露にしてね」
腰をあげて台所に向かいながら、
あんたお茶はいらないんじゃなかったの、
と心の中で呟くアリスだった。
「しかし改めて見るとすごいわね……この魔理沙型の人形、いったいいくつあるの?」
「さぁ。100を超えたあたりから、数えるのをやめたわ」
「あなた……本物ね」
本物の変態ね、というニュアンスが加わっているようで、アリスは白い頬を紅潮させる。
「ほっといてちょうだい。私は人形遣いなんだから、人形はいくつあってもいいのよ…それにどうせなら、好きな人を真似て作った方が、楽しいし出来もよくなるじゃない」
「たしかに出来はすごくいいけど……この人形相手に日夜――」
「っ!そ、そのことはもういいでしょう!ほら、お茶よ!」
無理矢理話題をねじ曲げるように、頬を染めて玉露が湯気をたてる湯呑みを叩きつけるように紫の前におくと、アリスは紫の前に腰かける―― ちょっと距離をおいて。
「あら―― 何かしら、この微妙な距離は」
「……半径1m以内に寄ったら、食べられそうだから。ほら、茶菓子よ」
お盆の縁で煎餅が入った皿を紫の前に押しやる。危険動物扱いである。
紫がふっと笑うと、
「私は食べる気があったら、何m距離があろうがお構い無しに食べるわよ!」
無駄に力強く宣言した。
「……もっとも、今は霊夢以外食べる気がしないけど」(ポッ)
しかもデレた。というかノロけた。
ちょっと殺意がわいたアリスだった。
「というわけで―― 安心だから、もっとそばによりなさい」
紫が近こうよれ、と扇をパタパタ振る。
「別に声も聞こえるし、これぐらいでいいじゃない」
「古来より、悪だくみは額をつきあわせてするものって、相場は決まっているのよ」
「悪だくみなの!?アドバイスじゃなかったの!?」
とりあえず、渋々アリスが紫の正面に移動して、第一回魔理沙とアレなことをする為にはどうしたらいいか会議が開幕する。
「それで……結局貴方達は、どこまでいってるのかしら」
「え!ど、どこまでって、それは……」
「お互いの家まで、とか言ったら、音速でこれが飛ぶから、気を付けなさい」
何故か紫の手の中にはチョークがあった。
どこから取り出したのだろうか。
(い、言わなくてよかった…)
アリスが胸を撫で下ろす。
「んっと、その……一応、AとBがちょっとです……」
もじもじと指を突き合わせながら、恥ずかしげに告白するアリス。
紫の眉が、ぴくっと動く。
「B…ペッティングね。ちょっとって、どれぐらいしたの」
「2ヶ月前に、一回だけ、キスしながら少し胸を触って……あ、でも、その時は魔理沙がびくっと震えたから、すぐにやめたの。
そんな反応があったから、嫌だったのかなって思って、それからは触れなくて……」
「……つまり、B一回レベルから、いきなりCクラスにいきたいと、そういうのね、貴方は」
「い、一応そうなるのかな…理想的には、A、B、Cと綺麗な流れで順番に全部出来ていったらいいんだけど――」
もじもじ、バキバキ ←煎餅が無惨に砕かれていく音
「………なめてるわね」
と、バキッと自称達人の手の中でチョークが砕けた。
「え…」
「B一回からいきなりCですって……甘い、甘すぎるわ!」
石灰を振り撒きつつ、紫がアリスをビシッと指差す。
甘いの!?びっくりしてくわっと目を見開くアリス。
いったいそんな自分の考えの、どこが甘いのか…やっぱりもっとじっくり経験してからじゃないと…
「私なんて、Bを30回以上やって、やっとCだったんだから!!」
……すごい私怨だった。
「霊夢が嫌がるから、来る日も来る日も、ずーっとBばっかりだったわよ…雨だろうと晴れだろうと、庭だろうと部屋だろうと、ずっーとBだったわよ…。
あぁでも、あの時の霊夢ったら、可愛かったわぁ…私の手に敏感に反応して――― て、はぅっ!」
突然どこかからお札が飛んできて、ぶすっと紫の頭に刺さった。
紫がばたっと倒れ伏す。
「た、達人!?」
その場のノリで胡散臭い呼称を呼んでかけよったアリスの目に、紫に突き刺さったお札の表面がうつる。
…『変なこというな!』と墨で書かれた後ろに、眉を逆ハの字につり上げて怒っている、デフォルメされた霊夢のイラストがあった。
(どこから飛んで来たの!?)
本気でぞわっと恐怖して、アリスがキョロキョロと部屋を窺っていると、
「うぅ……わ、私はもうダメだわ…」
と紫が弱々しく顔をあげ、瀕死の息を吐く。
「達人!」
もはやアリスもノリだった。
紫の手が、よろよろとアリスに向かって伸ばされる。
―― まるで最後の指標を残そうとするように。
「わたしは結局、どうしたらいいんですか?」
アリスもその手を、両手でしっかりと握りしめる。
―― 達人の遺言を一字一句聞き洩らさないように。
そして紫がいったことは―――
「……見つめあって三秒目をそらさなかったら、惚れてる証拠よ」(親指グッ)
――― アリスは手を、ぺぃっと打ち捨てた。
つかえねー、とアリスは本気で思った。
「はぁ…どうしようかしら」
アリスはとぼとぼと森を歩いていた。
気分転換に実験の続きをしようにも、家には面倒になったアレ(紫)をそのまま放ってきてしまったので、帰る気にもならない。
というか、あれのどこが達人だったのだろう―― 結局疲れただけで、実のあることは全然聞けなかった。
(きっと、これはなんとか自分を抑えて、ずっと我慢しろってことね…)
魔理沙に嫌われたくないもの。
大好きだから。大事だから。可愛すぎて狂いそうだから。
(……シミュレーションで我慢しよう…)
アリスがいろんな意味で悲しい決意を胸にかためた時だった。
「あ、アリス」
「!ま、魔理沙!」
視線の先に、当の魔理沙がいた。
木の幹に寄りかかって、腕を組んでいる。服はいつもの黒白スタイルだったが、珍しくも帽子を被っていなかった。
魔理沙はアリスを認めると、一瞬身体を硬直させる。
でも、とてて…とアリスに駆け寄ってくると
チュッ
―― いきなりアリスにキスをした。
「っ!」
アリスがぽかんとする。
「え……え……?」
口元を手で抑え、バカみたいに繰り返す。魔理沙からキスされたのは、初めてだった。
「い、いつもありがとな。その…私、アリスのことが、大好きだぜ」
顔を真っ赤にした魔理沙が、照れ隠しにへへっと笑いながら、少し上ずった声でいう。
アリスの目に、ぶわっと涙が盛り上がる。
「ひーん……嬉しいよぉ、魔理沙ぁ」
「お、おいおい。泣くなだぜ、アリス」
魔理沙の胸にすがりつく。魔理沙の胸は、豊かではないが温かかった。
「ひっく…んっく…ひーん……・」
泣きじゃくっていると、囁きが耳を打つ。
「……今から私のうち、くるか?」
「!…で、でも魔理沙」
急いで涙でぐしゅぐしゅになった顔をあげると。
「……」
赤い顔で、こくり、と。小さく頷く。
ふたりだけに伝わる、秘密の合図―― 秘密でも何でもないが。
「い、いいの。ほんとのほんとにしちゃうんだから!」
「ば…いちいち聞き返すなよ、余計に恥ずかしいだろ!」
「い、いっぱい人形でシミュレーションしてたんだから、すっごいんだからね!」
「シミュ―― よ、よくわからないが、とにかくいいから行くぜ!」
きゅっと手をつなぎ、歩き出す。繋がる温もりに、ちょっと恥ずかしそうな魔理沙の気持ちまで流れこんでくるようだった。
「でも、どうして今日になって、魔理沙から突然――」
「……霊夢に言われたんだ。あんたからは何かしてるの、あんたからしたらって…それ聞いて、よく考えたら私、待ってばかりで何もしてなかったなって…霊夢に怒られちゃったぜ」
「そうだったの…」
霊夢…貴方最高よ。アリスの中で霊夢の地位が二階級ぐらい特進する。
明日菓子折りを持って霊夢のところに行こう。アリスは心に誓った。
「―― あ、そういえば霊夢といえば、今日、お札投げてなかった?」
「おぅ、投げてたぜ。突然キュピンて目が光ったと思ったら、いきなりぶんなげて、すごい勢いでどこかにとんでってた。何狙ったんだろうな、あれ」
「……(紫の頭よ)」
「どうした、アリス?」
「…ううん、何でもないわ。さ、早く行きましょう、魔理沙♪」
「お、おいおい、急ぎすぎだぜ、アリスー―――」
悩める人形遣いの悩みは、こうして解決した。
ちなみに達人の指南は、まったく役に立たなかった。
ギャグネタだから、どう表現しようか迷った末に言わせてしまったんだ。
注意書きもしたからいいかと思って。本当にごめんよ。一応伏せ字にしました。
みんな十代だしなあ。
紫が出てくる場面でのいかにもなギャグより、前半のれいまりな絡みが楽しかった。
かなり拡大解釈した私に隙はなかった
シミュレーション。
紫は達人の域をすぐ越えていずれはマスターに…
いきなりエッ○はビックリしましたが
ギャグは普通に面白かったw
アリスのギャグがテンポ良くて面白かった
やばい、アリス可愛い。
今後の達人の活躍(暴走と惚気)に期待。
英語のスペルを思い出してあげてください……。
全員(霊夢以外?)がいい感じにはっちゃけてておもしろかったよw
ゆかりんの体験談が聞きたいです!