Coolier - 新生・東方創想話

紅魔館に河童がやってきた!(前編)

2009/04/17 23:42:43
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夜の王、吸血鬼の住まう館―紅魔館。
その屋敷の中には賢者の住まう図書館がある。
賢者は図書館に籠り、無限に増え続ける知識を蓄える。
少なくともこれまで、この図書館を訪れる者は多くはなかった。
賢者の友人である屋敷の主とその従者、ときおり門番が一休みに来る程度。
屋敷に住む者以外の来客はいなかったのだ。
ところが最近は事情が変わってきている。
季節は冬。
地底の騒ぎもひと段落し、あとは新しい年を迎えるだけとなったある日のこと。
今日も図書館に眠る知識を求めて森に住む魔法使いが訪ねていた。
「あったあった。これだわ。」
アリスは本棚から一冊の分厚い本を取り出し、パラパラとめくる。
紅魔館の賢者パチュリーは呆れた顔でその様子を見ている。
「おいしいエビフライの作り方…。今日はエビフライ食べたさに忍び込んだの?」
「忍び込んでなんかないわ。美鈴には快く通してもらったし、咲夜にはここまで案内してもらってる。それに…。」
賢者の皮肉を気にするでもなく本を読みふける人形使いの指差した先には、何冊もの本を抱えて歩く賢者の使い魔の姿があった。
「お茶も用意してもらってる。」
「困ったものね。アポの確認くらいしてほしいものだわ。」
「あら?魔理沙が連絡してるって聞いてるんだけど。」
アリスの指摘にパチュリーは首をひねる。
「そんな連絡受けたかしら…?」
悩む主人に小悪魔が近付く。
「一昨日魔理沙さんが来たときに言ってましたよ。『明後日新しい仲間を連れてくるぜ』って。」
「そうそう。そんなこと言ってたわ。エビフライはついでよ。」
アリスは相変わらず料理本から目を離さない。
「言いだしっぺが来ないんじゃ話にならないわ。」
パチュリーは小悪魔の持っていた本の一冊を取り、テーブルに向かう。
椅子に腰掛け、賢者は従者の注いだ紅茶を口に運ぶ。
「だいたい仲間って何よ。まるで私たちが彼女の仲間みたいじゃない。」
「そうねぇ。」
パチュリーはぶつぶつ言いながら本を読む。
小悪魔は先程までの仕事に戻っている。
そのとき、図書館の入口の扉の開く音がした。
「おーい、来たぞー。」
入口の方から聞こえてきた大声を聞いたパチュリーがページを捲る手を止める。
「小悪魔。」
「はい。」
主人の命に従い、使い魔は運んでいた本をその場に置き、入口に向かう。
「来たみたいね。」
「そうね。」
アリスは相変わらずおいしいエビフライの作り方を調べている。
賢者は再び読書に戻り、紅茶を啜る。
「あなたもこっちに来たら?紅茶が冷めるわよ。」
「そうね。お茶はもう冷めてると思うけど。」
「お、いたいた。」
小悪魔に連れられて魔理沙がやってくる。
アリスが本を持ったままテーブルに向かう。
「随分遅かったじゃない。」
「これぐらいは許容範囲だろ。それに遅くなったのはこいつのおかげだ。」
魔理沙は後ろを指差す。
そこはリュックを背負った青髪の少女が立っていた。
「こいつがコンバットなんちゃらスーツで隠れるもんだから、探すのに苦労したぜ。」
魔理沙が後ろで立っている少女の手を引っ張り、前に出す。
「光学迷彩スーツ!それに弾幕張りながら箒に乗って突っ込んできたら誰だって隠れるよ。」
少女が不平不満を漏らす。
パチュリーとアリスの視線は少女に向けられている。
「この子が新しい仲間…?」
「そうだぜ。河童の―」
「待った待った。自己紹介くらい自分でさせてよ。」
少女は魔理沙の言葉を遮り、一歩前に出る。
「初めまして!わたしは川城にとり。魔理沙の言ったとおり河童だよ。よろしくね。」
アリスが笑顔でにとりに近づき、右手を差し出す。
「アリス・マーガトロイドよ。よろしくね、にとり。」
「うん、よろしくアリス。」
にとりも笑顔でアリスの手を握る。
「アリスって思ってたよりいい人だね。」
「…?」
「魔理沙からアリスは陰険で無愛想でおまけに傲岸不遜な変人だって聞いてたからちょっと不安だったんだ。でもイメージと全然違って安心したよ。」
アリスはジト目で魔理沙の方を見る。
「あんた…。まさか遭う人遭う人全員に私のことそういう風に言ってんじゃないでしょうね?」
「あと外面だけいいとも言ってるぜ。」
アリスの問いに魔理沙は笑顔で応える。
アリスは呆れたように溜息をつく。
「アリスって結構苦労人だね。」
にとりはアリスを慰めると、パチュリーの方に向かう。
「じゃあこっちがパチュリーだね。よろしく、パチュリー。」
にとりはパチュリーに向けて手を差し出すが、パチュリーは見向きもしない。
「…魔理沙、私は新しいペットを紹介されるなんて聞いてないわ。」
「ペ、ペット!?」
パチュリーの発言ににとりは明らかに不愉快そうな顔をする。
アリスは再び溜息をつき、魔理沙はパチュリーをなだめようとする。
「お、おいパチュリー…。」
「河童…?ここは紅魔館…。気高き夜の眷族が集う場所よ。能天気な水妖の来るところではないわ。」
にとりは顔を真っ赤にし、握った手を震わせる。
度重なるパチュリーの辛辣な言葉に対して、明らかに怒りを露わにしている。
「パチュリー、言い過ぎよ。」
にとりの憤慨を感じ取ったアリスが賢者に抗議する。
その言葉にパチュリーも静かな怒りを示す。
「あなたは悔しくないの?河童と同列に扱われてるのよ。侮辱以外の何物でもないわ。」
「あのねぇ…。」
「何さ!ひきこもりのくせに!」
にとりの突然の激昂にその場にいた全員が驚く。
パチュリーは読んでいた本を閉じ、にとりを睨みつける。
「ひきこもりですって…?」
「そうだよ!夜の眷族なんて偉そうに言ってるけど、要はただのひきこもりじゃん!」
「ま、まぁ落ち着けよにとり。」
魔理沙が今度は怒れる河童をなだめようとする。
「とりあえずお茶でも飲みましょ?小悪魔、お願い。」
アリスは小声で小悪魔に注文する。
主人からの命令ではないが、その場の険悪な空気を察したのだろう。
小悪魔はそそくさとティーカップを取りに行く。
賢者と河童は互いに睨み合っている。
「道具使わないと何もできない河童風情が偉そうな口叩かないでほしいわ。」
(八卦炉がないと何もできないぜ私…)
「へんっ、核のこと知らないで『動物愛護がぁ~』なんてわけのわからない結論に持っていった勘違い魔法使いに言われたくないよ!。」
(あのとき茹で卵の話にした私っていったい…)
思わぬところから攻撃を受けた魔理沙とアリス。
パチュリーとにとりは落ち込む二人のほうを向く。
「あなたもそう思うわよね、アリス?」
「魔理沙もそう思うよね、盟友だもんね?」
「「いや、あの…本当にすみませんでした…。」」
「「何二人とも謝ってるの?」」
魔法使い二人の突然の謝罪に、パチュリーとにとりは怪訝な顔をする。
「とにかく、あなたはこの図書館にふさわしくないわ。」
パチュリーは再び読書に戻る。
「こっちだってこんなとこ願い下げだよ!この紫もやし!」
「何ですって!?」
パチュリーが本をテーブルに叩きつけ立ち上がったが、既ににとりは図書館の奥へ消えていた。
魔理沙とアリスはその様子を唖然とした表情で見ていたが、すぐさまハッとした表情に変わる。
「おいにとり、そっちは出口じゃないぞ!」
魔理沙はにとりの方へ駆けだす。
小悪魔が魔理沙とにとりのカップを持ってきた時、そこには最初の二人だけが残されていた。
「あれ、お二人とも帰られたんですか…?」
まだ主人の機嫌が治っていないと思ったのだろう、小悪魔はアリスに尋ねる。
アリスはまた溜息をついた。
前回はたくさんの評価とコメントをいただきありがとうございます。
その反省を活かして(?)第二弾です。
妄想駄々漏れ注意報発令。
今回は地霊殿の魔理沙と愉快な仲間達のお話。
一応本編はクリアしてますが、EXはまだです…orz
ヴァイエルンの牙
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コメント



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1.70煉獄削除
続きがどうなるのかが気になるところですが、
『賢者』という言葉がかなり目立つ気がしますね。
それならば普通にパチュリーで良いとも思います。
にとりとパチュリー、この二人が今後どんな行動をするのか
和解をするのか、アリスと魔理沙の二人が彼女たちにどんな行動を
起こすのかというのも楽しみですね。
続きを期待しています。

誤字の報告
>「道具使わないを何もできない河童風情
「道具を使わないと」ですよね。
4.10名前が無い程度の能力削除
うん、展開がワケわからない。
5.10名前が無い程度の能力削除
河童がやってきた!名前全力で間違ってますけどね。
あとパチュリーがいきなり喧嘩売りはじめるとか荒唐無稽すぎて付いていけません。
7.10ティファーリア削除
読者を振り切る展開といい、文面のテンションといい…

フルスロットルで書くその勢いは買いですが、いかんせん急展開すぎます。
これでは理解できるものもできなくなっています。あと、最低限キャラの名前くらいは調べましょう。
恥をさらすだけになりますよ?
12.70名前が無い程度の能力削除
川城→河城ですかね
続きを期待してますよ